CATEYE「AMPP500N」ファーストインプレッション

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CATEYEから新発売となったライト「AMPP500N」を購入しました。

目次

購入まで

まずは購入までの流れを。

突如発表された「N」

10月5日、突如としてCATEYEの新ライトが発表されました。

発表された製品は3つ。いずれもバッテリー交換不可ながら軽量のAMPPシリーズの製品です。

AMPP2200は新登場の超明るいモデル。これまでAMPPシリーズの国内展開で一番明るかったのがAMPP1100だったので、一挙に2倍の明るさになったことになります。こちらはあまり私は興味をそそられませんでした。

私が興味を惹かれたのは「AMPP300N」「AMPP500N」のほう。こちらは既存モデル「AMPP300」「AMPP500」の後継機種という位置づけです。時流に合わせ、充電端子がmicroUSBからType-Cに変更されています。

隠れた名品「AMPP300」

私は既存モデルのAMPP300を以前に購入しています。

あんまり期待しないで買ったのですが、テストした結果「100ルーメンで8時間を一定光量で照射可能」であることが分かりました。

AMPP300は当時の定価3850円。この価格帯のライトは点灯時間と共に光量が落ちる、俗に言う「ダラ落ち」のライトが普通です。一定光量にするには追加の回路が必要となり、コストが掛かることが理由。

CATEYEでは大体10000円以上のライトからは、点灯時間が伸びても明るさが落ちない「一定光量」の機能を備える場合が多いです。VOLT800やVOLT1700はこの機能が搭載されています。高い値段ゆえの差別化ですね。

そういったセオリーがあったので、3850円で綺麗に一定光量を実現していたAMPP300には驚きました。この値段のライトでこんな真面目な作りをしてくるとは、「さすがCATEYE」と感心したものです。

300Nと500N、どっちを買うか

同時発表されたAMPP300NとAMPP500N。まずは一本、どちらかを買ってみることにしました。

スペックを眺めると、2機種ともに「端子がmicroUSBからType-Cに変更」「スイッチが大きくなって押しやすくなった」という変化がある様子。

AMPP300は明るさが2種類(300ルーメン、100ルーメン)だったのに対し、AMPP300Nは50ルーメンのモードが追加されています。ただし、バッテリー容量は2200mAhで据え置き。

AMPP500Nは明るさ2種類(500ルーメン、250ルーメン)だったのに対し、AMPP500Nは100ルーメンのモードが追加。そして、バッテリー容量は2200mAh→3400mAhと大幅に増えています

正直50ルーメンのモードは暗いので、あっても使わないはず。であれば、バッテリー容量が増えて実用的な明るさとして最低限の100ルーメンを備えるAMPP500Nの方が魅力的です。

そんなわけで、いつもお世話になってるサイクルキューブさんでAMPP500Nを入荷と同時に購入しました。

なお、こちらは店舗限定販売で、通販では購入することが出来ません

CATEYE「AMPP500N」

AMPP500Nのファーストインプレッションです。

AMPP500からの変更点

旧版のAMPP500との違いは以下のとおりです。

  1. バッテリー容量が2200mAh→3400mAhに変更。
  2. 充電端子がmicroUSB→TypeCに変更。
  3. 100ルーメンのローモードが追加された。
  4. スイッチが大型化して押しやすくなった。

個人的に重要なのは1と3です。

パッケージ

パッケージの裏面と側面。書いてあることはいつもと大体同じですが、環境に配慮した旨の文言が追加されています。そして、USB Type-Cケーブルは付属しないようです。大体どの家にも何本か転がってるはずなので問題はないと思いますが。

付属品はフレックスタイトブラケットと説明書のみ。

各部詳細

各部の詳細を見ていきます。

旧AMPP500は底面に充電端子がありましたが、背面部に移動しました。Type-C端子です。基盤がむき出しになっているので、パッキンはしっかりと閉めないと浸水した時に怖いかもしれません。フタに湿度抜きの仕掛けは無し。

左: AMPP300、右: AMPP500N

レンズは旧AMPP300Nと同様の形状に見えます。特に防眩加工はありません。

レンズサイドには切り欠きが設けられ、側方視認性に配慮しているのも従来通り。

底面にはバッテリー容量が記載されています。飛行機輪行ではこの記載が重要です。

「大きくなって押しやすくなった」と書かれているスイッチですが、横から見ると出っ張っています

旧AMPP300

従来のCATEYEのライトは、旧AMPP300も含めてスイッチ周辺が凹んでいました。これは、カバンなどに入れた際に周囲のものと接触して点灯、それによる発火の発生を防ぐためです。

RN1500をカバンの中に入れていて荷物を焦がした話を見るたびに、CATEYEのスイッチ部分の細やかな配慮には驚かされたものですが、なぜ今回はその配慮をやめてしまったのか不思議です。

モバイルバッテリー機能のあるRN1500に比べるとカバンに入れるシーンは少ないかもしれませんが、盗難防止のために駐輪時はライトを外す人もいるでしょう。そういうケースでちょっと危険な気もしますが……。

重量

実測重量はピッタリ100g。公称は109gなので、少し軽かったです。

3400mAhのバッテリー搭載のライトとしてはかなり軽い部類と言えるでしょう。

大きさ

AMPP300とAMPP500Nを比較してみました。AMPP300とAMPP500のガワの大きさは同じなので、大きさだけならAMPP500とAMPP500Nの比較と同様ということになります。

AMPP500Nのほうが少し丸みを帯びた形状になっていますが、サイズ感はほぼ同じです。

点灯モード

AMPP500とAMPP500Nの点灯モードの違いを以下に示します。

モードAMPP500AMPP500N
High500lm / 1時間30分500lm / 2時間00分
Mid(モードなし)250lm / 5時間00分
Low250lm / 3時間00分100lm / 10時間00分

バッテリー容量が増えたことにより、各モードの点灯時間がアップ。100ルーメンモードも追加され、10時間の点灯となっています。

バッテリー容量からすれば17時間くらい点灯してもおかしくないんですが、価格的にあまり効率の良くないLED素子を使っているのかもしれません。

連続点灯テスト

さて、いつものように当サイト恒例の連続点灯&照度テストも実施しました。

Lowモード(100lm / 10時間00分)をテスト。結果は以下のようになりました。

Lowモードの計測結果

綺麗な一定光量のグラフとなっており、最後まで明るさが落ちません

消灯までの時間は14時間46分。公称の点灯時間10時間よりも大幅に使用可能な時間が長いことになります。この点灯時間は最も夜が長い時期の日没から日の出までの時間に相当するため、100ルーメンで間に合う人ならばオーバーナイトでも間に合う計算となります。

続いて、Midモード(250lm / 5時間00分)をテスト。結果は以下のようになりました。

Midモードの計測結果

5時間13分まで一定照度を保ち、6時間27分で消灯しました。公称の5時間は一定光量を保ち続け、スペックに偽りはありません。

旧作のAMPP500も一定光量のライトであることが確かめられていますが、後継機種であるAMPP500Nもその特徴を引き継いでいました。旧作は「250ルーメン/3時間」が最長の点灯モードでしたが、「100ルーメン/10時間」のモードが増えて本格的なナイトライドにも対応可能となっています。

2024/10/29 追記

本記事の公開当初は「時間とともに明るさが落ちる(ダラ落ち)」と書いていましたが、再計測を行った結果「一定光量である」ことが確かめられたので記事内容を訂正いたします。誤った情報を掲載してしまい、申し訳ありませんでした。

詳しい経緯はこちらの追記の章をご参照ください。

……期待に反して見事な「ダラ落ち」でした。

消灯までの点灯時間は13時間29分。公称よりは3時間半ほど長かったですが、消灯の1時間前には最初の明るさの半分まで下落しています。私は旧AMPP500を持ってはいませんが、d@さんの計測によればAMPP300と同じく一定光量であることが確認されています。

「AMPP500が一定光量なのだから、当然AMPP500Nも一定光量だろう」と思っていたのですが、そんなことはありませんでした。AMPP500→AMPP500Nの世代変更により、一定光量機能は廃止されてしまったということです。

AMPP500Nよりも更に低価格なAMPP300Nも、恐らく同様に一定光量ではない可能性が高いです。

配光

左:AMPP300、右:AMPP500N

配光は上下の無い円形……というよりは四角形配光です。

充電

充電時の電流を計測してみた所、以下のようなグラフになりました。

大体0.9Aで進行、満タンに近づくと少しずつ電流が減ります。約14500秒=4時間で充電が完了しました。公称充電時間ピッタリです。

現代のライト&Type-C端子搭載としては、充電時間が遅めではあります。

追記: 本製品は一定光量ライトでした(2024/10/29)

本記事の公開当初は、「AMPP500Nは時間と共に光量が落ちるライトである」と記載していました。これは、間違いでしたので、お詫びして訂正申し上げます。「AMPP500Nは一定光量で最後まで使える」ライトです

端的に言うと私の照度測定の実験ミスだったのですが、その経緯を詳しく書いておきます。

CATEYEからの指摘

10/28、本製品の開発元であるCATEYEから連絡を頂きました。内容は以下の通りです。

  • AMPP500Nの記事を読ませて頂いた。
  • AMPP500Nはダラ落ちではなく一定光量になるように設計している。
  • 不良個体かもしれないので、代品と交換して該当個体を確認させてほしい。

ご案内頂いた通り、手元の個体をCATEYE宛に送ろうとしたのですが。念のため、こちらでももう一度照度測定実験を行っておこうと思い立ちました。

再測定を実施しようとしたら……

当サイトではライトの照度測定をこれまでに約40本ほど行ってきました。測定は以下の簡易的な装置で行っています。

左手には三脚に取り付けたライトを置き、右手には照度センサーの受光部を段ボール壁面に両面テープで貼り付けています。実際の測定時には段ボールのフタは閉じて、外部の光は入りません。

結構この装置は大きいので普段は押し入れにしまっています。前回のAMPP500Nの計測後にも押し入れにしまっていましたが、今回の再実験にあたって取り出しました。そして実験をしようとフタを開けると……受光部が箱の中に落下していました。両面テープの接着力が失われていたようです。

この落下した受光部を見て頭をよぎったのが、「私の実験ミスであのダラ落ちのグラフが出たのではないか」ということでした。

受光部は少しでも光が当たる位置がズレただけで測定値が変わります。もしかしたら、「AMPP500Nの測定中に両面テープが目に見えない程度の具合で剥がれはじめており、その結果として測定値が小さくなった」ということではないか……。

その仮説を確かめるため、両面テープを従来よりも強力なものに交換した上で貼り付け直して実験を行うことにしました。

再実験の結果、一定光量を確認

再実験の結果のグラフは以下のとおりです。

AMPP500N 再実験の結果グラフ

見事に一定光量のグラフとなりました。これにより、「両面テープが剥がれて受光部の位置が変わった」仮説が恐らく正しいであろうことが確かめられました。

しかし、受光部の位置がズレたのであればグラフの形状がいびつになり、気づけそうなものです。

左側がAMPP500Nの計測ミス時のグラフです。そして右側は、同じくCATEYEでダラ落ちになることが分かっているGVolt70のグラフ。非常に似た形状になっています。非常にゆっくりと両面テープが剥がれ、目に見えない程度に受光部の位置が少しずつ変わっていったということでしょう。

CATEYEのライトの場合、ダラ落ちのライトは大体右のようなグラフ形状になるので、AMPP500Nのグラフを見ても何も不自然に思わなかったのでした。

お詫びと今後の対策

連絡をくださったCATEYEの方には、ここまでに書いた経緯を詳しく伝え、お詫びをさせて頂きました。

ユーザーの利便を考えて一定光量として設計されたライトに対し、誤った情報を記載してしまい大変申し訳ありませんでした。

CATEYEの方によれば、「AMPP300Nも一定光量となるように設計している」とのこと。
旧AMPP300と同様、名作の系譜は引き継がれているようでした。

今回は照度測定実験で不備がありましたが、照度測定グラフは「ライト選びに役立った」という声も多く頂いているため、今後も継続する予定です。ただし、測定のたびに受光部裏の両面テープは新しいものを貼り直す運用に変更します。もっと確実な受光部の固定方法があれば良いのですが、受光部を塞がずに固定する良い方法がないため、両面テープ運用は継続します。


念のため、過去の結果にも誤りがなかったかを確認しました。

VS1200の測定結果(2024/6実施)

AMPP500Nの測定の一つ前に行ったのがiGPSPORT「VS1200」。2024年6月に実施した測定ですが、この時は綺麗な一定光量のグラフが出力されています。両面テープの剥がれはこの時点ではなかったようで、以前の測定結果のグラフには誤りが無さそうであることが確かめられました。

まとめ

前作、AMPP500の良さはそのままにブラッシュアップされたライトでした。

  • 6380円という低価格で一定光量。それでいてバッテリー容量は1.5倍に増量。
  • 100ルーメンで点灯時間の長いモードが追加されたことで、長時間のナイトライドにも対応。
  • 前作では250ルーメンのモードは3時間半(実測値)しか点灯できなかったが、バッテリー容量が1.5倍になったことで6時間27分(実測値)も点灯可能に。

最後の項目が何気に注目ポイント。これだけ明るく点灯時間がながければ、ブルベでも活躍するはずです。

ちなみに、私が2015年のPBPでメインライトとして使用したVOLT700のローモードは100ルーメンです。AMPP500Nのバッテリー容量はVOLT700とほぼ同等(AMPP500Nの方が少しだけ多い)ので、点灯時間も同等になっています。

もちろん、自転車通勤のような用途に使う場合でも、電池切れまでの使用回数を増やすことが出来るはず。1日30分の自転車通勤でローモードを使用した場合、29日間使える計算です。出勤日ベースで考えれば一ヶ月充電要らずということに。

スポーツ自転車を始めたばかりの人はもちろんのこと、シリアスなロングライドを行うユーザーのサブライトとしても十分な性能を備えたライトになったと言えます。


一つ気になるのが、「スイッチの出っ張り」です。スイッチが大きくなることよりも、誤って点灯しないほうが私は大事だと思うのですが。

なお、AMPP2200にはそうした事故を見越してか、ロック機能が搭載されています。「AMPP500Nにももしかしたら搭載されているかも?」と思って試してみましたが、搭載されていませんでした。

最大500ルーメン程度ならば発火や焦げ付きといった事態は起こらないという判断かもしれませんが、出来れば下位機種にもスイッチロック機能は搭載してほしかったですね。


なお、11/13にはAMPP300N/500N/2200を体験できるイベントが名古屋の「RideOasis」にて実施されます。

夕方18時からの開催で、実際に自身の自転車にライトをつけて走行が可能であるとのこと。気になった方は是非行ってみてください。

著者情報

年齢: 40歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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