SCHWALBE「クリックバルブ」を試験導入

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「第4の自転車用バルブ」とも言われる、「クリックバルブ」。いよいよデリバリーが開始されました。

3月頃に予約したものが届いたので、早速試験導入しています。

目次

まえがき

まずは導入までの話を書いていきます。

2024年に発表されたクリックバルブ

クリックバルブの存在を知ったのは昨年10月。

2024年6月のユーロバイクで発表され、ギークな人たちの間では話題になったクリックバルブ。日本で名前が知られたのは、このサイクルスポーツの記事が最初ではないかと思います。私も名前だけは知っていましたが、バルブの概要について知ったのはこの記事が最初でした。

特徴については上の記事を読んで頂くのが良いのですが、かいつまんで特徴を書くと以下の通り。

  • ポンプヘッドを差し込むだけで「カチッ」とロックされて空気を注入可能。
    仏式バルブに必要だった、ネジを緩める作業や、ポンプヘッドのロック操作が不要に。
    バルブの破損や、ネジ山の損傷リスクも低い。
  • クリックバルブのエア流量は仏式バルブの1.5倍。チューブレスタイヤのビード上げも容易に。
  • ポンプヘッドを外す際も、引き抜くだけで外れる。

米式・仏式・英式バルブに次ぐ、「第4のバルブ」です。

クリックバルブを提唱したとされるのは、ドイツのタイヤ・チューブメーカーである「SCHWALBE(シュワルベ)」。当サイトが過去に行ったアンケートでは、タイヤ部門で6位チューブ部門で2位だった大手メーカーです。

これだけの大手メーカーが提唱した規格ということで、次世代のスタンダードとなる可能性があります。

もつなべさんが妙に推すので……

ただ、バルブシステムを変更するというのは結構コストが掛かるもの。チューブ側だけではなく、ポンプ側も環境を整えねばなりません。そこで、私はしばらく様子を見ようと思っていたのですが。

知人のもつなべさん(最近はハブ毛の人として有名)が妙にクリックバルブをプッシュするので気になり始め、ついには注文してしまいました。とりあえず1セットだけ。移行するかわからないし。

当初は4月発売予定とされていました。まぁ「一ヶ月くらいなら待つか」と思ってワールドサイクルに注文したのですが。

納期が延長に次ぐ延長。これぞ自転車業界。当初の予定だった4月を過ぎても来ず、5月が終わっても来ず。「これは夏まで来ないか?」と考えていました。

なお、現物は3月末に行った台北ショーで確認。脱着のスムーズさについては試すことが出来たものの、空気を入れることは出来ませんでした。

6月、デリバリー開始

6月9日、突如ワールドサイクルからメールが届きました。クリックバルブの発送通知でした

注文からちょうど3ヶ月。6月10日にクリックバルブのコンバージョンキットが届きました。

SCHWALBE「クリックバルブ」

SCHWALBE「クリックバルブ」のファーストインプレッションです。

とりあえず、家にあるホイール1セットにクイックバルブを、フロアポンプ1個にクイックバルブ用ポンプヘッドを取り付けてみました。

パッケージ内容

今回購入したのは、「シュワルベクリックバルブ 仏式変換用キット」。クリックバルブのスターターキットのようなものです。中身は以下の通り。

  • クリックバルブ用ポンプヘッド(米式→クリックバルブ)
  • バルブコア外し
  • クリックバルブ(バルブコア)×2
  • バルブキャップ×2

こちらは仏式バルブ→クリックバルブの変換キット。これとは別に、米式バルブ→クリックバルブの変換キットも存在します。

重量

バルブコアの単体重量は2.4g。参考までに仏式バルブのコアも測定しましたが、こちらは1.4gでした。

ポンプヘッドは樹脂製。米式ポンプヘッドをクリックバルブに変換するもので、6.0gでした。

使用方法

使用方法について書いていきます。

取り付け(バルブ側)

まずは既存の仏式バルブから、バルブコア外しを使ってコアを外します。

そこに、クリックバルブのコアを取り付け。この際もバルブコア外しを使って締め付けます。

取り付け(ポンプ側)

クリックバルブを使用するためにはポンプ側にも専用ポンプヘッドを取り付ける必要があります。実は仏式のポンプヘッドでも空気を入れられるのですが、クリックバルブのメリットを最大限に享受するためには専用のポンプヘッドが必要ということ。

我が家のフロアポンプは大体仏式専用なのですが、米式口金を持つポンプを発掘。ワンタッチ口金を搭載する前の世代のPanaracerのポンプ「BFP-N02AGF」です。2020年、飛行機輪行用に買ったものですが、直後に電動ポンプが急激に進化してしまい出番のないまま5年間死蔵していました。

米式口金に、クリックバルブ用ポンプヘッドを接続。ネジ切り部分も樹脂ということで、しっかりねじ込まないと空気が漏れます。

これで準備は完了です。

空気を入れる

空気を入れる際の様子を動画に撮ってみました。

ポンプヘッドの取り付け・取り外し共にスムーズであることがお分かりになるかと思います。実際、力もほとんど要らず、確実に固定できました。差し込む時にはクリック感があり、これが「クリックバルブ」の名前の由来になっているようです。

最大で何気圧まで充填可能は示されていませんが、とりあえず7気圧程度なら全く問題なさそうです。

空気を抜く

空気圧の調整をしたい場合は、バルブ中央から出ているピンを押し込むと空気を抜くことが出来ます。

一応、「付属のバルブキャップの頭の部分を使うとピンを押すことが出来る」とされているんですが、ピンの出具合に個体差があるのか上手く行きませんでした。

2.5mmの六角レンチを突っ込むとスムーズに空気を抜くことが出来ました。一応、人間の爪でもピンは押せますが、なかなか難しいです。

仏式バルブとの互換性

クリックバルブは、仏式バルブ用のポンプヘッドでも空気を入れることが出来るとされています。ポンプヘッド側でのロック作業などは必要ですし、差し込み時のクリック感もありませんが、空気を入れることは可能です。

試しに、HIRAMEの仏式ポンプヘッドで空気を入れてみました。普通に空気が入りました。

ただし、仏式ポンプヘッドでも使用可能なものと不可能なものがあるようです。

押し込んだり、差し込んだ後にロックするような形式のポンプヘッドは使用可能。一方、ねじ込んで固定するようなポンプヘッドは使用不可能でした。参考までに、私の家にあったいくつかの仏式ポンプヘッドでの使用可否を以下に示します。

使用可能だったポンプヘッド・HIRAME「仏式ポンプヘッド」
・Panaracer「ワンタッチポンプヘッド」
・TOPEAK「ROADIE TT」
・TOPEAK「ROADIE TT mini」
・Oture「携帯ポンプ」
使用不可能だったポンプヘッド・TNI「お助けチューブ」
・SCHWALBE「タイヤブースター」
・TOPEAK「RACE ROCKET HP」
・CYCPLUS「AS2 PRO付属の延長ホース」

携帯ポンプはネジ込み式のポンプヘッドであるケースも多いので、空気を入れることが出来るかは事前に確認をしておいたほうが良いでしょう。出先で使えないことが分かると詰みますからね。

なお、Panaracerの空気圧計でも仏式側で空気圧を計測することが出来ました。恐らく、仏式バルブ対応の空気圧計であれば空気圧の測定が可能なはずです。

別ブランドのポンプヘッド

クリックバルブはSCHWALBEの専売特許というわけではありません。別ブランドからも買うことが出来ます。

実は開発元は「Clik」社。SCHWALBEはそのパートナーとして一番先に発表・販売をしたということです。クリックバルブに参入するブランドは増えてきており、現在は以下のブランドがクリックバルブ対応製品を販売しています。

  • SCHWALBE
  • SKS
  • Wolftooth
  • LEZYNE

さて、私はSCHWALBEの樹脂製ポンプヘッドに不安を感じたので、以下の製品を追加購入しました。

Wolftoothから販売されている、クリックバルブ用のアルミ製ポンプヘッドです。ただ、Wolftoothのロゴは入っておらず、これは恐らく開発元のClik社のものをそのまま販売しているだけと思われます。

こちらがClik社のアルミ製ポンプヘッド。しっかりしています。SCHWALBEの樹脂製ポンプヘッドは、あくまで「お試し」用なのでしょう。本格運用するなら、こうしたアルミ製のポンプヘッドが必要になると思います。

アルミ製なので重いかと思いきや、本体サイズは小さいので重量は樹脂製とほぼ同じでした。

これを買って何をしたかったのかと言えば……

電動ポンプによる空気充填です。電動ポンプは本体が発熱しますが、ホース部分を伝って口金部分もかなり熱くなります。樹脂製ポンプヘッドでは溶ける可能性があったので、アルミ製ポンプヘッドを使いたかったのでした。

空気を充填。接続も簡単で、しっかり空気を入れられました。

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まとめ

SCHWALBE「クリックバルブ」のファーストインプレッションでした。

付属する樹脂製ポンプヘッドが色々とイマイチでしたが、面白いシステムだと思います。アルミ製ポンプヘッドを使えば大体の問題は解消されそうですし、これから少しずつ試していきたいですね。

果たして、クリックバルブは世界を制するのか……?

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著者情報

年齢: 40歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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