iGPSPORT「BSC500」ファーストインプレッション

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iGPSPORTから4月に発売となったGPSサイクルコンピューター「BSC500」のファーストインプレッションです。

同社のミドルクラスのサイコンシリーズ「BSC」の最新作で、同社初のスピーカー内蔵サイコンとなっています。

・本記事でレビューする製品は、iGPSPORTからレビュー用に提供頂いたものです。
・本記事は、BSC500のファームウェアV 1.03.005段階での内容となります。

目次

まえがき

まずはレビュー依頼を頂いた経緯について書きます。

BSC500、発表

サイクルモード東京の前日、iGPSPORTの公式アカウントがこんなツイートをしていました。

何の変哲もないブース設営の写真なのですが……問題はブースの壁に書かれている文字です。

「BSC500 -音を響かせ明るく走る-」と大きく書かれたこの機種は、この時点では発表されていない機種でした。海外リーク情報で存在は把握していたものの、日本ではいつ出るのか分からないまま。どうやらこのサイクルモード合わせで発売ということになったようです。

ここ最近はiGPSPORTから新製品が出るたびにテストとレビューを頼まれていたのですが、今回はそうした依頼はありませんでした。

BSCシリーズはシリアス用途というよりも「普段使い用」に位置付けられるシリーズであり、稼働時間もそれほど長くありません。「稼働時間の長さにうるさい私は想定ユーザーとしては適さないと考えられたのだろう」と思っていました。

サイクルモードで直接依頼

さて、翌日のサイクルモード。バイシクルオブザイヤーのステージと、シマノレーシングのステージを見終わった後にiGPSPORTのブースへと赴きました。

新製品のBSC500を手にとって見ていると、「baruさん?」と声を掛けられました。昨年対応してくださったiGPの営業さんです。顔を覚えてくださっていたようで。

今回のサイクルモードで発表になった新製品「BSC500」を見ていると、「baruさん!」と話しかけられました。昨年もご対応頂いたiGPSPORTの営業さんでした。顔を覚えておられるとは、さすがです。

iGP営業

そういえばbaruさん、BSC500は届きましたか?

baru

え? 今回は特にレビュー依頼を頂いていませんけど……

iGP営業

あー、それなら連絡が漏れていましたね……。
であれば、今回も是非テスト頂いてレビューをお願いしたいのですが。

まさかの展開。

そして会場で手渡し。

そんなこんなで、テストとレビューをすることになりました。

当サイトでは単なる宣伝依頼はお受けしていません。ユーザー目線の本音の情報を書きたいと思っているからです。このため、短所も含めて正直なレビューを書いて良いことを承諾頂けない場合は、レビュー依頼はお断りすることにしています。

今回も、いつも通り長所・短所どちらも合わせて書いていきます。

iGPSPORT「BSC500」

4/25に受領し、それからGW中は基本的にBSC500を使用。約260kmを走る「川越直江津ファストラン」にも投入しました。使用実績は合計500kmほどの状態でのファーストインプレッションを書いていきます。

比較対象は、同社の「BiNavi」「BiNavi Air」、プロチームが使うサイコンとしてGarmin「Edge850」です。

BSCシリーズの位置付け

iGPSPORTには3つのサイクルコンピューターシリーズがあります。「iGS」「BiNavi」「BSC」ですが、それぞれの位置付けは恐らく以下の通り。「恐らく」というのは、公式がそういった比較表みたいなものを出していないからです。

シリーズ名価格帯位置付け
iGSシリーズ
(34760-46200円)
フル機能を揃えた上位シリーズ。長距離・高強度のライドを想定。
トレーニング、センサー連携、ナビ、長時間駆動などを総合的に備える。
BiNaviシリーズ
(29700-39930円)
iGSに近い位置付けの上位シリーズで、特にナビ性能を強化している。
バッテリーは小さめで稼働時間も少し落ちるが軽量。
BSCシリーズ
(6000-26400円)
日常のライドや通勤、週末のサイクリングなどに向く汎用性重視モデル。
トレーニングやナビの一部機能は省かれ、稼働時間もそこまで長くない。

「位置付け」は私が想像で書いたものなので、厳密には違うかもしれませんが、大きく外していないはずです。

一言で言うとiGS/BiNaviシリーズは「シリアス用途」BSCシリーズは「一般用途」ということになります。ブルベのような走りをシリアスとするかには議論があると思いますが、「サイコンが使えなくなるとその時点で詰む」という状況が訪れると考えると、シリアス用途に分類されると言ってもよいでしょう。

BSCシリーズは、「ガチでトレーニングをしてレースで入賞を狙う」人や、「何日もずっと走り続ける」人の使用はあまり想定されていないはず。日々のサイクリングや、週末のロングライドを楽しむ人向けに作られたシリーズであると思われます。

各シリーズを自転車の車種に例えてみると、以下のようになるのではないかと思います。

  • iGSシリーズ: GIANT TCRのような万能レーシングロード
  • BiNaviシリーズ: GIANT Propelのような空力特化のエアロロード
  • BSCシリーズ: 日常使いで便利ながら走りも鋭いGIANT ESCAPEのようなクロスバイク

BSC500は、そんなBSCシリーズの最新作にしてフラグシップという位置付け。iGS800やBiNaviに比べるとトレーニングやナビの機能は省かれていますし、稼働時間も短めです。しかし、逆にそういったシリアス用途のシリーズには無い新機能も盛り込まれています。さながら、「様々な新機能を備えた最新鋭クロスバイク」と言ったところでしょうか。

あまり他社でこういうラインを出しているブランドはありませんが、強いて言うならGarmin「Edge Explorer」シリーズがそれに当たるかもしれません。

競合製品とのスペック比較

BSC500のスペックを示しつつ、競合製品と比較していきます。

前述の通り、非シリアス用途のシリーズなので「何を持って競合とするか」は迷ったんですが、「同じブランドでサイズの近いシリアス用途機・BiNavi」、「Garminの最新シリアス用途機・EDGE850」、「Garminの非シリアス用途機・Edge Explorer2」と比べることにしました。

スクロールできます
iGPSPORT
BSC500
iGPSPORT
BiNavi
Garmin
Edge850
Garmin
Edge Explorer2
税込価格26400円39930円85800円52800円
重量107g103g113g104g
本体サイズ縦:100.5
横:57.2
厚:14.7
縦:101
横:60.0
厚:14.5
縦:92.2
横:54.6
厚:16.8
縦:106.1
横:55.7
厚:20.6
画面サイズ3.3インチ カラー3.5インチ カラー2.7インチ カラー3.0インチ カラー
画面方式透過半透過反射透過半透過反射
解像度480 x 320px480 x 320px600 x 420px400 x 240px
スピーカー××
防水等級IPX7IPX7IPX7IPX7
バッテリー容量2300mAh1250mAh1490mAh820mAh
充電端子Type-CType-CType-CType-C
稼働時間(公称)25時間35時間12時間16時間
内蔵ストレージ32GB32GB64GB16GB
タッチパネル
物理ボタンボタン: 3個ボタン: 6個ボタン: 7個ボタン: 3個
対応衛星GPS
GLONASS
Galileo
Beidou
みちびき
GPS
GLONASS
Galileo
Beidou
みちびき
GPS
GLONASS
Galileo
Beidou
みちびき
GPS
GLONASS
Galileo
Beidou
みちびき
GPSモードGPS
GNSS
マルチGNSS
GPS
GNSS
マルチGNSS
GPS
GNSS
マルチGNSS
GPS
GNSS
マップ表示
文字表示あり

文字表示あり

文字表示あり

文字表示あり
POI表示×
トレーニング機能
心拍センサー接続
パワーメーター接続
レーダー接続
深部体温計接続
アクションカメラ接続××
BSC500と競合製品の比較

これまで低価格帯(20000円以下)のラインナップしかなかったBSCシリーズですが、BSC500は26400円。少し高くなりましたが、スペックから見ると中々頑張っています。

トレーニング機能の一部はオミットされ、地図上のPOI表示(コンビニや施設などのアイコン)も出来なくなっていますが、機能的には大体一通り揃っています。ボタンの数が3つしかないので、タッチパネル操作がメイン。

iGPSPORTで本機種にしかない機能が「スピーカー」。ハード的にプログラミングされた電子音ではなく、任意の音が流せます。これがあるので、電子ベルが使えますし、ナビゲーションを音声で行うことが可能になっています。

あと、何気に大きな変化が「画面方式の変更」です。従来の、半透過反射型ではなく、透過型のディスプレイを採用してきました。これにより消費電力が増えるので、バッテリーサイズは驚異の2300mAh。同社でも歴代最大のバッテリーサイズとなっています。この辺りは後段で詳しく書きます。

パッケージ

BiNaviシリーズやiGSシリーズに比べると、明らかに一段格落ちのパッケージです。本体にかなりお金がかかっていることが伺えるので、こういった所でコストダウンを図っているのでしょう。

パッケージ内容は以下の通り。

箱の中身
  • 本体
  • 標準マウント
  • クイックスタートマニュアル

BiNaviには付いてきていた「シリコンケース」「ガラスフィルム」「ストラップ」「USBケーブル」と言ったものが省かれています。ここもコストダウンの跡が見えますね。個人的にはどれも使っていないので付いてこなくても良いのですが。

なお、シリコンケースは公式から別途買えます。

重量

実測重量は108g。公称107gなのでほぼピタリ。

同じくらいの筐体サイズであるBiNaviと比べると5g重いわけですが、これは増えたバッテリー容量とスピーカー搭載が効いていそうな気がします。ボタンが減ったことで、重量増を少し打ち消しているかもしれません。

本体仕様

本体の仕様を見ていきます。

大きさ

左: BSC500, 右: BiNavi

本体サイズはBiNaviと同じくらい。BiNaviの方が画面のふちが狭い分だけ大きめです(BSC500: 3.3インチ、BiNavi: 3.5インチ)。

ボタン配置

物理ボタンは、本体底部に2つと、本体左に1つの合計3つのみ。BiNaviやiGSシリーズは6ボタンなので、半分です。ページ送りの上下ボタンと、キャンセルボタンがオミットされています。

BiNaviはすべての操作がタッチパネルでも物理ボタンでも可能でしたが、BSC500では物理ボタンでは出来ない操作が結構あります。

充電端子

充電端子はもちろんType-C。

BiNaviシリーズと少し変わったのが、充電端子のフタの素材です。

BiNaviのフタは「表面がプラスチックで裏面にゴムシールが貼り付けられている」形式だったのですが、BSC500は「フタ全体がゴム」です。質感が良いのはプラスチックですが、若干密閉性で劣る印象がありました。全体がゴムだとしっかり密閉してくれて安心感があります。

裏面

Garminマウント付き。取り外しが可能になっています。

そして、マウントを外すとスピーカーが姿を表します。ここからナビ音声や電子ベルの音が出ているわけですね。

画面

iGPSPORTの液晶は、これまで「(半透過)反射型」と呼ばれる方式のものでした。BSC500は、同社初の「透過型」液晶を採用しています。

以下に、それぞれの方式のメリット・デメリットについてまとめます。

スクロールできます
半透過反射型透過型
メリット・太陽光下で見やすい。
・外光を利用して表示できるため、日中はバックライト消費を抑えやすい。
・常時表示との相性が良い。
・長時間駆動に向く。
・発色が鮮やかで、コントラストも高い。
・地図、メニュー、グラフィック表示が見やすい。
・スマホ的な見た目にしやすい。
・屋内や夜間でも見栄えが良い。
デメリット・発色はやや淡く、黒も白っぽく見えやすい。
・屋内や夜間ではバックライトがないと見づらい。
・高精細・鮮やかな地図表示では透過型に劣ることがある。
・表示には基本的にバックライトが必要。
・直射日光下では輝度を上げないと見づらく、消費電力が増えやすい。
・常時表示/長時間駆動とは相性が悪くなりがち。
用途ブルベ、ロングライド、レース、屋外での常時表示に向く。
バッテリー持続時間を重視するサイコン向き。
ナビ表示、地図表示、街乗り、短〜中距離ライド等に向く。
見た目の分かりやすさを重視するサイコン向き。。
液晶方式の比較

これまで、サイコンには一般的に「半透過反射型」が用いられてきました。この方式の良い所は、外光を反射して画面表示に使えるので、「昼間はバックライト不要(または最低限)で済む」という点です。サイコンのバッテリー消費で最も大きいのは「バックライトの輝度」なので、それを抑えると稼働時間は確実に長くなります。

「半透過反射型」にも弱点はあります。色合いが淡くなりがちで、綺麗な発色ではなくなる点が大きい。なぜそうなるかと言えば、「画素の奥にある反射板で外光を跳ね返して表示しているため、光の経路が長く、途中で色やコントラストが削られるから」であると言われています。

一方、「透過型」液晶はというと、反射板が存在しないため色合いがクッキリ。パっと見でかなり綺麗に見えます。地図の視認性も上がるでしょう。バックライトの光を邪魔する層がないため、夜間はバックライトの輝度をかなり低くしても画面を視認することが出来ます。

しかし、「透過型」は昼間にバックライトの輝度を上げないと画面を視認することができません。室内で丁度良い明るさに設定したスマホをそのまま晴天の野外に持っていくと画面が全然見えなくなった経験はないでしょうか? これは、スマホも透過型液晶を採用しているためです(有機ELはまた別の方式)。


端的に言うと、BSC500が「半透過反射型」ではなく「透過型」を採用したのは、「画面を見やすく綺麗にしたい」という意図があるはずです。

透過型を採用することでバッテリーの消費量は増えます。それをカバーするために、BSC500は2300mAhという大きなバッテリーを積むという対策を取ったはず。これはBiNaviの1250mAhの約2倍という大きなものです。しかし。それだけのバッテリーを積んでも、BiNaviの35時間稼働に対し、BSC500が25時間稼働。液晶方式の差はそれだけ大きいということですが、それだけの対価を払っても画面を綺麗にしたかったということだと思います。

セットアップ

初期セットアップ・設定変更の内容は同社のBiNaviとほぼ同じなので下記の記事の「セットアップ」の章をご覧ください。

設定変更

設定変更についても、BiNaviの記事に書いた内容とほぼ同じです。

ライドモードは2個のみ

BiNaviやBiNavi Airは、ライドモードをユーザー側で追加・削除出来ました。BSC500にはそういった機能はなく、「室外ライド」「室内ライド」の2種類固定となります。

BSCシリーズは汎用性に振った機種と思われるので、こちらはもう少し多用途で選べるとありがたかったですね。

バックライトの昼夜別設定がない

従来、iGPのサイコンはバックライトの輝度設定について、「昼」と「夜」で別々の設定がありました。日没と日の出で自動的に明るさが切り替わる機能は他社のサイコンにはなく、非常に便利。Garminを使っていた頃は、「昼は0%」「夜は20%」のように手動で切り替えを行っていたのですが、iGPのサイコンを使うようになってからは自動切り替えになったわけです。ストレスが一つ減りました。

しかし、BSC500は明るさの設定は1通りだけ。これの理由をiGP側に聞いてみた所、「液晶方式の変更によるもの」との回答でした。

手動での変更には今更戻りたくないので、現在は「バックライト輝度 自動調整」をONにして使用しています。

画面項目

1画面の最大表示項目数は12個までと、BiNaviやBiNavi Airと一緒。フォントはBiNavi Airと同じ丸いものが採用されています。

画面上部(ステータスバー)に「電波状況」「現在時刻」「電池残量」を表示しておけるのが嬉しい。これが出来るのは今のところ、「BiNavi」「BiNavi Air」「BSC500」だけです。いつまで経ってもiGS800には採用されないんですが、なぜなんでしょうね。

スクリーンショットの取得

iGPのサイコンでは、歴代「上下スクロールボタン同時に長押し」でスクリーンショットを取得できましたが、BSC500には上下スクロールボタンがありません。

iGP側に聞いてみた所、「画面下部の2つのボタン(LAPとSTART)を同時に長押し」でスクリーンショットを取得できることが分かりました。

基本操作

ログ取得の開始・終了といった基本的な操作はBiNaviとほぼ一緒です。

ライドの開始・終了

少し違うのは、BSC500のボタン数が少ないことにより、ライド終了時の記録操作が異なることです。BiNaviは物理ボタンだけで「ライドの終了」が完結できますが、BSC500はタッチパネルでの操作が必要になります。

以下に、BSC500でのライド開始とライド終了の様子を動画で示します。

「ライドを開始します」「ライドを終了します」と、声でしゃべってくれるのもBSC500の特徴です。スピーカー内蔵だからこそ出来る芸当。ナビゲーションで交差点に差し掛かった時も、この声で「この先、左に曲がります」と喋ってくれます。声は今のところ選べません。

電子ベル

BSC500はスピーカーを搭載しているため、多彩な音声を出力可能です。それを利用した「電子ベル」機能もあります。

ライドを開始後、画面をタップすると「ベル」ボタンが表示されます。これをタップすると、ベルが鳴ります。

実は、ボタン以外の場所をタップしてもベルは鳴るので、無らしたい時は画面を連打すればベルが鳴ることになります。

ベルの音量を精密騒音計で1mの距離で測定した所、84.0dBでした。こちらの記事に書いた通り、JIS規格では1mの距離で81.0dB以上の音量が求められるわけですが、その基準はクリアしていることになります。ただ、サイコンのバッテリーが切れたら使えなくなるものなので、道路交通法上のベルとしては認められない可能性が高いでしょう。

道路交通法上のベルには該当しないと思われますが、「警笛鳴らせ」の標識がある以外の場所では原則ベルを鳴らしてはいけません。

ルートデータの転送・ナビゲーション

ルートデータの転送方法は、BiNaviの記事に書いた内容と同じです。

BiNaviとBiNavi Airで採用された「地図」「曲がり角の案内」を画面項目として設定可能な点は、BSC500でも同様に設定可能となっています。

この「119m」と書いてある欄が「曲がり角の案内」です。「あと119mで左折する」という表示ですね。曲がり角まで残り200mを切ると緑色のインジケーターが表示され、「この先、左折します」というアナウンスが流れます。残り50mを切ると「左に曲がって下さい」というアナウンスが再度流れます。画面を見る必要がありません。

キュー情報を設定していないGPXデータでも、ちゃんと曲がる場所ではアナウンスが流れます。ただし、交差点名は読み上げられません。恐らく、道の曲率だけを見てアナウンスをしているものと思われます。

ちなみに、この「地図」「曲がり角の案内」の項目は、データカテゴリの「グラフ」の中にあります。「ナビ」の中のほうが適切な気がしますが……。

実走

実際に、BSC500を使用して走行してみました。

大きさ・重さ

画面は大きく、見やすいと思います。透過型液晶の採用に伴うバッテリーの重量増がありましたが、感知できるほどの重さではありません。

画面の見やすさ

前述の通り、透過型液晶の採用に伴い、事実上の「バックライト輝度 自動調整」をONにする必要があります。

自動調整にしている限りは、昼でも夜でも屋内でも画面は相当見やすいです。コントラストがハッキリしているのは透過型液晶の特性ですね。

この太陽マークのグラフがバックライト輝度を表しています。輝度自動調整をONにしていると、周囲の明るさによってこのグラフが左右に動くわけですが、周囲が明るいほどバックライトの輝度は大きくなり、周囲が暗いほど輝度が小さくなります。

概ね、周囲の環境による輝度は以下のような感じでした。

周囲の条件輝度レベル
晴天の昼間80-90%
曇り/雨の昼間50-60%
夜間10-20%

前述の通り、バックライトの輝度は稼働時間に直結します。つまり、この表から言えるのは、「晴天の日は使える時間が短くなり、曇りの日は使える時間が長くなる」ということ。「夜練にしか使わない」ということであれば、恐らく30時間以上は使えるでしょう。

操作性・レスポンス

操作時のレスポンスには不満がありません。地図の操作も割とサクサク動きますし、データの保存についても迅速です。

ただし、物理ボタンの数が少ないのは気になりますね。BiNaviやBiNavi Airの操作にすっかり慣れてしまっていたので、タッチパネルを併用しないと操作が完結できないのはちょっと戸惑いました。

地図・ナビゲーション

地図そのもののクオリティはBiNaviやBiNavi Airと同じソースであると思われます。ただ、BSC500ではPOI(コンビニや名所などのアイコン表示)には対応していません。近くのスポットを探す際には、スマートフォンで別途探す必要があります。

ただ、アプリから設定した「補助施設ポイント(ウェイポイント)」はちゃんと地図上に表示されます。青色の📍が補助施設ポイントです。

地図の縮尺バリエーションは以下の通り。

iGS63050m/100m/200m/400m/800m
BiNavi50m/100m/200m/500m/1km/2km/5km/10km
BiNavi Air20m/50m/100m/200m/500m/1km/2km
BSC50020m/50m/100m/200m/500m/1km/2km

BiNavi Airと同じバリエーション設定になっています。出来ればもう少し広い範囲を表示したいですが、多分そういう用途を欲する人はBiNaviを使ってくれということなのでしょう。

音声ナビゲーション

ナビゲーションを起動すると、曲がり角のたびに音声が流れます。画面を見なくても、曲がる方向が分かるのは便利。ただし、音量設定は80%以上に設定していないと、周囲の雑音にまぎれて声が聞き取れません。

碓氷峠のめがね橋

また、今回走ったコースは「183のカーブ」を持つ碓氷峠が含まれていたんですが……ほぼ全てのカーブでナビゲーションが反応してしまい、「左に曲がって下さい」「右に曲がって下さい」「Uターンして下さい」とずっとアナウンスが流れ続けていて、少々うるさかったです。

恐らくある程度の曲率以上に道が曲がっているとアナウンスを流す設定になっていると思うんですが、可能ならば「交差点」を識別してアナウンスを流して欲しいですね。カーブでは別に案内はなくて良いので。

iClimb

Garminで言う「Climb Pro」的な機能がiGPにもあります。「iClimb」という機能です。

上位機種では、「地図」と「標高図」が同時に表示可能な「iClimb 3.0」が実装されています。

一方、BSC500は標高図の表示だけとなる「iClimb 2.0」が実装されています。地図が見られません。登りの途中で分岐があるようなコースの場合、地図が見られないとちょっと不便ですね。

データ値の妥当性

今のところ、距離や獲得標高について、特別違和感のある値は出ていません。ただ、リアルタイムの斜度の表示はちょっと怪しい気がします。私がGPS設定を一番精度の低いものにしていることが理由かもしれません。

システムの安定性

500kmほど使用して、今のところ操作が重くなったりフリーズしたりといったことはありません。

バッテリーの持ち具合

以下の設定で250kmほどのライドを行いました。

BiNavi Airの設定内容
  • 衛星システム
    GPS(省エネ)
  • バックライト
    自動調整
  • 接続センサー
    パワーメーター、フロントライト(VS1200S)

ライドは朝4時半にスタートし、ゴールは17時で、所要時間は12時間半。使用時間は、「昼: 11.5時間」「夜: 1時間」という割合です。昼間の天気は「70%曇り/20%晴れ/10%雨」でした。

バッテリー100%の状態でスタートし、ゴールした時のバッテリー残量は42%。58%を12時間半で消費した計算です。1時間あたりのバッテリー消費量は4.6%。この消費具合だと、約22時間でバッテリー切れになる計算。しかし、実際にはその後に日が暮れる(=バッテリー消費が落ちる)ことを考えると、公称通りの25時間くらいは持ちそうです。

この日は曇りがちな天気だったので昼間では5%未満の消費バッテリーで済みましたが、仮にずっと快晴だともっと早くバッテリーを消費するはずです。

アクションカメラとの接続

先日、DJIのアクションカメラ「OSMO Action Pro 5」を購入しました。

しかしこの機種、サイコンの下に取り付けると録画ボタンを押しにくい。そして、録画状態を表すインジケーターも付いていないので、撮影できているか分からない。

何か良い対策はないか……と考えていた所、「そういえばiGPのサイコンって、アクションカメラのリモコンになる機能がなかったっけ?」ということを思い出しました。

試してみると……接続できました!! バッテリー残量と、カメラのストレージ残量が表示可能です。

更に、カメラを接続すると「アクションカメラ操作ページ」が自動的に追加され、そこからカメラの録画開始と終了操作が可能になります

押しにくいスイッチを押さなくても録画の開始/終了ができますし、サイコン上で「今録画しているのか?」を確認可能。これは便利です。

今のところ、iGP以外でアクションカメラとの接続に対応しているのはWahooくらいのもの。WahooもGoProにしか対応していないので、DJIのアクションカメラを操作できるのはiGPの一部機種(BiNavi/BiNavi Air/BSC500)のみです。

偶然にも、最近使い始めた2つの機種が素敵なコラボレーションが可能ということに気づいて嬉しくなりました。

突風・豪雨アラート

パンフレットを見ると「突風・豪雨アラート」なる機能があるそうです。気圧計を積んでいるはずなので、急な気圧変化を感知したらアラートが出る……とかそんな仕組みでしょうか? 一度も出たことがないですし、詳しい説明もないので、どんな機能であるかは不明です。

改善を要望したい点

BSC500について、個人的に感じた「改善して欲しい」点を挙げていきます。

「システムメニュー」の誤植を直して欲しい

BiNavi Airでも書きましたが、「システムメニュー」となるべき日本語訳が「もっと見る」という謎の表示になっているのが気になります。

「システムメニュー」に統一して欲しいですね。「もっと見る」って言われても「何を?」ってなります。

ついでに「について」というのも変な翻訳です。恐らく「About」の日本語訳なのでしょうが、「本機種について」あたりが適切な翻訳でしょう。この誤訳は、BiNaviやBiNavi Airにも共通しています。

昼夜別のバックライト設定が欲しい

本文中でも書きましたが、昼と夜でバックライトの輝度を別々に設定できるようにしてほしいです。

作り手側の意図としては「輝度自動調整で使って欲しい」ということだと思うんですが、それだと「晴れの日」と「曇りの日」で稼働時間がかなり変わってしまうんですよね。多少画面は見づらくなったとしても、想定した稼働時間を再現して欲しい。そうなると、昼夜別のバックライト設定が必要なのです。

もし実装されたら、私は「昼: 60%」「夜: 10%」で固定すると思います。多分、快晴の日の昼間は見づらいと思いますが、それくらいは我慢です。音声ナビゲーションで乗り切ります。

音楽を本体スピーカーから流したい

BSC500には「音楽コントロール」機能があります。

これは、スマホの音楽プレイヤーアプリ(Youtube MusicやSpotifyなど)をサイコン上から操作できるだけの機能。音楽が流れるのはスマホからです。

しかし、BSC500は他の機種とは違ってスピーカーを備えています。スピーカーから直接音楽を流すことも可能であるはずです

特に最近、日本では熊との遭遇が問題になっています。熊や鹿に警告するために「ボトルケージにスピーカーを入れて音楽を流す」という手段を取る人もいるほど。しかし、このスピーカーが4-500gくらいあってかなり重い

仮に、サイコンのスピーカーから音楽を流すことが出来れば、重量を増やすことなく熊対策が可能になるわけです。これは便利。

Bluetoothで音声データを受信する方法も考えられると思いますが、それだとかなりバッテリーを食いそう。いっそ、BSC500自体にMP3プレイヤーの機能を追加して、MP3ファイルをストレージに転送することで音楽を流す……なんてことが出来たら良いですね。

稼働時間は短くなってしまうと思いますが、それでも私はこの機能が欲しいです。400gのスピーカーを別途用意しなくても、100gのモバイルバッテリーをつなぐだけで音楽が流せるなら、そっちの方が良いですからね。

せっかくスピーカーがあるんですから、音楽を流す機能を是非お願いします。

もしくは、単純に「熊や鹿に対して警告するのための音を一定時間ごとに鳴らす(熊鈴の代わり)」機能だけでも欲しいですね。日本特有の需要かもしれませんが、鹿アタックはヨーロッパでも聞きますし、需要はあるかもしれません。

レーダー警告音のバリエーションが欲しい

スピーカー関連の要望の第二弾です。

BSC500をリアビューレーダーと接続してみましたが、BiNavi等と同じくビープ音で警告が流れるだけでした。

せっかくスピーカーを搭載しているのだから、「距離100。速度差40。車が接近しています!」みたいに音声で知らせてくれても良いのではないかと思いました。一応、レーダーからは「距離」「速度差」「脅威レベル」「脅威の位置」というデータが常時送られてきています(参考: GarminのAPI仕様)。技術的には可能な気がするのですが。

地図の縮尺を大きくした時にナビ軌跡が変になる

こちらの画像は、200mの縮尺でナビを行っている際の地図画面です。水色の軌跡が「これまで走ってきたルート」、緑の軌跡が「この先、進むルート」です。本来、この緑のルートは道に沿って表示されます。

……が、縮尺を1kmまで広げると、なぜか緑の軌跡がカクカクになってしまいます。道に沿っていない。

本来、私が計画したのは赤い線で示したルートです。しかし、緑の軌跡は明らかにそれらを省略してカクカクしたルートになっています。ただ、縮尺を200mに戻すとちゃんと道に沿った形で表示されるんですよね。

私は普段、地図の縮尺を1kmにしていることが多いので、是非ともこのバグは修正してほしいと思います。BiNaviやBiNavi Airではこのような現象は起きていません。

電子ベルをOFFにする設定が欲しい

BSC500、今のところ電子ベルの機能をOFFにする方法がありません。

設定画面で「画面にベルボタンを表示」をOFFにすることで、画面をタップしてもベルボタンは表示されなくなります。ただ、画面をもう一度タップするとベルは鳴ってしまいます。地図画面で縮尺を連続で変えようとして画面を2回連続でタップしてベルが鳴ってしまったことはあります。

ベルを鳴らすと歩行者とのトラブルの種になることもあるので、鳴らしたくないユーザーも居るはず。ベルの不使用を選択できる設定が欲しいと思います。

RWGPSから直接ルートデータを転送したい

これはBSC500というよりは、iGPSPORTのサイコン全般に対するリクエストです。

Ride with GPSという、ルート作成サイトがあります。世界的にデファクトスタンダードとも言えるサイトであり、私もここでルートを引いています。

実はRide with GPSからは、直接各社のサイコンにルートデータを転送できる機能があります。現在、対応しているサイコンブランドは以下の通り。

  • Garmin
  • Wahoo
  • Hammerhead(SRAM)
  • COROS
  • Bryton (アプリから設定要)

世界的に主だったサイコンブランドは含まれていますが、残念ながらiGPSPORTは含まれていません。

このため、Ride with GPSで作ったルートをiGPのサイコンに転送するためには、以下の手順が必要になります。

RWG → iGPのルート転送手順
  • Ride with GPSから、GPX形式でルートデータをダウンロードする。
  • iGPSPORTアプリからルートデータを読み込む。
  • iGPSPORTアプリとサイコンを接続する。
  • iGPSPORTアプリからサイコンへルートを転送する。

正直に言って毎度面倒です。

ちなみにこちらは2026年のワールドツアーチームが採用しているサイコンブランドです。「不明:1」はその後、Garminと判明しています。ここに登場するブランドはいずれも大手と言って良いと思いますが、GiantとiGPだけがRide with GPSと連携していません

iGPも既に「新興ブランド」ではなく「大手の一角」なのですから、こういった使い勝手の改善にも目を向けて欲しいですね。

まとめ

iGPSPORT「BSC500」のファーストインプレッションでした。

しばらく使ってみて感じましたが、本機種はBiNaviやiGS800とは明確にターゲットユーザーが違いますね。トレーニング機能がオミットされていることもそうですし、稼働時間を犠牲にしても画面の綺麗さ・見やすさを優先しています。透過型液晶の採用はそれだけ大きな変化だったということです。


さて、この「半透過反射型→透過型」の変化ですが、実は既に他ブランドが数年前からやっていた変化だったりします。GarminがEdge840→850でやったのが、まさにこの変化。更に、画面解像度を上げ、画素数は840に比べて約4倍になっています。確かに画面は大変綺麗になりましたが、稼働時間は26時間→12時間へと大幅に減少。すっかりシェアを落とす結果となりました。

Garminが良くなかったのは、この「半透過反射→透過」の変化をシリアスユーザーの多いEdgeシリーズでやってしまったことだと思っています。まずは、もう少しライトなユーザーをターゲットとした「Edge Explorer」シリーズ辺りを観測気球とするべきだったのではないでしょうか。それが上手く行ったらEdgeシリーズに取り込めばよかったのに、いきなりEdgeシリーズに大転換を入れ込んでしまった。これは実に良くなかったと思います。

その点、iGPは「半透過反射→透過」の変化をまず「BSC」シリーズに入れてきました。ターゲットユーザー層を考えれば、稼働時間よりも画面の綺麗さを重視することは間違いではないでしょう。画素数もあまり増やすことはせず、バッテリーを倍加したことで稼働時間も25時間と実用十分な程度には確保できています。後追いの立場で上手くやったということでしょう。

個人的な願望を言うと、是非とも「iGS」「BiNavi」といったシリアスユーザー向けのシリーズは「半透過反射」を継続してほしいと思います。こういったユーザーにとって大事なのは、「画面の綺麗さ」よりも「正しく動き続けてくれること」です。

透過型液晶は、BSCシリーズだからこそ成立する選択だと思います。少なくとも長時間駆動を期待される上位ラインでは、半透過反射型の選択肢を残してほしいですね。


しかしスピーカー付きというのは面白いですね。不要な機能だと思っていましたが、使ってみると面白かったです。このスピーカーを活かした新たな機能(音楽再生機能など)が搭載されるのを楽しみにしています。

著者情報

年齢: 41歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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