Garminデバイス同士のルートデータ共有機能が実装

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Garminの機器(一部)に、デバイス同士でのルート送信・受信機能が追加されました。

目次

まえがき

Garminシェア機能についての前情報です。

Garminシェア機能の新規実装

先日、Edge840向けに配信されたファームウェア(v24.18)はかなり大量のバージョンアップが入っていました。

その中で、私が一番気になったのが今回記事で取り上げる「Garminシェア」という機能です。

Garmin Share を追加しました。互換性のある Garmin デバイス間で、ワークアウト・コース・ウェイポイントを共有します。

一言で言えば、「近くにあるGarminデバイス同士でデータを送受信できる機能」です。

グループライドで、ルートデータを入れ忘れた人がいたとしましょう。その人がGarminシェア対応のサイコンを持っていれば、ワイヤレス通信でデータを送ることが出来る……というわけです。

私の手持ちの機器では、「Edge840 Solar」と「Forerunner 255s」がGaminシェアの対応機種でした。

早速、最新ファームウェアをインストール。テストしてみることにしました。

eTrexには存在していたルート送受信機能

Edgeシリーズには今回初実装となったルート送受信機能ですが、トレッキング用GPSであるeTrexシリーズの最上位機種には昔から類似機能が存在していました。それが、「ワイヤレスユニット通信」機能です。

■ワイヤレスでの共有(Share Wirelessly)
(eTrex10/20/20x は無し)
他のユーザーとウェイポイント、ルート、トラック、などの情報をワイヤレスに
て共有することが可能です。
Main Menuの「Share Wirelessly」を押します。

  1. 互いの GPSの位置(距離)を 3m以内にします。
    2.送信側は send、受信側はReceiveを選択して下さい。
    3.送信したい項目を選びます。
  2. Sendを押しデータ共有を開始します。
  3. 受信側は、受信が成功するとメッセージが表示されます。

対応機種は、eTrexの「30/30x/32x/Touch 35」の4機種のみという、知る人ぞ知る機能です。

ワイヤレスユニット通信に助けられた事例

かつて、私はeTrexのワイヤレスユニット通信機能に救われたことがありました

とあるブルベに参加しようとスタート会場まで行った時のことです。ちゃんと入れたはずのルートデータが一覧に表示されませんでした。データの転送に失敗していたようです。

この時、私が使っていたのは「eTrex30」。そして、思い出したのが「ワイヤレスユニット通信」機能です。

同じブルベの参加者にeTrex30のユーザーがいれば、その人からルートデータを頂けるかもしれない。そう思って参加者の方に声をかけてみると、eTrex30ユーザーの方がいらっしゃいました。

その方に交渉し、ワイヤレスユニット通信でルートデータを受領。無事、出走することが出来ました。

当時、eTrex30はブルベ界隈でもシェアが高かったことから、運良くこうしてルート共有が可能になったということです。

同様のシチュエーションで、今回のGarminシェア機能が役立つ可能性があります

「Garminシェア」機能

新規実装されたGarminシェア機能をテストしていきます。

通信にあたっては2台のデバイスが必要。今回は我が家にあった2台の対応機器を使用します。サイコン「Edge840 Solar」と、スマートウォッチ「Forerunner 255s」です。

対応機種

2024/9月現在の、Garminシェア機能の対応機種は以下のとおりです。

Garminシェア対応機種

■Edgeシリーズ
540 / 540 Solar
840 / 840 Solar
1040 / 1040 Solar
1050

■スマートウォッチ
Enduro 3
Fenix 8 AMOLED / Fenix 8 Solar / Fenix E
Forerunner 255 / 255s
Forerunner 265 / 265s
Forerunner 955 / 955 Solar
Forerunner 965

基本的には最新機種ばかり。残念ながら2019年発売のEdge530は対象外でした。過去機種にも普及すると良いのですが……サポート年数も考えると厳しいかもしれません。

2年前に購入した私のスマートウォッチ「Forerunner 255s」はギリギリ対象に引っかかっていました。

送受信が可能なデータ種別

以下の3種類のデータを送受信可能です。

対応データ種別
  • コース
  • ウェイポイント
  • ワークアウト

本記事では「コース」のみの送受信を試します。

データ送受信の手順

送信元「Edge840 Solar」、受信先「Forerunner 255s」として、送受信の実験を行いました。

データの送信準備

まずはEdge840 Solar側から送信準備を行います。

トップページのメニューから「Garminシェア」を選択します。

送信するデータを選びます。今回は「コース」を選択。

送信したいコースを選択します。複数個選択も出来るようです。

共有ボタンを押します。

データ送信の待受状態に入ります。

データの受信準備

つぎにForerunner 255s側で受信の準備を行います。

ワークアウトメニューの中にある「Gaminシェア」を選択します。

「受信準備完了」画面でStartボタンを押すと、近くにある送信デバイスを探索します。

Edge840を探知しました。Startボタンを押します。

データの送受信

Edge840側でもForerunner 255sを探知しました。

Forerunner 255s側がデータを受信。これで送受信の作業は完了となります。

受信したデータの確認

受信したデータをForerunner 255s側で確認します。

メニューから「ナビゲーション」を選択。

「コース」を選択。

Edge840から送信したコースデータ(兵庫島公園へのアクセス~)が確認できました。

Forerunner 255sはマップ内蔵機種ではありませんが、交差点での右左折のナビゲーションには対応しています。このコースデータがあれば、その機能が利用可能になります。

転送速度

1つ心配だったのがデータの転送速度です。

eTrexの転送速度は激遅だった

eTrexに「ワイヤレスユニット通信機能」があったことは先に述べましたが、この機能は通信速度がとんでもなく遅かったのです。ANT+通信だったと思いますが、相当遅かったです。

「ブルベのスタート地点で他の参加者の方からデータを頂いた」と書きましたが、この時の所要時間は約10分。600kmブルベのデータとは言え長すぎます。相手の方にもご迷惑をおかけしました。

Garminシェアの転送速度は?

ではGarminシェアの転送速度はどうなのか。こちらは恐らくBluetooth通信です。

試しに200kmブルベのデータを送信してみましたが、わずか5秒で転送が完了しました。これならば、速度的には全く問題なさそうです。

まとめ

新実装された、Garminシェア機能の紹介でした。

地味な機能ではありますが、将来的に「この機能があって良かった!」となる瞬間が訪れるかもしれません。覚えておいて損はないでしょう。

こういった機能は同じグループ内に対応機種を持っている人がいないと成り立ちませんが、サイクルコンピューターにおけるGarminのシェアを考えれば十分に意味があると思います。

できればこの「Garminシェア」機能、Edge x30世代まで拡大して欲しいものですが……難しいですかね、Garminさん?

著者情報

年齢: 40歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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