フレームオーダーの記録 (1本目/2017年 細山製作所 QUARK)

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目次

最後に、後日談と1本目のフレームオーダーを総括して終わろうと思います。

 

後日談

実走インプレッションは2017年の5月末時点のもの。その後、このフレームは2019年の4月まで約2年間使用しました。

2年の間に1000kmと1200kmブルベを1本ずつ完走。その結果、「もう少しここを改善したい」という部分が出てきて、2本目のフレームを細山製作所にオーダーすることになります。

その2年の間にも色々と試行錯誤と学びがあったので、簡単にまとめておきます。

カーボンフォークに換装

実走インプレッションでは「快適性に不満はない」と書いていましたが、600kmブルベを走った所、少し手に痺れを感じたため、カーボンフォークに差し替えてみることにしました。

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差し替えたのは、ワンバイエスのOBS-R101というフォーク。1インチコラムのカーボンフォークはもはやほとんど選択肢がなく、これ一択でした。

 

カーボンフォーク換装後の図。手前に写っているのは、妻が同じく細山製作所で作成したオーダーフレームです。

カーボンフォークに換装したことで乗り心地は良くなり、重量も300gほど軽量化とはなってしばらくは満足していたのですが。ヒルクライムやゼロ発進の際に、どうもヘッドチューブが撓んで力が逃げているように感じるようになりました

「もしかしてこのカーボンフォークのせいで力が逃げているのでは?」と感じ、元のスチールフォークに戻してみたら明らかに剛性感が高いわけですね。

1インチのコラムに加えて、フォーククラウンも明らかに華奢なOBS-R101フォークは、端的に言えば「グニャグニャ」。私の求めるフォークではなかったようです。乗り心地は良かったですけども。

スチールフォークを単品オーダー

2018年1月、再び細山製作所に赴き、今度はフォークを単品でオーダーしました

フォークを単品で買いに来た客は私が初めてらしいです。すいません、変な客で……。

フレームと一緒に作ったフォークからの変更点は以下のとおりです。

① 肩が中空で太いフォーククラウンを選択(台湾ロンシェン社のLC23)
② フォークブレードはパイプのカット位置を太めな方にシフト
③ フォークのベンド(曲げ具合)は細山製作所のデフォルトに変更
①と②は剛性向上施策。③は快適性の向上施策です。
今回のフォーク作成は剛性を上げるのが主目的ですが、それだけだと快適性が損なわれそうなのであわせて修正。旧フォークは見た目の好みから、ベンドを緩めにしてもらっていました。乗り心地は悪いわけではなかったのですが、やはりカーボンフォークに比べると一段快適性は落ちる印象が。そこも一緒に今回解決出来たらと考えました。
2018年4月に新フォークが完成。上の写真が新スチールフォーク、下の写真は比較用の旧スチールフォーク。より太くなり、曲げの開始位置が下にシフトしているのがお分かりになるかと思います。
で、乗ってみてどうだったかと言うと……旧スチールフォークよりも剛性感は高く、カーボンフォークよりも乗り心地が良かったんですよね。
思えば、最初から細山さんが提示していたのはこちらの形状のフォークでした。そこを素人である私が無理やり押し切って、通常とは違う作り方をしてもらったのが旧スチールフォークだったわけですが。素人のトンチンカンな要望は、かえって出来上がりの質が悪くなるものだと実感しました。
この一件から学んだのは、「ビルダーの勧めは素直に聞いておけ」ということ。

その道一本で何十年もやってきた方が勧めることには、それなりの理由と裏付けがあるということです。フレームオーダー時はの私は自らの理想(というか単なる見た目)にこだわるあまり、そういったことに気づけなかったわけですね。

一流の料理人に調味料の量まで指定する客はいないはず。それと同じように、任せるべきところはビルダーさんに任せるべきでした。

初めてフレームをオーダーする時は、下手に自分のこだわりを貫くよりもビルダーの勧めに従ったほうが良いものが出来上がってくると思います。

まとめ

以上、私の初めてのフレームオーダーの際の経験談でした。

 

「素人が専門家の勧めを聞き入れずにこだわりを無理やり入れて失敗する」という、ある種テンプレートのような1本目のフレームオーダーとなってしまいました。

なお、私と対照的にビルダーさんに勧められるがままの仕様でフレームを作った妻はいきなり大満足。やはり先人の勧めは素直に聞いておくものだなぁと思いました。

ただ、フォーク以外の出来には満足で、2本目のスチールフォークを作ってからはかなり満足の行くフレームとなりました。遠回りはしましたが、こうした試行錯誤を通して学ぶのもまたオーダーフレームの楽しみかもしれません。

フレームのオーダーを通して全く理解していなかった「ジオメトリ」について少し詳しくなれたのは収穫だったと思っています。ヘッド角やシート角、フォークのトレールやチェーンステー長など、ジオメトリには理由とこだわりがあるということを知れただけでも、フレームをオーダーした意味がありました。

 

 

2018年8月、新スチールフォーク仕様で1200kmブルベ「クローバー1200」を無事に完走しました。

ただ、このブルベをきっかけに、2本目のスチールフレーム作成計画が立ち上がるのですが、それはまた次の記事「フレームオーダーの記録 (2本目)」で書いていくことにしたいと思います。

 

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2本目のフレーム作成時の記事はこちら。

 

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↑の記事は、フレームをオーダーする際の注意点だけを抜粋して纏めた記事です。オーダーフレームを考えている方は、合わせてお読み頂ければと思います。

著者情報

年齢: 36歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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