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クリックバルブのポンプヘッドを分解してみる
好奇心に負けて、クリックバルブのポンプヘッドを分解して構造を調べてみました。
まえがき
まずは分解の経緯から。
クリック感の正体が気になる

試しに導入してみたら、すっかり気に入ってしまったクリックバルブ。
何が良いって、ポンプヘッドをバルブに取り付ける時の感触が良いのです。あまり力を入れずに取り付けができ、その時に手に伝わるクリック感も絶妙。
そして、クリック感が手に伝わっていれば「確実にロック出来ている」というのも大きい。仏式のポンプヘッドの場合、「ロックされた」と思っても中途半端だったり、空気を入れている最中に圧力に負けてスッポ抜けることは良くあります。クリックバルブでは、まずそれが起こらない確実性も魅力です。
……では、そのクリックバルブの「クリック感」はどのように生まれているのか?
公式の動画で図付きで説明されていますが、イマイチ良く分からない。
ならば分解してみよう
動画を見ても分からない。ならば現物を見れば良い。

ということで、SCHWALBEの樹脂製ポンプヘッドを分解してみることにしました。
分解と言っても、今回やるのは「シリコンバンドを切断して外してみる」ことだけ。中身の金属部品を取り出すには樹脂部分をぶった切る必要がありますが、我が家にはそういった工具はありません。ただ、恐らくシリコンバンドを切るだけでもクリックバルブの構造が見える……はず。
そして私の予想が正しければ、シリコンバンドを切るとポンプヘッドは使用不能になります。少々惜しい気はしますが、誰も分解した写真を上げていないので、自分でやるしかありません。
今回、分解するポンプヘッドは、こちらのスターターキットに付属していたもの。樹脂製で、いわば「お試し用」だと思っています。
本運用するならば、こちらのアルミ製ポンプヘッドの方が良いでしょう。樹脂製は電動ポンプの熱で溶けてしまうかもしれませんし。
分解と結果
では分解していきます。
分解

シリコン部分にカッターナイフで切込みを入れました。結構硬かったです。
そしてゴムを外すと……

やはり。予想通り、シリコンバンドで鋼球を抑えていただけでした。
ポンプヘッドのボディ部には4つの穴が開いており、穴の内側は鋼球が少しだけ飛び出すような(しかし通り抜けない)大きさになっています。そこに鋼球が1つずつ入っているわけです。

バルブがポンプヘッドに挿入されると、バルブ先端の窪みに鋼球がフィットして固定されます。同時に鋼球は外側に押し出されるわけですが、それを抑えるのがシリコンバンド。

実際にバルブを挿入してみた図。鋼球が少し外に飛び出しています。これを本来はシリコンバンドが抑えて固定しているわけですね。

ポンプヘッドの中を覗いてみて、鋼球が4つ入っていることは分かっていました。当初はこの鋼球をバネか何かで押しているものだと考えていましたが、シリコンバンドの厚みを考えると何かを仕込む空間はなさそう。……となると、鋼球を抑えているのはシリコンバンドそのものであるはず。仮説は当たっていました。
なお、「鋼球でロックする」という構造は、コンプレッサーのホース接続に使用する「エアカプラー」にそっくり。恐らく、クリックバルブを思いついた人はこの構造にヒントを得たのでしょう。
結果と考察
シリコンは耐候性が強く、そうそう劣化しないものです。今回のように故意に切断しない限り、長く性能を保つはず。
また、ポンプヘッド内部にはパッキンに相当する部材が見当たりません。普通、ポンプヘッドは気密を保持するためにパッキンが必須。そして、そのパッキンが劣化するため、数年に一度の頻度でパッキンの交換が必要となるのが普通です。
HIRAMEであっても、パナレーサーのワンタッチヘッドであっても、パッキンの劣化からは逃れられません。中には、交換用パッキンが用意されていないポンプヘッドも存在します(airboneなど)。交換用がない製品は、パッキン劣化=ポンプヘッドの寿命となります。
しかし、このクリックバルブのポンプヘッドにはパッキンが存在しません。シリコンが劣化するには10年単位の時間が必要だと思われるので、このポンプヘッドがかなり長持ちするのは間違いなさそうです。

ではどうやって気密を維持しているのか? どうやらクリックバルブのパッキンはバルブコア側にあるようですね。ここが劣化したらバルブは使用不能になりますが、そうなる前にバネのほうが先に駄目になる気がします。
バルブコアは消耗品ですので、ある程度動きが渋くなったら交換するもの。消耗品(バルブコア)の中に消耗品(パッキン)を仕込むのは上手いやり方です。
まとめ
クリックバルブのポンプヘッドを分解してみたレポートでした。
あの絶妙なるクリック感と、高圧でもスッポ抜けない固定力が、こんな単純な構造で実現されていたとは驚きです。恐らく、その性能を実現するためにシリコンバンドの柔らかさについては試行錯誤があったのでしょう。
仕組みを理解すればするほど、クリックバルブを考えた人は「相当頭が良い」と思えてきました。単純な構造であるということは、堅牢であることにも繋がります。サードパーティーにも真似しやすいはずですし、「これを次代のスタンダードにしよう」という本気さが伺えますね。
仕組みを知って、ますますクリックバルブが気に入りました。今後とも愛用していく予定です。
……と、ポンプヘッドを1つ使用不能にしてしまったので、早速追加でポンプヘッド(アルミ製)を注文しました。これで3つ目です。
追記(樹脂部分の分解)
Twitterにて「割と簡単に樹脂部分も分解できますよ」という情報をいただきました。

確かにバラせました。こちらは1つパッキンが入っていましたね。

ただ、アルミ製のポンプヘッドには、やはりパッキンは入ってなさそうです。
著者情報
年齢: 41歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。




