【レビュー】3T「DISCUS TEAM 35 STEALTH」

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評価:3.5

3Tのディスクロード向けカーボンクリンチャーホイール。DISCUSSシリーズには、ディープリムのC60とセミディープのC35がありますが、今回レビューするのは後者です。

他の製品と同じく、上から「LTD」「TEAM」「PRO」のグレードがあり、今回レビューするのは「TEAM」グレードとなります。

目次

購入動機

所有しているディスクロード「SCOTT SOLACE DISC」。「乗り心地が悪い」という、エンデュランス系ロードとして致命的な弱点がありました。

ハンドルをカーボンに変え、バーテープをゲル入りのものに変え……と試してみましたが、多少は改善されても決定的に良くはならず。タイヤを28Cにすれば解決する気はしていますが、それは重量増を考えるとやりたくない。ということで、残されたホイールを変更しようと思い立ちました。

ディスクロードのホイールは、選択肢がかなり少ないのが現状です。完組で5~10万円のボリュームゾーンの製品がほとんどありません。更にホイールの選択肢を減らすのは「ローターの固定方式(センターロック、6穴)」「アクスル方式(クイック、スルーアクスル)」と言った規格が乱立していることです。恐らくDura9100が出れば改善されるのでしょうが、あと一年は掛かるでしょう。

そんな時、発表されたのが「ZONDA DISC」でした。予価は8万円程度。しかも、センターロック対応で、前15mmスルーアクスル対応。うちのフレームにぴったりだったのです。

よーし「ZONDA DISC」買うぞ!と思っていたのですが。とある店に行ったら本製品が売られていました。

センターロック対応で、前15mmスルーアクスル対応。黒いリムに刺し色の赤。リムはカーボンクリンチャー。それだけ条件が揃って、お値段は定価の半額の118800円。現行製品のはずなのに、ありえない割引率。諸事情による割引だそうですが、製品自体に問題があるわけではなさそう。よりディープなC60も半額になっていましたが、レースをするわけではないので、漕ぎ出しの軽さを重視したC35にしました。

取り置きをしてもらって数日悩み、結局購入することとなりました。

製品概要

実測重量は、前:716g、後:844g。合計1560gです(リムテープ、ローターのロックリング重量含む)。

付属品は以下。

・ホイールバッグ×2
・前後クイックリリース
・アクスルコンバーター各種

「C35」というホイール名ですが、リムハイトは32mm(C60は58mm)。

リム外幅は25mm、リム内幅は18㎜と、流行のワイドリムに比べても太めの設定。クリンチャー対応ですが、チューブレスには対応していません。リムテープ式。

スポークはPILLARで前後とも24本(ストレートプル)。ローターの取付方法はセンターロック式。

特筆すべきは、ハブが色々なアクスル形式に対応していることです。コンバーターが付属するので、それを取り換えて対応します。

前: クイックリリース(幅100mm)、スルーアクスル(径15mm,12mm/幅100mm)
後: クイックリリース(幅130mm)、スルーアクスル(径12mm/幅135mm,142mm)

アクスル方式は大体業界内のスタンダードが固まってきましたが、まだまだ各社色々な方式を取っています。前はスルーで後ろはクイックとか。このホイールなら大抵のフレームに対応できるはず。

使用感

SCOTT SOLACE DISCに取り付けて使用しています。

タイヤは前のホイールに付いていたSCHWALBE ONE(25C)を引き続き使用。用途はロングライド、ブルべです。ディスクロードなので、主に雨が降る日に使うことが多くなっています。比較対象は、完成車に付属していた、「Syncros RP2.0」です。

重量

公称重量は1450gなのに対し、実測重量は1560g。

ただし、これはリムテープと、ディスクローターのロックリングを含む重量です。リムテープが両輪で40g、ロックリングが両輪で20gとすると、ホイール単体としての重量は1500g程度となります。40gはホイールとして相当サバ読んでる印象がありますね。

それでも前のホイール(Syncros RP2.0)が1703gあったので、143gの軽量化となりました。

取付

リムブレーキと違い、ディスクブレーキの場合には割と取付までにやることが多かったです。「ローターの移植」「タイヤの移植」「スプロケの移植」「アクスルコンバータの取り付け」「ローターとキャリパーの位置調整」の5段階です。

ローターの移植。センターロックなので、取付さえ出来れば斜めに入ることはありません。

タイヤの移植。ワイドリムだからなのか分かりませんが、異様にタイヤが嵌めやすかったです。注意すべきは空気圧で、リムにタイヤ幅と上限気圧が書かれています。これがかなり低圧。体重が重い私にはちょっと辛い設定です。

スプロケの移植。これはリムブレーキと同じ。ただし、スプロケを取り付ける前にアクスルコンバーターを取り付ける必要があります。135mm幅の12mmスルーアクスルがデフォルトなのですが、うちのフレームは142mm幅なので、エンド幅を広げるコンバーターを取り付けました。

最後に、ローターとキャリパーの位置調整。そのまま取り付けるとローターがキャリパーに触れてしまったので、キャリパーの位置調整を行いました。これで取付完了。

走行性能

一番気にしていた乗り心地ですが、従来よりも良くなりました。リムのカーボン化による振動減衰の向上だと思われます。と言っても、やはりリムブレーキの場合よりも乗り心地は悪いので、これはもうフレームを変えないとどうにもならないのかもしれません。

これまでよりもハブの回転性能と横剛性が上がった印象で、加速や巡航はより楽になっています。漕ぎ出しの軽さはリム重量が減ったことも効いてそうです。リム幅は従来と同じなので、コーナーリング時の安定性は特に変化なし。

また、従来のホイールでは、思いっきりダンシングをした際にローターがパッドに擦る音がしていたのですが、このホイールに変えてからは無くなりました。

ブレーキング

ローターも変えていないので、特にブレーキング性能については変化を感じませんでした。

見た目

印刷ではなくデカールですが、渋い見た目に赤のワンポイントというデザインは気に入っています。バルブとデカールの位置関係がイマイチなのが写真撮影時には気になりますが……。

その他

少々心配していたのがコンバーターの性能です。同じホイールを使っている方が、「500㎞ほどでガタが出た」と言っていたので。私は今の所500kmほど使用しましたが、特に不具合はありません。

ディスクブレーキのアクスル界隈は規格が乱立しているので、このホイールのコンバーター方式は評価したいですね。スペックが良くてもアクスル方式の違いで候補から消えるホイールがあるのは辛いので。MAVICのKSYRIUM PROなども、最近は似た方式を採用しているようです。

まとめ

11万円という値段でこの性能のホイールが手に入ったので満足しています(定価は高すぎると思う、15万円くらいが適価)。

ただ、重量詐欺についてはどうにかしたほうが良いかなと。本国サイトでは公称重量が「1464 – 1484 g (+ / – 2%)」とわざわざ誤差表示までしているにもかかわらず、この範囲には収まっていません。工業製品としてコレはダメですね。

気になるのは耐久性です。コンバーターを使って色々なアクスル形式に対応するという思想には賛同したいのですが、この部分は樹脂なのでどこまで持つのか。長く使いたいものです。

3T(スリーティー) DISCUS TEAM C35 STEALTH (前後セット) [ホイール] [ロードバイク] [アルミ]

評価

対象モデル:  3T「DISCUS TEAM 35 STEALTH」
年式: 2016年
定価: 237600円(税込)
購入価格: 118000円(税込)
公称重量: 1450g
実測重量: 1560g

価格への満足度

8/10

半額で買えたので。

総合評価

7/10

性能と対応アクスルの多さを評価。

レビュアー情報

年齢: 32歳(レビュー執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: QUARK ロードバイク(スチール), GIANT ESCAPE RX(アルミ)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせて頂きました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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