2027年のPBPはルート大幅変更?

この記事は約 8分で読めます。

2027年のPBPは、これまでの大会と比べて大幅なルート変更の可能性が出てきました。

目次

まえがき

まずはこの話の発端から書いていきます。

PBP公式FBページが更新

Facebookには、PBPの公式Facebookページが存在します。

昨夜、こちらのページが2023年版から2027年版に更新されました。公式ページのプロフィール画像と、カバー画像が変更されています。

公式ページのプロフィール画像より引用

プロフィール画像を見ると、次回PBPは2027年8月22日~26日に開催となるようです。これは既報の通り。

公式ページのカバー画像より引用

問題はこちらのカバー画像です。画像右側にルートの概略と思われるものが描かれていますが、これが従来のルートと大きく異なっているのです。

2023年のルート

特に変更点として顕著なのは、パリとブレストの中間地点あたり。海にルートが近づいている部分があります。従来のPBPはずっと内陸部を通り、ブレストにたどり着くまでは海を見ないルートとなっていました。

では、この海に近い場所には何があるのか。世界遺産「モンサンミッシェル」です。

予告されていた「モンサンミッシェル」行き

実は次回PBPの「モンサンミッシェル行き」は、とある場所で予告されていました。

2024年2月には、PBP主催のACPによる、PBPクロージングセレモニーが実施されました。「なんで開催から半年も経って閉会式をやっているのか」と思われるのかもしれません。6000人に及ぶ参加者のデータを審査し、完走を認定するのには時間がかかります。大体確定した認定リザルトが出るのは、当年の末か、翌年の頭です。

これらの認定作業がすべて終わったあと、ようやく閉会式という段になるわけですね。

そしてこの閉会式の中でこんな発言があったようです。

パリ-ブレスト-パリ 2027 年版、日程は 2027 年 8 月 22 日から 26 日まで、出発地と到着地はランブイエ、モン・サン・ミッシェルの近くを通過するというアイデアによる新しいルート。

日程は予想の範囲。スタートとゴールはランブイエというのは従来通り。問題は一番最後で、「モンサンミッシェルの近くを通過する」新ルートを計画しているという話です。

この話は私も認識していましたが、与太話だと思っていました。モンサンミッシェルに行くとなればルートを大幅に変える必要があり、それに伴ってチェックポイントの配置も変わるはずです。

TanteniacのPCの様子

PBPのチェックポイントは、様々な機能を備えた場所です。通過したチェックをブルベカードにもらうだけではなく、レストランや売店、仮眠所など、ライダーにとって必要な機能が一通り揃っています。

PBPの参加者は6-7000人。これだけの人数がさみだれに訪れる場所ということで、チェックポイントの運営側スタッフにも、それなりの経験が必要になります。

PBPのチェックポイントは、2007年を最後に変更されていません。ずっと同じ街がチェックポイントに指定されてきました。運営のノウハウは着々と蓄積されてきたはずです。モンサンミッシェルを通ることでチェックポイントが大きく変わるとなると、このノウハウはリセットされます。

さすがにそういったことはしないだろう……と思っていたので「与太話」だと思ったのですが、まさかの本気ネタだったようです。

2027年大会に今から備える

PBPのルートは直前まで割とコロコロ変わります。過去にはフランスに飛んでからルートが変更されたこともありました。

今回はまだ大会本番まであと3年もあるので、調整が上手く行かずに「やっぱモンサンミッシェルはやーめた」ということも有り得ないとはいえません。とはいえ、こうして主催者がルート画像を出してきたのは、それなりに確度が高いことが伺えます。

今回の新ルートが実際に採用された場合、これまで使えていたPBPの攻略ノウハウのいくつかは使えなくなります

一番大きそうなのは、ドロップバッグ戦略の変更を余儀なくされそうな点です。このルートが本当であれば、従来往復ともに通過していた一大ターミナル「ルデアック」を片道でしか通過しないことになります。往復ともにドロップバッグにアクセスできたものが、片道でしかアクセスできないとなると影響はかなり大きいはずです。

本記事ではこのルート軌跡から2027年大会のルートを予想し、どんな影響が出るかを考えてみようと思います。

2027年のルート予想

カバー画像の軌跡と、過去のPBPルートから「こうなるんじゃないか」というルート(→RWGPS)を作成してみました。正しいとは限りませんのでご了承ください

往路と復路の区別

カバー画像のルートには往路・復路の区別は書かれていません。まずは、軌跡のどちらが往路か復路かを推測しました。

私の予想は上記画像の通り。緑が往路で、茶が復路と予想しました。

理由としては、中央部のモンサンミッシェル。ここを復路にするのではないかと考えたからです。

モンサンミッシェルは海に突き出した場所にありますが、今回のルートは海までは達していません。海よりも10kmほど南の街、「Pontrson(ポントルソン)」を通っているように見えます。つまり、本当にモンサンミッシェルまで行くとなれば往復で20kmほど余計に走らなければなりません。そうなると、最低でも往復でかかる時間は1時間。現地で観光をするとなると+1時間。2時間ほどのロスを覚悟する必要があります。

往路でこれだけのマージンを作り出すことは容易ではありません。しかし、復路であれば、上手く行っている人ならばそれくらいのマージンを作り出すことはできるでしょう(私ならそんな時間があったら睡眠に充てますが)。私が主催者ならば、モンサンミッシェルは復路に回します。

標準的な参加者の脚力ならば、モンサンミッシェル近く(900km前後)に到着するのは4日目の午前中。島の中に入る時間があるかは分かりませんが、眺めるのには不足がない明るさである可能性が高いです。

そんな感じで予想していくと、緑が往路、茶が復路となるという結論に達しました。

PCの配置

次に、PCの配置について考えます。以下に示すのは、カバー画像と2023年のチェックポイント配置を重ねた図です。

果たしてこの軌跡がどの程度正しいのかは分かりませんが、これを信じるとすると「2023年にはチェックポイントだったが、2027年にはチェックポイントではなくなる」場所や、「2023年は往復ともに通っていたが、2027年は片道だけで通る」場所が出てきます。

まず、2023年のチェックポイント配置を以下に示します。

往復で通過するポイント・Mortagne-au-Perche(往路はWP)
・Villaines-la-Juhel
・Fougeres
・Tinteniac
・Quedillac(往復ともWP)
・Loudeac
・Carhaix
・Brest(折り返し)
往路のみで通過するポイント・St.Nicholas-du-Pelem(WP)
復路のみで通過するポイント・Gouarec(WP)
・Dreux
2023年大会のポイント配置

このように、11箇所のうち8箇所は往復ともに通過していました。しかし、2027年のルートから予想されるチェックポイント配置は以下のとおりです。

往復で通過するポイント・Mortagne-au-Perche
・Villaines-la-Juhel
・Tinteniac
・Brest(折り返し)
往路のみで通過するポイント・Fougeres
・Carhaix
・St.Nicholas-du-Pelem
復路のみで通過するポイント・Loudeac
・Quedillac
往復ともに通過しない・Gouarec(WP)
・Dreux
2027年大会のポイント配置予想

往復ともに通過するポイントが大幅に減っています。特に、日本勢がドロップバッグを置く拠点となっていたLoudeacが復路のみとなっていることが大きく、戦略の大幅見直しが必要になるでしょう。

Gouarecは2023年に初めてWPとして採用された街なので外れることにはそこまで違和感がありません。ただ、Dreuxを通っていないように見えるのが気になります。代わりに、ルート軌跡が通過している街を見ると「Nogent-le-Roi」という街が新チェックポイントになる可能性が高い気がします。この街は2003年まではチェックポイントが置かれていた街です。2007年にDreuxにチェックポイントが移りましたが、それが20年の時を経て戻るのではないか?という推測です。

杓子定規にルート軌跡を見ると、CarhaixやQuedillacも通過していないように見えますが、ここは最終的に通ることになるのではないかと予想しておきます。

あと、ルート的に迂回しているモンサンミッシェル部分には新たにチェックポイントが置かれる可能性が高いと思われます(ショートカット防止のため)。チェックポイントではなく、シークレットコントロールかもしれませんが。

厄介そうな場所

2023年のPBPで多くの参加者が苦しめられた、Brest~Playbenまでの区間はそのまま2027年も採用されているように見えます。往路が終わった直後ですが、気の抜けない区間になりそうです。

その他、新たに通る区間も増えるので、その区間は私設エイドがあまり無い可能性も高いです。その新たに通る区間に激坂が含まれる可能性もあります。

距離

私の引いた予想ルートは1183kmしかありません。PBPは1200kmなので17km足りないことになります。

PBPは何故か毎回1220kmくらいであることが多いので、この状態から37km程度伸びることが予想されます。恐らく、その過程でCarhaixやQuedillacと言ったおなじみの街も通るのではないかと思いますが。Dreuxも通るようになるかもしれません。参考までに、過去5大会のコース距離は以下の通り。

2007年1227km
2011年1230km
2015年1230km
2019年1221km
2023年1221km
PBPの公式コース距離

さらに大胆な予想をすると、37kmのうち20kmを使ってモンサンミッシェルまでのピストン輸送ルートが入らないとも限りません。それだけ回り道をしても距離的には足ります。

まとめ

まだだいぶ気が早い2027年PBPルートのお話でした。現段階での根拠は簡単な概略ルートの軌跡のみなので、本記事の内容は妄想+α位の内容であるとお考えください

ただ、早い人は1年くらい前から準備を始める必要があるので、今から情報を追っておくのは大事かもしれません。道中にホテルを予約する派の方の場合、ホテルの予約が始まるのは1年前が目安。前回までの大会だとLoudeacに2泊ホテルを予約して往復ともに宿泊するのが一つの定跡でしたが、2027年はそうもいかなそうです。

かといって往復ともに通るTinteniacで宿泊するとなると、往路は早すぎ、復路は遅すぎ。そうなるとホテル戦略の場合は往復で違う街に抑える必要が出てきます。


ルート変更によって従来のノウハウが使えなくなる一方、「モンサンミッシェルに寄れるならばもう一度走りたい」という人も出てくるでしょう。

今のところ、2027年のPBPには出場する予定は私にはありませんが、情報のキャッチアップだけは続けていく予定です。初参加の知人をバックアップしたいという目的がありまして。

今後とも最新情報を追いかけていこうと思います。

著者情報

年齢: 40歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

記事のシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

目次