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「TPUチューブの乗り心地を数値化する」実験レポート
本記事は、ロードバイク Advent Calendar 2025の5日目の記事となります。
13本のTPUチューブを対象に、「乗り心地を数値化する」実験を行いました。長い実験レポートですが、興味深い結果となりましたので是非最後までお読みください。
全5ページとなっていますが、結論だけ読みたい方は最後のページを御覧ください。
実験の動機
まずは実験を行おうと思った動機を書いていきます。
TPUチューブの「乗り心地」変遷
2010年代終盤から広がり始めたTPUチューブ。その軽さから軽量化目的で使われることが多いですが、当初は(ブチルチューブに比べて)「乗り心地が硬い」と言われていました。実際にそういった製品ばかりだったこともあり、「TPUチューブとは乗り心地が硬いものだ」というのが自転車乗りの共通認識になっていたと思います。
私が取り組んでいるブルベでは、時に1000km以上の距離を走ります。少しの硬さが積み重なることで、手のひらやお尻の痛みとして現れるため、TPUチューブは中々使いにくい。結局、大事なブルベの時はブチルチューブを使っていました。

しかし、ここ最近になって「しなやか」と評される新世代TPUチューブがポツポツと現れ始めました。PIRELLIの「Smartube RS」はその筆頭。個人的にはGueeの「Aerolite(以下、Guee)」も新世代の一角と考えています。
チューブの乗り心地を数値化できないか?
しかし、各メディアでは「Smartube RSはよく伸びる」「他のTPUチューブとはぜんぜん違う」「ラテックスチューブのようだ」という印象が語られる一方で、それが「どれくらい伸びるのか」という点について定量的に評価している記事は見当たりませんでした。

私が購読している有料自転車メディア「輪郭」でもSmartube RSは絶賛。有料部分から引用して申し訳ないですが、「TPUチューブはSmartube RSとそれ以外」とまで言われていました。私が乗った中では最も乗り心地が良かった、Gueeもインプレ対象に含まれていましたが、Smartube RSに比べると一段落ちる評価。
もう一つの宿題アイテム、PIRELLI「SMARTUBE RS」も付けてみることに。
— ばる (@barubaru24) November 17, 2025
樹脂バルブは嫌だけど、安井さんと吉本さんがそこまで良いと言うなら試さねばなりません。 pic.twitter.com/BLtQauvWyK
「輪郭」のお二人がそこまで絶賛するならば……と思って、重い腰を上げて(実は購入済みだった)Smartube RSを使ってみることに。樹脂バルブが好きではないので、使うのを躊躇っていたのです。しかし、覚悟を決めてGueeを外し、Smartube RSを取り付けて実際に走ってみました。

私の印象は「GueeとSmartube RS、ほぼ区別がつかない」。どちらも同じくらい乗り心地が良く、漕ぎ出しも軽い。微妙にSmartube RSの方が乗り心地が良い気もするけれど、その差は微々たるもの。乗り比べに使用したReserveホイール(乗り心地がとても良い)にマスキングされている可能性はありますが、ブラインドテストなら私には判別できないと思いました。
しかし、「印象」はどこまで行っても主観的なものです。この「乗り心地」の差をなんとか数値化し、チューブ同士で客観的に比較できないか?
本実験は、こうしたきっかけで行うことになりました。
実験の概要
実験の詳細については後述しますが、一言で言えば「各チューブにオモリを吊るし、伸びた量を測定する」だけです。これに加えて、チューブの重量・扁平幅・肉厚を測定し、これらの値から「乗り心地」の指標化を試みました。
当所は、GueeとSmartube RSだけ測定しようかと思っていましたが、「どうせならば市場にある他のTPUチューブも測定したほうが傾向が見えてくるのではないか」と考えました。

そこで、家にあったTPUチューブ8種類に加えて、個人的に気になったTPUチューブを5種類購入。これがメインの測定対象です。

参考のために、ラテックスチューブ1種類と、ブチルチューブ4種類についても測定しました。
合計18本のチューブが測定対象ということになりました。
