フレームオーダーの記録 (1本目/2017年 細山製作所 QUARK)

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いよいよ納車となった、QUARKのオーダーフレーム。見た目はとても気に入りました。しかし、重要なのは「走り」です。

果たして、思い描いていたフレームになっていたのでしょうか?

 

実走インプレッション

2017年のゴールデンウィークと、その後の期間で「川越~直江津ロングファストラン」「東京~糸魚川ファストラン」の2イベントに参加。約700㎞走行時点での印象を書きます。

比較対象は、これまで使っていた「LAPIERRE XELIUS」「SCOTT FOIL」。これまで私はカーボンフレームしか使ってこなかったので、QUARKが初スチールフレームとなります。

下記のインプレッションは、2017年5月当時に書いたメモを元にしたものです。
その後、若干印象は変わるのですが、納車当時に感じたことをそのまま書いておきます。

重量

フレームセットで約2300gと、XELIUSやFOILに比べて約1kg重い計算になります。

それでも、このサイズのスチールフレームとしてはかなり軽い部類。8630Rパイプと、職人の腕の良さが効いているのだと思います。

車重は、7.8kg(ペダル含む)となかなか軽量に仕上がりました

剛性感

最新のカーボンフレームと比べると、剛性感は高いとは言えません。信号スタートでは、やはりカーボンに比べると踏み出しの重さがあります。

ただ、これがスチールフレーム全体に言える話ではないはず。1インチの細いパイプ故の性格なのだと思っています。

先日、知人のスチールフレーム(RAVANELLO SAT)に乗る機会を得ましたが、レース用のカーボンフレームと変わらないくらいの剛性感がありました。使われているパイプは私のフレームよりも2周りくらい太いので、こうした剛性感が出るのだと思います。

私のフレーム……と言うか、細山製作所のフレームは、狙って1インチ然とした乗り味を前面に出してきているようです。これが注文時に細山さんが言っていた「クロモリらしい乗り味」なのでしょうね。

快適性

以前使っていたクロスバイクのアルミフォークの乗り味がイマイチだったので、「スチール製のフォークは乗り心地が悪そうだなー」とイメージしていました。

実際にはそんなことはありませんでした。最初は大きめの段差を越える際の衝撃の大きさが気になりましたが、これはフォークが原因ではなく、ホイールが縦振れしていたためと判明。ホイールの振れを取ったら、非常に快適になりました。

緩やかに曲げられたベンドフォークが、衝撃を吸収する仕事をしているのだと思います。ただ、小さな振動の処理についてはカーボンフォークに軍配が上がるでしょう。この辺は空気圧で調整でしょうか。

後輪側についても、非常に細いシートステーの効果なのか、サドルの突き上げは少なくマイルドです。

巡航・スプリント

踏み込んだ際の脚への当たりは柔らかで、少し遅れてから加速する感触があります。

剛性至上主義者の立場に立つと「変形によってロスをしている」ということになるのですが、不思議と気持ちよく加速できるので「結果的に」巡航は速いです。「しなりで加速する」という表現には否定的だったのですが、体感的には確かにそう感じます。

スプリント的な動きは苦手な印象。平地で45km/hから先は伸びにくくなります。

まだ、その速度域での適切なペダリングが出来ていないのかもしれませんが。ここは研究課題です。元々、「これでレースには出ない」と言う用途で作ってもらったのでその点は問題だとは考えていません。私の平地での速度域は35km/h前後で、その辺りの速度では非常に気持ちよく走れます。

ヒルクライム

登りではフレームに大きなパワーが掛かります。特にダンシング時にはフレームがしなる感覚があります。

淡々と登る分には疲れないのですが、タイムアタック的な走り方をすると、少々物足りなく感じることも。「リズムを上手く掴めば速く登れる」と言う話も聞くのですが、まだ私はその段階に至れていません。

ロングライドで脚を残すには正しい味付けだと思うのですが、絶対的なヒルクライム性能はカーボンフレーム側に軍配が上がると感じます。

ダウンヒル・コーナーリング

驚いたのがダウンヒル性能です。特に直線の下りでのスピードが非常に乗りやすい。

体感ではそんなにスピードが出ている感じは無いのですが、メーター上のスピードを見ると確実に速いのです。

これはSCOTT FOILに乗った際にも「LAPIERRE XELIUSよりもスピードが乗る」と感じたのですが、FOILよりも輪を掛けてスピードが乗ります。

これは、「フレームの芯」と言う話も関係があるかもしれません。以下は、同じくスチールフレームを作成している東洋フレームの記事です。

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要は「前後のホイールが正しく一直線上に並ぶか」と言うことを「芯」と言う言葉で表現しているようです。「カーボンフレームの場合は後から微妙な誤差を修正することが出来ないが、スチールフレームの場合は曲げて修正(芯出し・アライメント修正)出来る」と。

「自転車生活」と言う雑誌で、「編集部員がフレームを作成する」という特集記事があり、そこで取り上げられていたのは細山製作所でした。そこで紹介されていたフレーム作りの工程を見ると、「芯出し」と言う行程が確かに入っています。

前後のホイールが一直線に並んでいないと、自転車は微妙な蛇行を繰り返すことになります。結果として、左コーナーと右コーナーでハンドルの切れ具合が異なると言った事にもつながってくるようです。

その点、今回のQUARKフレームは直線ではスピードが乗り、右コーナーも左コーナーもハンドルの切れ具合は同程度。結果として、ダウンヒルは速いです。変なクセも無いので安定して下れるメリットも。スチールフレームでダウンヒルが速くなると言うのは全く想定していなかったのですが、嬉しい誤算でした。

ジオメトリやハンドル・ステムは前のフレームであるXELIUSと全く同じなので、コーナーリングの操作性にはすぐ馴染むことが出来ました。

見た目

フレームの性能には関係ありませんが、ここは非常に気に入っている点です。初見から「私のフレームだ」と思えるフレームに仕上がっていました。

 

ウエムラ塗装さんの塗装は非常に綺麗。難しいだろうなぁと思っていた半集合ステーの塗り分けも綺麗で満足しています。パールブラックの部分も晴れた日だと角度によって微妙に違う色に見えて味わいがあります。

スローピングについては、納車直後は「ちょっと傾きがキツ過ぎたかな?」と思っていましたが、もう見慣れました。ただ、次にオーダーフレームを作るならば、ヘッドチューブは1cm縮めて、シートチューブは2cm伸ばすと思います。

その他

一点だけ残念だったのは、ダウンチューブ下のダボ穴の位置です。

「ツール缶を付けたいので、ダウンチューブ下にダボ穴を開けてください」とリクエストしたのですが、実際に完成したフレームのダボ穴の位置は、想定よりも7cmほど上でした。

この位置でも小さいツール缶なら付くのですが、私が付けたかったのは大きいサイズのツール缶。結局、ボトルケージ増設用ブラケットを使うことになりました。

この点に関してはオーダー時に細かく指定をしなかったのが良くなかったので、次にオーダーする機会があれば気を付けようと思っています。

 

総合評価

「速い感じはしないのに、結果的には速い」という不思議なフレームです。それを感じたのは、2017年の「東京~糸魚川ファストラン」でした。

2年ぶりの糸魚川。スタート直前に細山さんのDNS(風邪のため)を聞いてテンションは下がりましたが、気を取り直してスタート。

走っている際はそこまで速く走れている感覚はなく、心拍も大して上げずに淡々と走っていたのですが。蓋を開けてみれば、現在のコースになった2012年以降で自己ベストのタイム(10時間12分)で完走していました。

それまでのベストタイムは10時間22分。2015年の記録です。機材はSCOTT FOILにFFWD F6R。当時最新のエアロカーボンフレームに、ディープリムと言う平地カッ飛び仕様です。獲得標高2500m程度で平地が多く、単独走になることが多い糸魚川ではこれが最良の組合せだと思っていました。更に、2015年はPBPに向けて走りこんでいた時期で、今年よりも数段走力は上だったはずです。

にも関わらず、スチールフレーム+ミドルハイトホイールの今年の方が10分早かったという結果には驚いています。補給が足りなくなってコンビニに寄ったり、パンクもあったのでロスも多かったはず。風向きが多少良かった面はあるものの、それだけでは片づけられない結果です。フレームの芯が出ていることによるロスの少なさ、踏み込んだ際の脚への当たりの柔らかさによって、脚が最後まで残ったというのはありそうです。

なぜ速かったのか? 詳細は不明ですが、「東京~糸魚川」を知り尽くしたビルダーの作るフレームが、ピッタリと目的に沿ったものに仕上がっていたと言うことなのでしょう。少なくとも、私の用途と私の乗り方にはマッチしていると思います。

 

次ページ: 後日談&1本目のフレームオーダー総括

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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