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ラテックスチューブ×クリックバルブ×電動ポンプ
最近試している、「ラテックスチューブ」「クリックバルブ」「電動ポンプ」の組み合わせがとても良かったので、それを紹介する記事です。
まえがき
まずはこの組み合わせに至った経緯から。
ロングライドとラテックスチューブ
クリンチャータイヤ用のチューブの素材としては、現在「ブチル」「ラテックス」「TPU」が代表的です。

本記事で取り上げるラテックスチューブは、その名の通りラテックス製のチューブ。特性としては以下の通りです。
- しなやかで、乗り心地に優れる
- 転がり抵抗が低い
- 耐パンク性はブチルに比べてやや高い
ラテックスチューブは「しなやかさ」が最大の特徴であり、自転車用チューブとして優れた特性を有しています。

そのしなやかさから転がり抵抗はかなり低く、現在でもチューブの中でトップクラス。チューブレスタイヤ並の転がり抵抗の低さを誇ります。
ただ、クリンチャータイヤユーザーの中でラテックスチューブのユーザーはかなりの少数派です。
【アンケート】ロードバイクユーザーで、クリンチャータイヤを使っている方に質問です。
— ばる (@barubaru24) January 24, 2024
メインで使っているチューブの素材は何ですか?
2024年1月に取ったアンケートでは、ラテックスチューブをメインとして使っている方は約10%しかいませんでした。
ラテックスチューブが少数派になる理由としては、以下のような理由があります。
- 空気抜けが早い
- バルブ根元の接着が熱に弱い
- 軽くはない
特に「空気抜けが早い」という特性が厄介です。ラテックスの分子構造の問題で、ブチルチューブに比べて酸素分子が抜けやすくなっており、大体24時間で1気圧程度の低下が見られます。ブチルチューブだと24時間で0.1~0.2気圧なので、5倍以上の速度で空気が抜けていくということになります。
1-2時間のレースであれば、空気圧の低下は限定的です。このため、ヒルクライムレースなどでは転がり抵抗の低さからあえてラテックスチューブを選ぶ人は現在でも割と多いようです。
しかし、最低でも10時間以上を走り続けるブルベでは空気圧低下が無視できません。特に600kmブルベの制限時間は40時間なので、単純計算でスタート時とゴール時では1.6気圧も変わってくることになります。そうなると道中で空気を追加しなければなりませんが、携帯ポンプで5→6気圧を行うのはかなり大変です。5気圧以上だとかなり腕力が必要となりますからね。

また、これはVittoriaのラテックスチューブのみに言える話かもしれませんが、バルブ根元の接着がやや熱に弱い印象があります。
一時期、リムブレーキでラテックスチューブをテストしていたことがあったのですが、長い下りでブレーキを掛けた際にスローパンク。チューブを取り出した所、バルブの根元から空気が漏れていました。TPUチューブほどではないものの、熱にはあまり強くない印象です。

ちなみに重量も軽いわけではありません。25-28C用でこの重量。軽量ブチルチューブよりも重いです。
ラテックスチューブ復活の可能性
より軽く、空気抜けも早くはないTPUチューブの登場によって、「ラテックスチューブは終わったか?」と思われました。実際、私の回りでも使っている人は約1名(NAOさん)だけ。
しかし、近年になってラテックスチューブの問題点を解決/軽減する新たな技術が浸透し始めました。「ディスクブレーキ」と「携帯電動ポンプ」です。
ディスクブレーキ
ディスクブレーキでは、ブレーキング時にリム面が熱を持ちません。当然、バルブの根元にも熱が伝わることはないわけです。
そうなると、バルブ根元の接着剥がれについては(製造上の不良を除いて)心配する必要がなくなります。
携帯電動ポンプ
もう一つの大きな変化が、2023年頃から広まり始めた100g代前半の軽量な携帯ポンプです。

携帯電動ポンプがあれば、出先で空気圧が低下したとしても、気軽に空気を追加することが可能です。手動の携帯ポンプと違って腕は疲れません。
また、2024年から登場した「空気圧表示の機能付き」の携帯電動ポンプを使えば、正確に好みの空気圧まで戻すことが出来るわけです。空気を入れていない時でも空気圧は計測できるので、簡易的な空気圧計としても使えるのが良いですね。
ブルベで「ラテックスチューブ+電動ポンプ」をテスト
以上の環境の変化により、ラテックスチューブの弱点は軽減されました。

そして今年、北海道で行われるブルベに参加。北海道は、冬期の極寒によって生じる「低温ひび割れ」という現象があり、このひび割れに乗り上げた際には大きな衝撃を受けることになります。これが積み重なると、手・お尻・足裏に対してのダメージが大きいため、何らかの対処をする必要があるわけです。

そこで、今回はラテックスチューブを試験的に導入してみることにしました。VittoriaのCompetitionという定番モデルです。

電動ポンプも、これまた定番のCYCPLUS「AS2 PRO」を持参しました。

北海道への飛行機輪行では、一度タイヤの空気を抜く必要があります。ということは、現地に着いたら空気を入れる必要があるわけですが、これも電動ポンプだと物凄く楽。音が大きいので場所は選びますが、労せずして空気圧を実用範囲に戻せます。昔は、北海道に着いたら手動ポンプで頑張って空気を入れていましたが、その苦労が無くなったのがありがたい。

ブルベのスタート前にも空気を追加。ただ、延長ホースを外す際、バルブコアも一緒に回ってしまったようで空気が少し抜けるトラブルがありました。

また、毎度仏式バルブに延長ホースをねじ込むのもちょっと面倒。電動ポンプに付属の延長ホースは短く、ディスクブレーキではスポーク本数も多いため、延長ホースを回す際に邪魔になるものが多いわけですね。
クリックバルブを足してみる
これをどうしようかと悩んでいた所、ブルベ仲間のひらまつさんから「クリックバルブと電動ポンプを組み合わせるとよいですよ!」という情報を頂きました。確かに。

家にクリックバルブはあったので、早速使ってみることに。ラテックスチューブのバルブコアをクリックバルブに交換し、電動ポンプの延長ホースにクリックバルブ用のポンプヘッドを付けました。

素晴らしい。延長ホースの取り付けも一瞬。外す際にバルブコアを抜いてしまうこともない。その気になれば、自転車にまたがったままで空気の充填を終えることすら出来ます。
……ということで、ここまでが長い「まえがき」です。
ラテックスチューブ×クリックバルブ×電動ポンプ
まえがきは異常に長いですが、本編はスッキリ短くなっています。
用意したもの
今回、用意したものは以下の3つです。ちなみに、タイヤはMAXXIS「HIGH ROAD」の28Cクリンチャーを使用しています。
ラテックスチューブ
Vittoriaの定番ラテックスチューブ。2本セットで、28C用を買いました。
クリックバルブ
クリックバルブ用のバルブコアと、ポンプヘッドのセットです。
シュワルベの上記セットはポンプヘッドがプラスチック製で若干頼りないので、アルミ製のこちらの方がオススメです。
携帯電動ポンプ
定番の電動ポンプ、AS2 PROです。

付属する延長ホースに、クリックバルブのポンプヘッドを繋げば準備完了です。
使用感

使用感は「まえがき」にて書いた通り。電動ポンプに唯一残っていた「延長ホースをバルブに着脱する際の煩わしさ」が、クリックバルブによって消滅します。

昨今良く起こっている「電動ポンプでTPUチューブのバルブを溶かす」事故は、この煩わしさを避けようとして延長ホースを使わず、電動ポンプを直接バルブに取り付けていることで起こっているはず。しかし、クリックバルブを採用すると煩わしさが消えるので、こうした事故も起きにくくはなるでしょう。延長ホースの着脱の手間は残りますが。
ブルベでラテックスチューブを使おうと思うと24時間に1度は空気の追加充填が必要となりますが、これだけ手間が減ればもっと頻度を増やしても面倒くささを感じないのではないかと思っています。

また、肝心のラテックスチューブの感想ですが、内幅21mmのリム+28Cタイヤでは効果を大きく感じました。内幅17mmのリムブレーキ用リムではボヨンボヨンとする感じが気持ち悪かったのですが、内幅21mmのディスクブレーキ用リムに取り付けるとそうした印象が消えます。それでいて、衝撃吸収の良さと、しなやかさによる転がり抵抗の軽減はきちんと感じられました。
現在、いちばん好みな空気圧は前4.7気圧/後5.1気圧です。ラテックスチューブの場合、この気圧に設定しても2時間もたてば感触は変わってしまいます。ただ、電動ポンプを活用すれば、こまめに空気を入れて好みの空気圧を保つことも可能になるでしょう。
まとめ
ロングライドにおいて、「ラテックスチューブ」「クリックバルブ」「電動ポンプ」の組み合わせは良いぞ!という記事でした。
まだそんなに長い距離を試せていませんが、感触はとてもいいです。長距離を走った場合、ラテックスチューブの乗り心地の良さがライド終盤の疲労を軽減することに役立ってくれるでしょう。
空気を追加充填する手間は増えますが、電動ポンプの登場によってその手間は最小限となりました。クリックバルブを使えばさらに手間は減らせます。
「乗り心地は良くしたい。でもチューブレスはちょっと……」という方に、この組み合わせはオススメです。
著者情報
年齢: 41歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。




