EQUALブレーキ用のパッド調整工具(一点物)

この記事は約 5分で読めます。

ゆるふわーくすさんに一点物の工具を作ってもらいました。EQUALブレーキのパッド調整工具です。

目次

作成経緯

まずは作成の経緯から。

後輪の内側パッドが調整しにくい

私が使っているグロータックのEQUALブレーキは、「メカニカルディスクブレーキ」です。

メカニカルディスクブレーキはパッド位置が自動で調整されないため、パッドが減ったら自分で位置を調整する必要があります。

パッドは前後のブレーキに2枚ずつ(外側・内側)。計4枚あります。私の場合、フロントのパッドは200kmに1回、リヤのパッドは400kmに1回程度のペースで調整を入れます。

ただ、調整が簡単なパッドと調整が難しいパッドがあります

リヤ・外側のパッド調整

外側のパッド調整は簡単です。穴に六角レンチを差し込むだけ。

内側のパッドもフロントは問題ありません。特に障害物がないので。問題は「リヤの内側」です。

リヤ・内側のパッド調整

この位置は色々込み入っています。六角レンチを入れようにも入れにくい。

小さいL字の六角レンチならばスポークの隙間から入るわけですが、回す際にレンチがスポークに触れてしまいやすいのです。

写真のようにドライバー型の六角レンチがあればドライブトレイン側からアクセスが出来ますが、出先に持って行くにはこのドライバー型の六角レンチは大きすぎて持ち歩きにくい……という点に悩んでいました。

もっと適した調整工具が無いか?

どうにも既存の工具では調整がしにくい or 持ち歩きにくい。調整がしやすく、持ち歩きやすいパッド調整工具はないだろうか……?

Paul公式サイトより引用

そんな時に「おっ!」と思ったのが、Paulのブレーキ。こちらもEQUALブレーキと同じくメカニカルディスクブレーキです。Paulのディスクブレーキにはパッド調整用のダイヤル(オレンジの部品)が組み込まれており、工具不要で調整可能となっています。

こんな感じの調整工具って世の中にないだろうか……?

そう思って、以下のツイートを投稿しました。

既存の工具にこういう形状のものが思いつかなかったので、Twitterの集合知に頼ったわけです。

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こういった「スタビドライバー」という工具があることは教えていただきました。

なかなか良さそうではあったのですが、直径42mm、厚さ27mmとちょっと大きい。そして問題なのが、こうしたビット式の工具ではEQUALブレーキの外側のパッド調整ネジに届かないということです。

実は外側のパッドの調整ネジは穴の奥にあり、15mm以上ある六角レンチでないとネジ頭に届きません。そして、ほとんどのビットは六角部分が10mm程度しかないのです。

何度か出先でビット式工具で外側のパッドを回そうとして「回せない!」という事態に陥ったことがあり、L字型の小型六角レンチを持参するようになりました。

今回問題となっている内側のパッドはビット式工具でも問題ないのですが、どうせなら内側・外側の両方に使える工具を持ち歩きたい。

なかなか解決は簡単ではありませんでした。

3Dプリンタでオリジナル工具が顕現!

上記ツイートから1日後。

ゆるふわーくす代表・てつやんさんが以下のツイートを投稿していました。

私の想像したものより数段良いものが顕現している……!?

これには衝撃を受けました。てつやんさんも私のツイートを見て「面白そうだ」と思って作ってくれた様子。作ろうと思って一日で作れるのは凄すぎますが。

この個体は後日譲って頂けることとなり、2024年8月のコミケ会場で受領しました。

オリジナル調整工具の感想

ゆるふわーくす製、EQUALブレーキ用のパッド調整工具の感想です。

重量

6.3gと非常に軽量です。

参考までに、L字の小型六角レンチ(3mm)の重量は4.0gでした。

機構

L字型の六角レンチが組み込まれており、レンチ部分が収納可能になっています。収納中に飛び出してこないように、ロック機構付き。

レンチ部分の長さは15mmで、内側/外側どちらのブレーキパッドの調整にも使えます。

中央部には磁石が埋め込まれており、工具使用中に六角レンチ部が倒れてこないような工夫も。

サイドには溝が掘ってあり、回しやすくなっています。

裏面は肉抜き……というよりは意匠でしょうか。

使用の様子

レンチ部分を立てて使用します。

今回のネックだった「リヤ・内側」の調整が容易になりました。素晴らしい。

サイドの溝があるので微妙な角度の回転がしやすく、細かくパッドを調整できます。

レンチ部分が15mmあるので、外側のパッド調整にも使えることを確認。

携帯性

レンチ部分が収納できるので、ツール缶の中でも場所を取りません。

もう一つの専用工具

ここまでは、ゆるふわーくすさんの作ってくれた工具の話でしたが、ここからはもう一つの工具の話を。

金属加工の得意なフォロワーの工場長(@koh_joh_cho)さんも、パッド調整工具を作ってくださいました。

なんとこちらチタン製です。チタン特有の輝きが素晴らしい逸品。

サイドの滑り止めも入っており、非常に素晴らしい出来。

今回の主題である「内側」のパッドを回すのには最高ではあったのですが、「外側」のパッドを回すことが出来ませんでした。六角レンチ部分の長さが10mmで、調整ネジに届かなかったのです。

とはいえ、触っていて非常に心地よい品なので、家での整備の際にはこちらを使用することもあります。

まとめ

EQUALブレーキのパッド調整用工具の紹介でした。

こういう形状の工具、案外求めている人は多いんじゃないかなーという気はしています。EQUALブレーキユーザーという小さな枠の中ではありますが、ブレーキパッドの調整は日常的に発生する作業なので、出先で良い感じに調整できる工具の登場はありがたいですね。

こちらの工具をTwitterで紹介した所、EQUALブレーキ発売元のグロータック公式アカウントが反応してくださいましたので、何か動きがあるかもしれません。

ゆるふわーくすさんも、私に提供されたプロトタイプを元に製品版が出るかもしれないと書いていたので、今後の展開に期待しています。

工具を作ってくださった、てつやんさん、工場長さん、ありがとうございました。私の適当な設計図がこんな素晴らしい形で顕現するとは思っていませんでした。

著者情報

年齢: 40歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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