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TOT2012(Tokyo-Osaka-Tokyo) ⑨静岡:静岡~神奈川:箱根湯本
ここまで900kmを走り終え、何故か全員集合状態に。3人で連れ立って静岡の街を行く。しかしその速度は約25km/h。ここまで驚異的なパフォーマンスを見せていたキクミミさんにもさすがに疲労の色が見え始めていた。
キクミミ「さっきからどうも足首が痛いんですよね・・・」
恐らくは自分と同じアキレス腱のささくれ。であればサポートカーに積んだエアーサロンパスが効くはず。ここで、サポートカーに電話をかけ、本来のチェックポイントより手前のコンビニで待機してもらうことに。
静岡~清水と走り、興津から太平洋岸自転車道へ。駿河健康ランドが目の前に見える。恐らく一人だったらここでお風呂休憩だっただろうな・・・などと思いつつ、先を急ぐ。寺尾交差点から由比の街へ。往路では祭りの準備をしていたが、復路では祭りの片付けをしていた。そして今回も桜えびを食べることは出来なかったなぁ・・・などと考えていると、往路で一緒に走ってくれた@shunzzyさんが今度は車で応援に登場!奥様と一緒に駆けつけれたらしい。ありがとうございます!
由比を抜け、冨士川そばまで行けば臨時チェックポイント、セブンイレブン清水蒲原新栄町店に到着。ここはキャノボでも定番のコンビニの一つだろう。キクミミさんにエアーサロンパスを渡し、ついでにパンク修理で満足に入っていなかった空気を補充。四日市からここまで3.5気圧で走ってきたとか、やっぱりキクミミさんは常人ではない。キクミミさんはずっと補給を取っておらず「先に行ってて~」とのこと。しかし、チャリモさんも自分も特に動く気も起きなかったので結局一緒に出発した。
冨士川を越え、道の駅富士の中を通り抜ける途中、Edge800を見ると表示が止まっている。ボタンを押しても全く反応なし。ソフトリセットも効かない。畜生、ここに来て逝ってしまったか・・・。こうなっては電池切れを待つ他無い。幸い、ここから先のルートは完璧に頭に入っている。ただ、この先のログが取れないのが残念である。
GPSなど無くとも富士市街をキャノボらしく華麗に回避。この辺りの回避のあまりのスムーズさに後ろの二人は驚いており、ちょっと鼻が高い。そりゃーそうだ、もう4回目だもの。檜交差点からK380に入る。あとは箱根入り口までほぼ一直線!・・・しかしここで右のアキレス腱に激痛が走る。だましだまし走ってきたが、とっくに限界は過ぎていたのかもしれない。一応先頭を引いていたのだが、ここでキクミミさんが前に出る。走るのは楽になったが、今度は眠気に襲われる。ロングライドの後半で人の後ろに付くのは思考が停止してしまうため危険かもしれない。何とか眠らないようにヘルメットから水を被る。
千本松原を抜け、沼津に入る。直前までチャリモさんとキクミミさんは箱根を通らずにR246で帰るつもりだと言っていた。しかしどこで曲がっていいか分からない様子。キャノボルートは大体知っている自分もR246の逆向きルートは知らない。結局全員で箱根に向かうことになった。
12:55、ローソンニュー箱根店に到着(955km地点)。さて、ついにラスボスだ。休憩と補給をしっかり取る。虎の子のアミノバイタルゴールドを投入。エアーサロンパスを過剰なほどに足に噴射。そして・・・出発前にあきばっくすさんから頂いた痛み止めを投入。出来れば頼りたくなかったが、これを入れなければ走り続けられないのは明白だった。さて、ここで3人揃っているとなると・・・箱根バトル開幕?かと思いきや。
キクミミ「あまり休むと動けなくなりそうなんで先に行きますね~」
と、面子で最速のキクミミさんはあっさりと出発してしまった。箱根バトル、開幕前に閉幕。まぁ同時にスタートした所で全く追いつけなかっただろう。トイレに行ったりしばらく休み、キクミミさんから遅れること5分くらいで重い腰を上げた。
13:07、携帯で時刻を確認してヒルクライム開始。やはりアキレス腱は痛む。早々にギヤをインナーローまで落としクルクル回しながら登る。すると、後ろからクランクを回す音が聞こえたかと思うと、一気に抜き去られた。オレンジのジャージ、チャリモさんである。ありえないスピードで抜き去られ、戦慄した。同じ距離を走ってきたのにまだあんなに元気だなんて。
辛い。かなり辛い。ここまで追い込まれた状態で登った箱根は初めてだ。キャノボの時も疲れていたとはいえ、故障はなかった。故障を押してのヒルクライムは辛いし、何より後遺症を残す可能性がある。本来ならリタイアすべき場面だ。しかし、ここさえ越えれば終わったも同然なのである。もしリタイヤしたとして、リベンジするにはまたここまで950km走る必要があるのだ。こんなに天気に恵まれる機会など無いかもしれない。今やらずにいつやるのか?
・・・やるしかないだろう。
覚悟完了。まずは目の前の目標を追うことに集中する。チャリモさんのスピードも長くは続かず、まだまだ見える範囲にいる。出力を1割上げれば追いつける。
ギヤを一段上げ、クランクを踏み込む。アキレス腱の痛みは引いていた。痛み止めが効いたのか、それとも脳内麻薬の効果かは分からない。ただ、まだ戦えることは解る。シッティングで徐々にトルクを掛けていく。
200m…100m…チャリモさんの背中が近づく。そして一気に抜き去る。この時何か会話を交わした気がするのだが、よく覚えていない。とにかく必死。ただ、チャリモさんもかなり疲れている様子だったのは覚えている。
この動画を見ても完全に疲れきっているのは明らかだ。というか自分、上体ブレすぎ。
前を行く背中が無くなり、あとは淡々と登るのみ。普段ならばEdge800で斜度を見ながら強度を決めるのだが、Edgeは相変わらず固まりっぱなし。完全に感覚だけで登るしか無い。現在の心拍数も残り距離も分からないが、今出来るのは脚を回すことだけ。
そして何度目かのカーブを曲がった先に見えた駐車場。箱根エコパーキングだ!となればゴールの箱根峠までは後少し!っしゃ行くぞ!!
「おーい!」
カメラを構えながら手を振っている人がいる。・・・261さん!?キャノボ達成時には浜名湖でエールを交わした。そしてサコライド伊豆では、ここ箱根でバトルを繰り広げた。最大のライバルにして戦友が最も苦しいこの場所で待っていてくれたことを大変嬉しく思い、手を振り返す。
後から聞いたのだが、261さんは補給食を渡そうとしていたらしい。でも峠手前で脚を付くなんてありえない。結果としてシカトしてしまった格好に。自分が受け取るはずだった補給食は全て後から来たチャリモさんに渡されたとかw
14:24、いつまでも続くかと思われた登りが下りに転じる。箱根峠、到着!!タイムは1時間17分。激遅である。しかし950km走った後に足をつかずにここを登れた自分が何か誇らしかった。箱根は苦しい。でもそうであってほしい。やはり箱根はキャノンボーラーに取って最大の壁であり続けるのだ。
峠の気温は15度。そこまで寒くはないが、ウインドブレイカーを着込む。息付く間もなくダウンヒルへ。恐らくキクミミさんは一時間も掛からずに箱根をクリアしているはず。追いつくことはかなわないだろうが、せめてそこまで遅れないでゴールしたい。
芦ノ湖を過ぎ、畑宿までの登り返し。普段なら何てことはないが、少しの登りがとても辛い。しかし10%近い斜度はここから先一切無い。最後の辛抱だ。
畑宿入口交差点から箱根旧道へ。ここから先のダウンヒルはひたすら休憩に当てる。脚は回さない。カーブでのコントロールだけに集中した。三連休最終日、奇しくも大阪→東京キャノボと同じシチュエーションだったが、まだ車は少なくスムーズに下ることが出来た。
右手にセブンイレブンが見えれば箱根旧道も終わり。苦手な下りを終えて、一息付く。ここからはあと80kmの市街走行。「集中していくぞ!」と言い聞かせ、三枚橋の交差点に差し掛かった。
「baruさん!」
不意に掛けられた声。顔を上げるとそこには・・・。
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