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Clik「AeroBlue TPUチューブ」ファーストインプレッション
Clik社の販売するTPUチューブが日本上陸したので購入しました。最初からクリックバルブの装着されたTPUチューブです。
購入まで
まずは購入までの流れを書いていきます。
自分で差し替えるしかなかったクリックバルブ
「第四のバルブ」として華々しくデビューしたクリックバルブ。私も導入して日々の空気入れの手間が減ったことを実感していますが、一つ面倒な点がありました。
それは、「自分で仏式バルブコアを外して、クリックバルブのコアを取り付けなければならない」ということ。仏式バルブであれば、付いている状態で販売されています。しかし、クリックバルブは「仏式バルブを買ってきて自分で交換する」という一手間が入るわけです。
出先でのパンク修理用に持ち歩いている予備チューブも、基本的には仏式。自分でバルブコアツールを使って差し替える必要があります。
この交換の手間は最初の1回だけではあるのですが、地味に面倒であるとは感じていました。
ようやくクリックバルブ標準搭載のチューブが登場
2025年12月、ようやく「クリックバルブ標準搭載チューブ」が日本に上陸しました。

クリックバルブの権利を保持する「Clik」社から売り出されたTPUチューブ、その名もAeroBlueです。
Clik社のクリックバルブのイメージカラーと思われる水色のチューブとなっています。バルブは真鍮製。
ちょっとTPUチューブとしては高級なお値段(3960円)で躊躇しましたが、1個750円のクリックバルブが最初から付いています。それを抜いても3210円はやや高いのですが、代理店のダイアテックから500円の新年クーポンが出ていたので買ってみることにしました。最初に1個だけ買いましたが、実走テストのためにもう一つ購入しています。
なお、SCHWALBEからもクリックバルブ標準搭載のブチルチューブが販売開始されました。本国ではTPUチューブ「Aerothan」にもクリックバルブ標準搭載モデルが出ているので、近い内に販売が開始される可能性があります。
Clik「AeroBlue TPUチューブ」

Clik「AeroBlue TPUチューブ」のファーストインプレッションです。最初に65mmバルブのモデルを買って、その後45mmバルブのモデルを買いました。40kmほどテストライドをしています。
ラインナップ
AeroBlue TPUチューブのラインナップは以下の通りです。
| タイヤサイズ | バルブ長 | 重量 | 定価 |
|---|---|---|---|
| 700×18-30C | 48mm | 38.8g | 3960円 |
| 700×18-30C | 65mm | 40.0g | 3960円 |
| 700×18-30C | 85mm | 44.8g | 3960円 |
| 700×32-45C | 48mm | 51.2g | 3960円 |
| 700×32-45C | 65mm | 53.0g | 3960円 |
| 29 × 1.9-2.5 | 48mm | 81.8g | 4180円 |
| 29 × 2.5-3.0 | 48mm | 84.4g | 4950円 |
ロード用・グラベル用・MTB用とありますが、今回レビューするのは、ロード用の48mm/65mmバルブモデルです。
本国には26インチ用もありますが、日本では販売されていません。
パッケージ


箱はこのような感じ。クリック社のイメージカラーの水色。

パッケージ内は、チューブの他に修理用パッチとアルコールパッド入り。説明書は入っていません。
……そしてこの修理用パッチとアルコールパッド、見覚えがあります。詳細は後述。
各部詳細

バルブはもちろんクリックバルブコアが付属しています。クリックバルブのコアは1社製造なので、どこで買っても基本的には同じものです。バルブは真鍮製とされています。TPUチューブでは、樹脂バルブとアルミバルブはそれなりにありますが、真鍮バルブは結構珍しい。

バルブ根本の金色部分は真鍮の色と思われます。日本代理店のダイアテックによると、これは真鍮による強化パーツだそうで。

継ぎ目の部分は、最近のTPUチューブでよく見る、約2cm幅のタイプ。少し膨らみを持たせてあり、空気を入れた時に不自然にへこまないための対策だと思われます。
重量


48mmバルブが39.6g、60mmバルブが42.1gでした。昨今は30g台のTPUチューブが多いので、少々重めの部類に入ります。それでもブチルチューブよりずいぶん軽いですが。
バルブが比重の重い真鍮を採用していることで、バルブ長による重量差は出やすいはずです。
スペック
公称のチューブ厚みは0.22mm。私が実測した結果は0.209mmでした。GueeやPanaracerも大体これくらいの厚みで、TPUチューブとしては標準的な厚みです。
リムブレーキでの使用は、消極的ながら許可されているようです。日本代理店のサイトには以下の記載があります。
長時間の制動によるリム加熱(特にリムブレーキ使用時)は避けてください。
本国サイトの記載は以下の通りです。
ディスクブレーキとリムブレーキホイールに対応
AeroBlue ロード/グラベルTPUチューブは、リムブレーキと電動ポンプの両方の耐熱閾値を超える130°C(266°F)までの耐熱試験に合格しています。
TPUチューブとしては高めの温度までの試験を行っているようですが、リムブレーキにおいて130℃という熱は割と普通に達してしまう温度です。特にカーボンリムの場合は熱が冷めにくいので、長いダウンヒルでは容易に130℃は超えてきます。リムブレーキで使う場合は、長いダウンヒルを含むコースは避けたほうが良いでしょう。
そして、TPUチューブでバルブコアが交換可能な金属製バルブを採用し、48mmという比較的短いモデルを出している点も注目すべき点。
TPUチューブでクリックバルブが使用できる製品は少ないです。多くのTPUチューブには樹脂バルブが採用されており、樹脂バルブはバルブコアが接着されていて交換できません。となると金属バルブを採用している必要がありますが、日本で飯場されているTPUチューブでバルブコアが交換できる金属バルブを採用しているのは以下の4社だけです。
- Clik
- Guee
- Eclipse (スレッドバルブのみ)
- Panaracer
先日発表されたばかりのSPECIALIZEDのTPUチューブも金属バルブですが、バルブステムにネジが切られていません。そうなるとバルブナットを使えないので、押し込み式のポンプヘッドを使うクリックバルブではバルブ根本に損傷を生む恐れがあります。よって、使えない。
Panaracerは「先端がアルミ、根本が樹脂」というハイブリッドバルブを採用しています。しかし、一番短いバルブが65mm。30mm以下のローハイトリムであると、この樹脂部分が外に出てしまい、バルブナットが使えないのです。特にリムブレーキのホイールだとローハイトのモデルは多いので、リムブレーキユーザーにとっては悩みのタネになっているようでした。
Gueeはリムブレーキで使用不可なので、これまで「ローハイトのホイールを使うリムブレーキユーザーでTPUチューブをクリックバルブ運用したい」場合にはEclipseしか選択肢がありませんでしたが、今回のAeroBlueの登場で第2の選択肢が出来たことになります。

真鍮バルブを採用したTPUチューブということで、「電動ポンプでのバルブ溶け」にも対策されているのが良いですね。昨今は電動ポンプ派の人も増えているので、この点は重要です。
取り付け


チューブの色はポンプヘッドの色と全く一緒です。

シャマルカーボンに、Hutchinson「BlackBird」+Clik「AeroBlue TPUチューブ」でテスト。チューブに付属していたバルブナットは頼りなかったので、BBB「CoreCap」に付いていたものを取り付けました。
実走
前輪5.5気圧、後輪6.0気圧を入れて、40kmほどの実走テスト。

TPUチューブとしては重量がある方ですが、軽快な漕ぎ出しです。
乗り心地も、多少の芯は感じるものの、一般的なブチルチューブと同等くらいの乗り心地が出ています。TPUチューブの中では「標準~やや乗り心地が良い」部類に入ると思います。

こちらは、TPUチューブの乗り心地実験と同様の実験を行った結果のグラフがこちらです。AeroBlueは、ほぼど真ん中の位置にいます。
空気圧低下
24時間経過時点で空気圧を計測。低下の具合は以下の通りでした。
■前輪
5.53→5.39気圧 (-0.14気圧)
■後輪
6.04→5.91気圧 (-0.13気圧)
こちらの記事で書いた通り、クリックバルブは仏式バルブよりも空気が抜けにくい特徴があります。Panaracer「PurpleLite」は24時間で-0.09気圧だったので、それよりは若干多め。チューブそのものの空気圧低下は少し多めに見えますが、24時間で-0.2気圧程度のブチルチューブよりは空気圧低下が少ないので、十分実用的です。
既視感
さて、修理用パッチとアルコールパッドの既視感についてですが。CYCLAMIのチューブにそっくりなのです。

CYCLAMIは、いわゆる中華チューブの一角です。真鍮製バルブを採用している点で珍しかったですが、バルブコアは交換不可でした。よってクリックバルブ運用は出来ません。
類似ポイント


ピンク色が最近発売されたCYCLAMIのチューブです。表面に印刷された文字のフォントがよく似ています。そして、継ぎ目の形もそっくり。


極めつけは、チューブの継ぎ目に刻まれた謎の数字「2」と刻まれています。これは個体によって7だったりしますが、他社のチューブでこういう数字が刻印されていることはまずありません。AeroBlueの製造工場はCYCLAMIと恐らく同じなのでしょう。

そしてこれが「似てる」と感じた修理パッチとアルコールパッド。同じものですね。
違う点
まず、CYCLAMIのチューブとは重量が異なります。CYCLAMIのチューブは厚みが0.19mmですが、AeroBlueは0.22mm。耐パンク性か耐熱性を上げるために少し厚みを上げたのでしょう。それによって重量が嵩んだ。
チューブの色も違いますが、恐らく素材配合も異なります。私の推定ではCYCLAMIのチューブのヤング率は22.2MPa、AeroBlueのヤング率は30.0MPaです。耐熱性を上げたことで、若干硬めになっている可能性はあります。
空気圧低下も異なります。CYCLAMIのチューブは恐らくバルブ根本のシールが甘く、24時間で0.4気圧もの低下がありました。それに比べると、AeroBlueは24時間で0.1気圧程度の低下に留まっています。根本の真鍮補強が効いているのでしょうか?
バルブコアが外れる点でも異なります。CYCLAMIのTPUチューブは元来バルブコアが外れませんでした。このため、CYCLAMIのTPUチューブはクリックバルブ化は出来ませんでした。
ただ、ごく最近になってバルブコアが外れるタイプも出たようです。こちらも買ってみましたが、まだ空気圧低下テストはしていません。
まとめ
Clik「AeroBlue TPUチューブ」のファーストインプレッションでした。

1本1500円程度のCYCLAMIと似ているので「乗り心地は良いけど、空気圧低下が早かったら嫌だな」と少々警戒していたのですが、そこはきっちり値段分のリファインが加わっているようです。OEMであっても、設計と検品をする発注者の技量によっては化けるケースもあります。AeroBlueは、良いバランスのTPUチューブに仕上がっていそうに思えました。
長いダウンヒルでの使用は推奨されないながらも、リムブレーキにも対応している点も嬉しい方は多いと思います。「TPUチューブ」「リムブレーキ使用可」「バルブコア交換可能」「短いバルブでローハイトリムに対応」というのは選択肢が少ないですからね。
ただ、現在の3960円という値段設定はちょっとキツい気はします。あと1000円安いとかなり普及する気はするのですが……それにはクリックバルブ自体が普及して単価が下がらないと難しいかもしれません。
著者情報
年齢: 41歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。



