「アレアレ!」、2/19(水)発売

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世界最高峰のブルベ「PBP」を舞台にした小説、「アレアレ!(著・パリュスあや子)」が、2/19(水)についに発売となります。

目次

告知

2025年2月19日(水)、講談社より小説「アレアレ!」の単行本が発売されます

表紙には、エッフェル塔・ランブイエ城・プルガステル橋と言ったPBP関連スポット、ブルターニュ地方の名物であるガレットや大会名にちなんだお菓子「パリブレスト」のイラストが描かれています。

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作品のストーリーは以下の通り。

1,200kmの過酷な旅路を輝かせる、勇気と優しさの物語。

還暦を過ぎ、突如ひとり身に。
途方に暮れる男は、一念発起しフランスへ飛ぶ。
8,000人が集う、伝説の自転車イベントに参加するためだ。
完走すれば、平凡な自分も胸を張れる――。
家族の再生をかけた戦いが始まった!

作品の舞台は、ブルベの最高峰「PBP(パリ・ブレスト・パリ)」。「自分に恥じない勝負」をテーマにした、全300ページの長編小説です。

主人公の国副進(65)は、ブルベ3年目にしてPBPに挑戦。その最中に出会う人達と彼自身の成長を描きます。

一番多く「アレ!」の声が降り注ぐチェックポイント

タイトルは、フランス語の「Allez!!(行け/がんばれ)」に由来。

PBPの走行中、実際に路肩で応援してくれる地元の方が掛けてくれる言葉です。ツール・ド・フランスの中継で聞こえてくる言葉としてもお馴染みですね。

フランス在住の日本人作家である「パリュスあや子」さんは、2023年のPBPを4日間に渡って取材。あの過酷なる現場の空気が、本書には確かに封じ込められています。

2023年12月の「小説現代」には本作の第1章が掲載されました。作品は第8章まであります。

作品に関する情報

作品に関する情報の紹介です。

作者・パリュスあや子さん

2020年に小説家としてデビュー。2018年にフランスに移住し、現在もフランス・パリで暮らしている「フランス在住の小説家」です。

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「アレアレ!」までに小説を2作出版。1作目の小説「隣人X」は2023年に実写映画化。今、非常に勢いのある作家さんです。

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2作目の短編集「燃える息」は先日から電子書籍でも配信が始まりました。

「アレアレ!」と私の関わり

2023年6月、パリュスさんからメールを頂きました。

取材依頼をもらう

用件は「PBPを舞台にした長編小説を講談社で出版したいと思っており、そのための取材をさせて欲しい」というものでした。これにはびっくり。

日本にもブルベを舞台としたマンガや小説は存在しています。「ろんぐらいだぁす!」や、「追い風ライダー」などがそうですね。しかし、ブルベの中でも更にマニアックなPBPを舞台にした作品はこれまで日本には存在しませんでした。

私としてもPBPを舞台にした作品を読みたいという気持ちはありました。ただ、プロの漫画家や小説家に「PBPを舞台にした作品を書いてください」と頼んでも誰も書いてくれないでしょう。今回は奇跡的にも向こうから興味を持ってくれたということで、二つ返事で取材をお受けすることにしました。

協力させて頂いたこと

テレビ電話での取材に加えて、草稿を読ませて頂いて違和感のある点なども指摘させていただきました。

草稿を確認したのは2023年6月。パリュスさんが実際のPBPを見る前のはずなのですが……この段階でほとんどツッコミどころのないほど「PBPの現場」が作中に再現されていました。いくつか指摘事項は送ったものの、非常に細かい話です(チェックポイント到着時間の整合性など)。

本職の小説家の取材力と想像力に舌を巻きました。

PBP2023 スタート地点の様子

それに加えて4日間密着取材を重ねたわけですから、ディテールはさらに洗練。PBP参加経験者が読んでも違和感を覚えない出来となっています。

また、登場人物たちが遭遇するトラブルは「PBPあるある」なトラブルをかなりの割合で網羅しています。PBP参加を目指している方にとっては一つの参考書にもなるでしょう。それほどの出来です。

「アレアレ!」感想

取材協力のお礼ということで、発売日前に講談社様より単行本を献本頂きました。既に読み終えています。

何を書いてもネタバレになってしまうので詳細な感想は避けますが、とにかくPBP現場の解像度が高い作品に仕上がっています。作中に出てくる人物も、実際のブルベにいそうな人たちばかり。

そして小説としても非常に面白い。ページ数は多いですが、スッと読めてしまうはず(私は頭の中で1200kmの道のりを反芻していたので4時間程かかりましたが……)。

以下は一部のネタバレを含む感想です。テキスト反転で読めます。

一部ネタバレ感想

本作で描かれるPBPのスタート地点の描写では、「同じグループでスタートする日本人女性Youtuberがスタート待ちの列の中で動画の収録をしている」シーンが出てきます。この話は2023年の6月に頂いた草稿段階で既に存在していたのですが……

2023年8月、現実のPBPのスタート待ちの列でスタートを待っていると、なんと私の背後で日本人女性Youtuberのベキさんの収録が始まったのです。「小説に先回りされたッ!?」と本気で驚きました。

その時の動画がこちらです。解像度が高いどころか、予言までしてくるとは……プロ小説家は恐ろしい!

その他、作中にはインタビューで話したエピソードがいくつか登場していて嬉しくなりました。

まとめ

小説「アレアレ!」の発売告知でした。

2023年6月に取材のお話をいただいた時点ではまだ出版は本決まりではなく、本当に出るのか少し心配していた部分もあります。2023年8月の現実の大会を終え、12月に「小説現代」で単行本の発売が予告されたときには胸をなでおろしました。そしていよいよ単行本の発売。私としても感慨深いものがあります。

PBPの象徴・ブレストのプルガステル橋にて

たぶんこの記事を読んでいる方は自転車に興味がある・詳しい方がほとんどだと思います。そういった方には非常に楽しめる小説に仕上がっていると思いますので、是非お手にとっていただければと思います。

紙の本としての販売のほか、電子書籍としても同時発売されます。どこでも読みたい方はこちらを!

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著者情報

年齢: 40歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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