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【レビュー】Bioracer「ReSkin Bike Patch」
評価:3
ベルギー・Bioracerが販売している、お尻の皮膚に直接貼ることで股ずれを防ぐシート。
使い捨てではなく、洗うことで繰り返し使用が可能とされています。
購入動機
2010年に「東京→大阪キャノンボール」に挑む際に購入しました。

この時までに「東京~糸魚川ファストラン」で270kmを走ったことはありましたが、それ以上の距離は未知数。当時私はロードバイク2年目で股擦れへのノウハウが無かったので、当時サイスポか何かで見たリスキンを買って試してみることにしました。
3枚セットだったので、1枚を200kmほどのライドでテスト。問題がなかったので東京→大阪キャノンボールに投入しました。結局この時は300km地点の豊橋でリタイヤ。ただ、リスキン自体の感触は悪くなかったので使用を継続。その後の「大阪→東京」「東京→大阪(リトライ)」でも採用しています。

2012年に行ったTOT(Tokyo-Osaka-Tokyo)にも投入。

2012年10月段階では既に輸入が打ち切られていたのか、2700→500円という投げ売り価格に。もちろん買い占めました。
製品概要

1パック3枚入りで2700円。1枚あたりの重量は4.7g(台紙込)。
シートの厚みは実測0.45mmでした。
公式の説明によると「洗って干せば3~5回は再使用可能」とのことです。
使用感

前述の通り、キャノボやTOTで使用していました。主な用途は500km以上のロングライドです。レースやローラー台でのトレーニングには不使用。
現在、ロングライド時の股ずれ対策法は皮膚保護クリーム(プロテクトS1)に移行しており、リスキンは使っていません。
設計思想
肌を保護するクリームは摩擦を減らす発想からスタートしています。一方、こちらのシートは
「そもそも擦れる部分に何かを貼っちゃえば良いんじゃね?」
という発想のようです。

会陰部(性器と肛門の間の空間)、及び坐骨と股の内側をカバーする形状をしています。

女性の場合は、一部をカットして使うよう、切り取り線の目安が書いてあります。
使い方
股ずれの防止として、走行前に貼り付けて使用します。

……生々しいですが、説明書に書いてあるイラストです。肌に直接貼り付けます。
まず問題となるのは貼り付けの儀式を執り行う場所です。家で貼り付けられるなら良いのですが、出先で貼り付けるケースでは結構大変でした。
クリームを塗る時も同様ですが、人には見せられない格好で貼り付ける必要があります。トイレの個室などで貼り付けることになるでしょう。また、クリームと違ってズレたりシワになったりするので、中々取り付けが難しいのも特徴です。なお、クリーム類との併用は禁止とされています。
シワにならないように貼り付け、レーパンを履いたら準備完了。走り出します。
効果
確かに股ずれは劇的に軽減されます。ムレなども特に無く、クリームが無くてもこれがあれば十分だと思わせるほどです。
シワなくしっかりと貼ることが出来れば、東京大阪キャノンボール(550km)クラスのライドでも最後まで効果を発揮してくれます。ただ、「シワなくしっかり貼る」ことが難しいのですが……。
耐久性
東京~大阪間を走ると一発で寿命となります(かなりクシャクシャになってしまう)。100km程度のライドなら公称通り3~5回は再使用が可能であると思います。
「洗えば再使用できる」とありますが、洗濯機などで洗うことは出来ません。剥がしたリスキンを風呂場の壁に貼り付け、シャワーで洗います。洗い終わったら干しておき、後日また使用します。
問題点
一見、素晴らしいソリューションに見えるリスキンですが、使ってみるとそれなりに問題点がありました。
用を足したくなった時
まず困るのは、リスキン使用中にトイレに行きたくなった時。
小さい方であれば問題ありませんが、大きい方の場合は剥がさなくてはなりません。リスキンは肛門のかなり近くに付くものなので、これを付けたままで大きい方の用を足すことが出来ないからです。
そしてコトを済ませた後にまた貼り付けなければなりません。これが心理的にも衛生的にもハードルが高い。女性の場合はより一層、そのハードルは高くなるでしょう。私がウォシュレットのあるコンビニを探しまわるのはこれが理由でも有ります。ウォシュレットが無いトイレでコトを済ませた後に、リスキンを再使用するのはイヤですからね。
その辺りをクリアしたとしても、一度剥がしてシワの寄ったリスキンを綺麗に貼り直すのはかなり難しいです。
裏返ることがある
ロングライドの場合、ペダリングによって徐々にシワが寄ったり、裏返ったりしてきます。キャノボのような500kmクラスのライドとなるとそれが顕著。前述の通り、ライド終了後にはクシャクシャな状態に。ライド中に裏返ってしまうとその部分は保護されませんし、裏返ったリスキン自体が股ずれの原因にもなりえます。
また、裏返る時には粘着部分が周辺の毛を巻き込みます。リスキンそれ自体の粘着力はそれほど高くなく毛が抜けるほどではないのですが、裏返って毛を巻き込んで丸まってしまうと……剥がす時に毛も一緒に抜けます。これが痛い!
東京大阪間を往復するTOTでは往路で1枚、復路で1枚のリスキンを使用しましたが、特に復路終了後に剥がす時には毛と一緒に擦れた皮膚も一緒に剥がすことになってしまい、日本橋のコンビニトイレ内で悶絶したことを覚えています。説明書には「装着する場所の毛を剃ることをお勧めします」という記載がありますが、本格運用するなら従ったほうが良いでしょう。
その悶絶を機に「裏返ってしまうシートを股ずれ対策に使うのは無理がある」と判断、絶対に裏返ることがないクリーム系に移行したのでした。
他の人の感想
代理店であるライトウェイのサイトにはモニターレポートが掲載されています。
こちらを見ると、80~120km程度の使用がほとんどで、それ以上の距離で使う人はあまりいないようです。また、モニターレポートでも「トイレ時に不便」という声は上がっていますね。
価格
1枚900円。率直に言って高いです。
やはり値段がネックであまり売れなかったのか、最終的にビックカメラでは1パック500円で投げ売りされていました。1枚あたり166円。4パック購入しました。
まとめ
なかなか発想は良い製品だと思うのですが、超長距離を乗る場合にはデメリットもある製品だと言えそうです。やはりトイレに行った際の再装着と、徐々にペダリングで裏返ってくることがネック。距離が100kmを超える場合や、複数日に及ぶライドではデメリットが顕在化してくるでしょう。
100km以下のライドで、股ズレに悩んでいる場合は試してみる価値はあると思います。
ただ、2014年現在では代理店が扱いをやめてしまったのか、店で見かける機会も少ないです。
TOT以降の股ずれ対策は、「一定距離(2-300km)ごとに皮膚保護クリームを塗り直す」方式に変更しました。クリームは絶対に裏返ることはありませんし、ライド後に剥がす必要もありません。価格的にも1ライドで100円くらいなのでリーズナブル。
最初は「ボルダースポーツ」を使っていましたが、その後は「プロテクトS1」がメインになっています。ボルダースポーツはスプレー缶に入っており、サドルバッグ内でかさばることが理由。プロテクトS1はクリームなので、小分けに出来る点が気に入っています。抗菌作用もあるようで、炎症が起こることも少なくなりました。
評価
対象モデル: Bioracer「ReSkin Bike Patch」
年式: 2010年
定価: 2700円(3枚1パック)
購入価格: 2700円
公称重量: 不明
実測重量: 4.7g/1枚(台紙込)
価格への満足度
再利用可能とはいえ1枚900円はかなり高い。
総合評価
効果はある。ただ、トイレに行く際や、裏返った時に厄介な存在となる。
著者情報
年齢: 29歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。