iGPSPORT「iGS800」ファーストインプレッション

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iGPSPORTのGPSサイクルコンピューターにおけるフラグシップ機、「iGS800」を購入しました。

今回は特にiGPSPORTからのレビュー依頼があったわけではなく、自発的な購入です。ずっと待望していた「ステータスバー」機能が実装されたことが購入の決め手となりました。

目次

購入まで

まずは購入までの流れを書いていきます。

iGPSPORTと私

私がiGPSPORTのサイコンを初めて使ったのは2022年のこと。当時のフラグシップ機「iGS630」のレビューをご依頼頂きました。

iGS630は「値段の割には悪くないものの、積極的に買うほどではない」という評価。当時でも既に当たり前だったタッチパネルは搭載されておらず、物理ボタンでの操作のみ。頑張ってはいるものの、まだまだGarminやWahooとは戦えるレベルには達しておらず、あくまで価格で勝負するサイコンという印象でした。

レビュー記事とメールでの要望リストで結構厳しいことを書いたからか、その後2年はレビューの依頼が来ることもありませんでした。

約3年が経過した2025年6月になって、再びiGPSPORTからレビュー依頼が届きました。

それがこちらの「BiNavi」。これがiGS630からは見違えるほど良くなっていました。細かいツッコミどころはありましたが、確実にGPSサイコンのトップ層の背後に着いたと言えるクオリティ。

中でも一番「良い!」と思ったのは、BiNaviで初実装された「ステータスバー」と呼ばれる機能でした。

画面上部にある「電波状況」「現在時刻」「バッテリー残量」が並んだこの領域がステータスバーです。すべてのページの上部にステータスバーが表示されるわけですが、これが凄く便利だった。

従来のサイコンでも、現在時刻やバッテリー残量を画面に表示する方法はありました。しかし、そのためには貴重なデータ枠を消費しなくてはなりません。特に地図ページだと、なるべく地図を大きく表示したいわけで、表示させるデータは少なめに抑えたい。その一方で現在時刻は常に見ておきたい。ブルベだとタイムアウトの計算に必要ですからね。

そういう意味で、常に画面上部に現在時刻+αの情報を表示できるステータスバー機能は画期的だったのです。データ枠を消費することなく、常に現在時刻が確認できる。これに慣れてしまうと、ステータスバーの無いサイコンは使う気が起きなくなるほど個人的には大きな機能でした。

スマホでは画面上部に「電波状況」「現在時刻」「バッテリー残量」が常時表示されるのは一般的なのに、サイコンで実装しているブランドは多くありません。iGPSPORTのほかだと、WahooやHammmerheadくらいでしょうか。

ステータスバーが実装されないiGS800

さて、本記事で取り上げるiGS800は、BiNaviの約1年前(2024年4月)に発売されたモデル。iGS630とBiNaviのちょうど狭間のモデルということになります。

iGPSPORTとしては初のタッチパネル採用モデル。他にも、以下のような特徴を備えていました。

  • 2050mAhの大容量バッテリーを搭載し、50時間の公称ランタイム
  • マウント部がアルミ製
  • Wi-Fi経由でのログアップロードが可能(他機種はBluetoothのみ)

この2点は2026年となってもブランド唯一の特徴であり、iGS800はフラグシップとしての地位を失っていないはずでした。

だがしかし……フラグシップなのに、いつまで経ってもステータスバー機能が実装されないのです。

iGS800の50時間というランタイムはロングライドを中心に走る私にとっては大変魅力的。BiNaviは35時間持ちますが、これでは制限時間40時間の600kmブルベでは最後まで持ちません。しかし、50時間持てば余裕でゴールまでバッテリーが持つわけです。この差は大きい。しかし、iGS800にはステータスバーがありません

BiNaviの後に発売されたBiNavi Airはもとより、その後に発売されたミドルグレード機のBSC500にすらステータスバーが搭載されたというのに、フラグシップたるiGS800にはいつまで経っても搭載されない。

「iGS800にステータスバーが実装されたら絶対買うのに!」とは思っていたのですが、正直それはないだろうなとも思っていました。理由は、2026年4月時点で発売から2年が経過していたからです。iGPSPORTは製品リリースのサイクルが早い代わりに、ファームウェアの更新が止まるのも早い特徴があります。平均的には約2年。

恐らくiGS800はもう更新されないのだろうなと思っていました。

突然のステータスバー実装

ところが2026年6月、などかずさんのツイートを見て衝撃が走りました。

なんと、ついにiGS800にステータスバーが実装されたのです!!  50時間のランタイムに、ステータスバー。まさに「鬼に金棒」です。

こうなればもう、買わない理由はありません。

ちょうどAmazonでタイムセールをやっていたこともあり、即購入を実行に移したのでした。

iGPSPORT「iGS800」

セットアップの後、約200kmの実走を行った段階でのファーストインプレッションを書いていきます。

比較対象は、同社の「BiNavi」、プロチームが使うサイコンとしてGarmin「Edge850」、Bryton「Rider S810」です。

競合製品とのスペック比較

iGS800のスペックを示しつつ、競合製品と比較していきます。

スクロールできます
iGPSPORT
iGS800
iGPSPORT
BiNavi
Garmin
Edge850
Bryton
Rider S810
税込価格53900円39930円85800円46200円
重量110g103g113g116g
本体サイズ縦:99.0
横:60.0
厚:16.8
縦:101
横:60.0
厚:14.5
縦:92.2
横:54.6
厚:16.8
縦:102.5
横:57.6
厚:15.8
画面サイズ3.5インチ カラー3.5インチ カラー2.7インチ カラー3.5インチ カラー
解像度480 x 320px480 x 320px600 x 420px470 x 282px
防水等級IPX7IPX7IPX7IPX7
バッテリー容量2050mAh1250mAh1490mAh2100mAh
充電端子Type-CType-CType-CType-C
稼働時間(公称)50時間35時間12時間50時間
内蔵ストレージ32GB32GB64GB32GB
タッチパネル
物理ボタンボタン: 6個ボタン: 6個ボタン: 7個ボタン: 4個
対応衛星GPS
GLONASS
Galileo
Beidou
みちびき
GPS
GLONASS
Galileo
Beidou
みちびき
GPS
GLONASS
Galileo
Beidou
みちびき
GPS
GLONASS
Galileo
Beidou
みちびき
GPSモードGPS
GNSS
マルチGNSS
カスタム
GPS
GNSS
マルチGNSS
GPS
GNSS
マルチGNSS
GNSS
マップ表示
文字表示あり

文字表示あり

文字表示あり

文字表示あり
Wi-Fi接続対応××
心拍センサー接続
パワーメーター接続
レーダー接続
深部体温計接続
iGS800と競合製品の比較

定価は50000円超えと、iGPSPORTとしては一番高額なサイコンです。ただ、発売から2年が経過していることもあり、割と頻繁にセールは行われています。セール時の販売価格は約40000円。

同じくiGPのBiNaviとスペック面ではあまり差がありませんが、「バッテリー容量が大きい(ランタイムが長い)」「Wi-Fiでのデータアップロードに対応」「マウントが金属製」という点はiGS800のほうがリードしている点です。

パッケージ

パッケージは、iGPSPORTのグローバルアンバサダーのクリストファー・フルーム。言わずとしれたツール・ド・フランスを四回優勝した偉大なる王者です。限定パッケージかと思っていたんですが、レギュラーパッケージだったんですね。

裏面にもフルーム。

高級ラインということで、重量感のある箱に入っています。

パッケージ内容は以下の通り。

箱の中身
  • 本体
  • 標準マウント
  • iGS800専用シリコンケース
  • iGS800専用スクリーン保護ガラスフィルム
  • ストラップ
  • Type-A to Type-Cケーブル
  • クイックスタートマニュアル

シリコンケース・ガラスフィルムが標準付属。必要なものは大体揃っています。

重量

本体のみの実測重量は108g。シリコンケースは10gです。

本体仕様

本体の仕様を見ていきます。

大きさ

左から、iGS800・BiNavi・Edge840

iGS800とBiNaviでは、画面の大きさは全く同じ。ただ本体サイズの縦だけは少しBiNaviのほうが大きいです。Edge840と比べると、iGPSPORTの2機種はかなり画面が大きいことがわかります。

厚み

左: iGS800、右: BiNavi

厚みはiGS800の方があります。バッテリー容量が大きいので、その分の差でしょう。

画面

BiNaviやBiNavi Airと同じく「半透過反射型」の液晶を採用。直射日光下でも見やすい画面です。

ボタン配置

ボタンの配置は、BiNaviやBiNavi Airと全く同じ。6ボタンあると、大抵の操作はボタンだけでも行なえます。

充電端子

Edge840やBiNaviと同じく、充電端子は本体下部の2ボタンの間にあります。以前のiGPSPORTのサイコンは本体裏側に端子があったのですが、iGS800からこの位置に端子が移動しました。マウントに取り付けた時でも充電しやすくなっています。

裏面

iGS800の最大の特徴と言えるのが、この「金属製マウント」。恐らくアルミ製で丈夫です。ただ、交換はできません。

後発のBiNavi Airはマウント部を取り外したところに「第二の気圧センサー」が仕込まれているようで、標高を求める精度はBiNavi Airの方が上になりそうです。

セットアップ

初期セットアップ・設定変更の内容はBiNaviと全く同じなので下記の記事の「セットアップ」の章をご覧ください。

設定変更

設定変更についても、BiNaviの記事に書いた内容とほぼ同じですが、いくつか異なる点があります。

GPSについて細かく設定できる

iGS800は、恐らく「世界で最もGPSについて細かく設定できるサイコン」です。

左がiGS800・右がBiNaviですが、iGS800のGPS設定には「カスタム」という設定があります。

ここでは何と、「GPS周波数の多重度」と「衛星の組み合わせ」を自由に設定できます。前者を設定できるサイコンはそれなりにありますが、後者のように細かく衛星を選べるサイコンは多分他にはありません。

私は少しでもランタイムを伸ばすために、一番バッテリー消費の少ない「GPS」「単一周波数」を選んでしまいますが、もっと精度とバッテリー消費のバランスを煮詰めたい人には嬉しい機能でしょう。

翻訳が分かりやすい

BiNavi Air・BSC500では「もっと見る」という謎の訳になっているメニューが、iGS800では「設定」という実に真っ当な翻訳になっています。「システムメニュー」でも良いと思いますが、「設定」の方が適切に思えます。「もっと見る」は論外です。

画面表示と明るさ

GPSサイコンのバッテリーの持ちをもっとも左右するのが「バックライトの明るさ」です。

毎回しつこく書いていますが、iGPSPORTのサイコンの特徴として、「昼と夜でバックライトの明るさを別々に設定できる」という点があります。日の出・日の入りの時刻でバックライトの明るさが切り替わるわけですね。これはGarminや大手各社のサイコンには存在しない機能です。

私の設定は、「昼: 0%、夜: 10%」。

左のiGS800は「バックライト: 10%」、右のBiNaviは「バックライト: 20%」です。iGS800は10%でもかなり明るいことがわかります。

こちらは同じくiGS800でのバックライト10%の様子。夜間走行でも十分な明るさです。明るい=バッテリー消費量が大きいということなので、良し悪しではあるのですが。

画面項目

1ページに表示可能な項目の最大数は12個です。BiNaviと同じ。

私は大体トップページに、9項目のデータを表示させることが多いのですが。iGS800とBiNaviでは選べる配置が少し異なります。iGS800では4ブロック分の大表示が画面中段にしか置けないのに対し、BiNaviは画面上段にしか置けません。個人的にはBiNaviの配置の方が好みなんですが、色々と制限があるのでしょう。

なお、待望のステータスバーはiGS800の方が数ピクセルだけ幅が小さいことが分かります。文字も若干小さく、BiNaviに比べると読みにくい。あと、バッテリー残量の数値も表示されていません。

基本操作

基本操作についても、BiNaviの記事に書いた内容と同じです。

ルートデータの転送・ナビゲーション

ルートデータの転送方法は、BiNaviの記事に書いた内容と同じです。

ナビゲーション機能もだいたいBiNaviと同じ。ただ、若干違うのが地図の表示内容です。

BiNaviの地図には線路が表示されますが、iGS800の地図には線路が表示されていません。日本においては線路によって位置関係を把握することも多いですし、線路を渡る時には「踏切に引っかかるかもしれない」と覚悟することも出来るので、出来れば線路の表示はiGS800にも対応して欲しかったところです。そこはBiNaviが「ナビ重視機器」なのであえて差をつけているのかもしれませんが。

実走

実際に、iGS800を使用して走行してみました。

大きさ・重さ

110gと、iGPのサイコンでは最重量級です。ただ、感じられるほどの差はありません。厚みがあるので存在感は若干大きいです。

画面の見やすさ

やはり画面が大きく見やすいです。半透過反射型液晶なので、昼間は太陽の反射光でよく画面が見えますし、夜間も10%のバックライトで十分視認出来ます。

操作性・レスポンス

フラグシップというだけあって、「BiNaviよりも良いCPUを積んでいるのでは?」と思い、BiNaviと同時に操作をしてみたのですが。レスポンスはほとんど変わりませんでした。どちらも軽快です。

タッチパネルについても操作性に不満なし。いざとなれば物理ボタンでも操作可能です。

地図・ナビゲーション

地図の縮尺のバリエーションは、BiNaviと同じでした。

iGS63050m/100m/200m/400m/800m
iGS80050m/100m/200m/500m/1km/2km/5km/10km
BiNavi50m/100m/200m/500m/1km/2km/5km/10km

これだけバリエーションがあれば、大抵の用途には事足りるはず。

データ値の妥当性

距離や獲得標高について、いつもの練習コースの走行結果で比較。他のiGPSPORT機種や、Garminと比べても大きな差異はありませんでした。

ただ、走行時にリアルタイムで表示される斜度については、ちょっと他の機種よりも揺れが大きい気がしました。GPSの設定をもっと正確なものに変えれば揺れが少なくなる可能性はあります。

システムの安定性

200km使用して、今のところ操作が重くなったりフリーズしたりといったことはありません。

バッテリーの持ち具合

以下の設定で約6時間のライドを行いました。

BiNavi Airの設定内容
  • 衛星システム
    GPS(省エネ)/単一周波数
  • バックライト
    昼: 0%, 夜: 10%
  • 接続センサー
    パワーメーター、スピードセンサー

使用時間は、昼のみで6時間。結果は、88%→76%と12%の減少でした。1時間あたり2%の消費です。

少なくとも、48時間は動いてくれそう。ただ、公称の50時間は厳しいかもしれません。それでも600kmブルベを充電なしで走れますし、1200kmのPBPでも1回の充電のみで乗り切れる計算です。

アクションカメラとの接続

iGS800以降にリリースされたiGPSPORTのサイコンは、DJIとInsta360のアクションカメラを操作できる機能があります。

手持ちのアクションカメラ「DJI OSMO Action 5 Pro」と接続してみましたが、ちゃんと録画の開始/停止がサイコンから行えました。

なお、DJIのアプリでは上の記事のように、サイコンの走行データを動画に重ね合わせることが可能です。

改善を要望したい点

発売から2年経っているので、今から要望しても恐らく反映される可能性は低いと思いますが……一応、いつも通り要改善ポイントを挙げていきます。

ステータスバーをBiNaviと同じにして欲しい

ついに実装されたステータスバー。存在するだけで便利なのは確か。

ただ、iGS800のステータスバーは表示領域が小さい&バッテリー残量の数値表示がないのが惜しい。後付の機能なので仕方ないのかもしれませんが、出来ればBiNaviと同じ表示に揃えて欲しいですね。

地図に線路を出して欲しい

本文中で触れましたが、地図に線路が出てこないのが惜しいです。

恐らく地図ソース自体はiGS800とBiNaviで同じなので、表示する内部ソフトウェアの実装の問題なのでしょう。今更手を入れるのは難しいかもしれませんが、是非検討して欲しい機能です。

アプリに10個以上の機器を追加したい

これはiGS800ではなく、iGPSPORTアプリへの要望ですが。

iGPSPORT機器を追加しまくった結果、ついに「上限に達した」というメッセージが出てしまいました。どうやら10台が上限のようです。

今後も手元のiGPSPORT機器は増えていきそうなので、是非上限をもう少し増やして欲しいです。

まとめ

iGS800のファーストインプレッションでした。

使ってみると、「やっぱりiGS800はフラグシップなんだな」という事が良く分かりました。

マウントがアルミな点はもとより、大容量バッテリーによる公称50時間のランタイム、GPS設定の細やかさ、翻訳の丁寧さ等々、一番「リソースを割かれて作られた」感がある機種だと感じました。

技術は日々進歩するものなので、ソフト的な面で後輩たち(BiNaviやBSC500)に遅れを取っている面はありますが、ほとんどすべての機能はiGS800にも取り込まれています。やはりフラグシップであるということなのでしょう。

既に発売から2年が経って枯れた機種ということもあり、動作が安定しているのも評価できる点です。今後のアップデートがあるのかは不明ですが、出来ればステータスバーのリファインだけはお願いしたい所。


腰のトラブルでしばらくブルベは休んでいますが、リハビリが上手く行けば9月からブルベに復帰する予定です。復帰できたら、iGS800をメインとして走ってみようと思っています。

著者情報

年齢: 41歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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