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【レビュー】FSA「No.69 SRS Headset」
評価:3.5
FSAのヘッドパーツ。ヘッドチューブに各種ケーブルを引き込む、「セミ内装」でのルーティングを可能にするヘッドパーツです。
購入動機
GE-110を組む際にポジションをなんとか出すために購入しました。
GE-110購入時の悩み
GE-110購入時にもっとも悩んだのは、「SサイズとMサイズ、どちらを買うか?」でした。
Sサイズの場合 | Mサイズの場合 |
---|---|
○ 欲しい低さまでハンドルを下げられる。 | ○ 110mmステムでポジションが出る。 |
×ステムが120-130mmになってしまう。 | × 欲しい低さまでハンドルが下がらない。 |
一言で言えば、「Sサイズはスタックが丁度よいが、リーチが短すぎる」「Mサイズはリーチは丁度良いが、スタックが大きすぎる」ということです。
個人的には「フレームサイズで迷ったら大きい方にしておく」派です。重量は重くなりますが、安定感が出やすいので。それに、120-130mmというステムは私の感覚では長すぎて、違和感が出る予感もありました。
そんなわけでMサイズを購入することを決めました。
Mサイズフレームのハンドルを下げる方法の模索
Mサイズの購入を決めた所で、次は「ハンドルをどうやって下げるか?」の模索です。
GE-110のヘッドチューブはそれほど長くはありません。にもかかわらず、ハンドル位置が高い。それは何故かと言えば、ケーブル内装システムの影響です。
GE-110は最近流行りの「ケーブル完全内装(ハンドル周りにケーブルが一切露出しない)」に対応していますが、それを実現するためのステムがちょっと特殊なのでした。
こちらはGE-110に付属するステムとヘッドパーツです。ハンドルからステムの中を通ったケーブルは、ステム下に開いた穴から一旦外に出て、ヘッドチューブ内に導かれます。
この「穴から一旦外に出たケーブル」を隠し、ケーブルの屈曲具合を抑えるためのカバーが曲者です。これが15mmもの厚さがあります。実際にはその下のヘッドキャップもセットで使う必要があるため、ステム下に25mmものスペーサーが入る形になり、ハンドルが高くなってしまうわけです。
セミ内装システムの模索
では、このシステムを使わないで、ケーブルをヘッドチューブからフレーム内に引き込む方法はないのか?
今はケーブルフル内装が前提のフレームばかりなので、そういった内装システムは色々と選択肢があります。つまり、ステム下に入るスペーサーが出来るだけ薄い内装システムを探し出せば今回の要件を満たすことが出来ます。
また、今回は普通のステム(ケーブルがステム内を通らない)を使うつもりだったので、そういった場合にも組みやすい「セミ内装(ステムの下をケーブルが通る)」で組むことを考えました。
その時、検討したセミ内装システムは以下の通りです。
システム名 | スタックハイト |
---|---|
Deda「S-DCR」 | 16.2mm |
FSA「SRS」 | 10.9mm |
TOKEN「S-BOX」 | 18.9mm |
「スタックハイト」=「ステム下に入る最小のスペーサー厚み」です。
どれを選んでも、現状の25mmよりは薄くなります。ただ、なるべく薄いほうがハンドルを下げる余地が残るわけです。ハンドルを上げたければコラムスペーサーを積めば良いわけですが、下げるのには限界があります。
もっとも薄いのは。FSA「SRS」であることが分かりました。Dedaよりも5mm薄い。
そんなわけでFSA「No.69 SRS」を購入したのですが……実はこのパーツのスペック表、全くのウソだったのです。
製品概要
重量は未測定。
フォークコラムが1-1/8インチ、下が1.5インチのテーパードフォークに対応しています。
スタックハイトは「10.4+0.5=10.9mm」との記載がありますが、これは誤りです。実際には16.0mmあります。
使用感
GE-110のヘッドパーツとして使用しています。
実際の所、ヘッドベアリングはフレーム付属のものを使用しているため、本ヘッドパーツで使用したのは上側のフタ(ヘッドキャップ)だけです。
スタックハイト
このレビューで一番書きたかったのはこの話です。
FSAの公式サイトには、この記事を書いている現在も「スタックハイトは10.9mm」という記載がありますが、これは誤っています。
実際に測定してみると、ヘッドキャップの厚さは16mmありました。1mmでも下げたい場面なのに公称より5mmも厚いとは予想外でした。
当初の想定よりも「あと5mm」下げる必要が出てきてしまったため、この記事に書いたステム探しをしていたわけです。もし本当にSRSのヘッドキャップが10.9mmだったら、-8°のステムでもポジションが出たはずなのですが、あと5mmを稼ぐために-12°のステムを探すことになりました。
組付け
組付けはプロショップに依頼しました。
今回は、変速・ブレーキともにワイヤー式を採用しています。屈曲が大きいと変速性能・ブレーキ性能に影響が出るので、少しケーブルの長さに余裕を持たせて屈曲の具合を小さくしてもらいました。
外観
ケーブルはこんな感じでフレームの中に引き込まれます。ヘッドキャップの穴は十分に大きく、変速ケーブル・ブレーキケーブルの合計4本が問題なく通りました。穴も面取りがされており、ケーブルアウターに傷がつかないように配慮されているようです。
仮にスペック表記の10.9mmの厚みだったら、ケーブルが4本通るかはちょっと怪しそうに思えるので、どうやっても15mm前後の厚みは必要なのかもしれません。
その他
このセミ内装の良い点は「ステムの調整を行いやすい」こと。
ケーブルがステム内部を通らないので、ステムの交換やスペーサーの入れ替えといった作業でケーブルを抜く手間がありません。
まとめ
汎用ステムを使ったケーブルのセミ内装を実現出来るヘッドパーツ。
特に不具合などもなく一年ほど使いました。性能面では問題のない製品だと思いますが、スペック表記が間違っていることを書き残したくレビュー記事を書きました。私のように「少しでもハンドルを下げたい!」という人が公式の表記を信じると5mmも厚いものが届くわけですからね。検討段階で回避できる情報が必要だと思ったのです。
FSA公式サイトのスタックハイトは未だに間違っていますが、日本代理店のポディウムのサイトには「15.5+0.5=16 mm」という記載があります。こちらは正しいです。何故、メーカー公式が間違っていて、代理店の表記が合っているのか……?
評価
対象モデル: FSA「No.69 SRS Headset」
年式: 2023年
定価: 6400円
購入価格: 9680円
公称重量: 94g
実測重量: 未測定
価格への満足度
ヘッドセットとしては普通の価格。
総合評価
結果的にセミ内装では一番薄いスタックハイトを持つが、表記が間違っているのが頂けない。
著者情報
年齢: 40歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。