ラテックスチューブを試験導入

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(久々に)ラテックスチューブを使ってみることにしました。

目次

導入の経緯

まずは導入の経緯について書いていきます。

R1Xの乗り心地がよくない

先日、BRIDGESTONEのタイヤ「EXTENZA R1X」の記事を書きました。

なかなか走行性能は良さそうではあるものの、乗り心地が良くないのが気になって使用をやめてしまいました。

ただ、まだまだ使えるタイヤをこのまま使わないのも勿体ない。乗り心地さえ改善できればもう少し使えるのに……という所で思いついたのが「ラテックスチューブ」でした。

ラテックスチューブはその名の通り、ラテックス製のチューブ。出している会社は少数ですが、乗り心地の良さと転がり抵抗の低さで愛用者も多いチューブです。ただし、物凄く気圧低下が早いという弱点もあります。

2021年にも一度ラテックスを試した

実は4年前にも1度、ラテックスチューブを試したことがあります。

この時に組み合わせたタイヤは、Panaracer「Race C」の28C。しなやかなタイヤとして定評のあったタイヤです。

試しに走ってみると、同じ空気圧でも別物のように乗り味が変わりました。「パンクしているのではないか?」という程の路面追従性の高さ。ただ、「しなやかなタイヤ」×「しなやかなチューブ」の組み合わせであったためか、伸び切った素麺のようにコシがなく感じられたのも事実。

加えて、空気圧が落ちる早さは想像以上でした。

14時間で6.0→5.0気圧まで低下。24時間に換算すると、1.7気圧も落ちることになります。

しかし、この後で再度6.0気圧まで空気を入れて14時間後に測定したところ、6.0気圧→5.4気圧と空気圧の低下具合がゆるやかになりました。「ラテックスチューブは継ぎ足しで空気を入れていくと、気圧の低下が緩やかになる」という現象は聞いたことがありましたが、実際そうなるのだなと。

恐らくですが、この現象は「ラテックスの場合、酸素が窒素よりも早く透過する」ことが原因と思われます。

大気における窒素と酸素の割合は、8:2。そして、「ラテックスは窒素よりも酸素の方が2.9倍早く抜ける」という実験データがあります。

時間経過に伴ってチューブ内の気体組成は窒素の割合がどんどん高まって行くため、継ぎ足し運用では空気圧の低下が緩やかになる……と私は考えたのですが、間違っているかもしれません。ご指摘お待ちしております。

ただ、それでも24時間あたり約1.0気圧の低下はかなりのペース。ブチルチューブの5倍のペースです。

私のメインの使用シーンであるブルベでは睡眠を挟みながら24時間以上走り続けるシーンも多いため、毎日起床後に空気を継ぎ足す必要があります。朝から携帯ポンプで5→6気圧まで上げるなんてことはやりたくありません。

これはちょっと現実的ではないなと思って使用をやめてしまいました。

携帯電動ポンプの登場

さて、4年前にはなかった装置が今は存在しています。携帯電動ポンプです。

2023年に一気に小型化が進んだ携帯電動ポンプ。高圧であっても、労せずしてタイヤに空気を継ぎ足すことが可能となりました。

携帯電動ポンプがあれば、ラテックスチューブを使ったロングライドも現実的になるのでは?

「EXTENZA R1Xを何とか乗り心地良くして活用したい」という思いもあったので、このタイミングでラテックスチューブを再度テストしてみることにしました。

購入したのは4年前と同じく、Vittoriaのラテックスチューブ。

他にはMICHELINとSOYOがラテックスチューブを出していますが、MICHELINはかなり重く、SOYOは物凄く高い。Vittoriaが値段と重量のバランスが良かったことが購入の理由です。

Vittoria「COMPETITION LATEX(25-28C)」

Vittoria「Competiton Latex」のファーストインプレッションです。サイズは25-28C。バルブ長は48mmのものしかラインナップされていません。

取り付けるホイールは、「WH-R8170」。タイヤは「EXTENZA R1X(28C)」です。

パッケージ

4年前に購入したパッケージはこちら。

今回購入したパッケージはこちら。ちょっと変わりましたね。

中身のチューブには、結構多めにタイヤパウダーが塗布されています。手が白くなります。

重量

実測重量は84.3g。公称85gなので、ほぼ公称通り。

TPUチューブよりは重いですが、28C対応としてはR’Airと大体同じくらいの重量です。

取り付け

今回取り付けを行うホイールは、WH-R8170。前輪のリムハイトは36mmですが、後輪は50mmです。Vittoriaのラテックスチューブは48mmのラインナップしかないため、50mmハイトのリムには長さが足りません。

そこで、後輪だけはこちらのバルブエクステンダーを使ってバルブを延長しています。

実走

40kmほど実走してみました。

目論見通り、EXTENZA R1Xの硬い乗り心地がかなり改善されました。空気圧はTPUチューブと同じく前5.5気圧、後6.0気圧に合わせていますが、まるで別物のような乗り心地に。TPUチューブでは100kmでも辛かったんですが、これならばブルベの距離でも何とかなりそうです。

ちょっと驚いたのが、「上りで速度が保ちやすい」こと。週に何度も登る斜度7-8%の坂があるんですが、たいてい私はこの坂で20km/hを割り込みます。しかし、ラテックスチューブを使った今回は最後まで20km/h以上を保つことが出来ました。

「ラテックスチューブは転がり抵抗が低い」というのは知られていますが、体感できる程度に違いがあるのかもしれません。特に荒れた道の場合は、路面追従性の高いラテックスチューブの特性が生きそうですね。

Vittoriaのラテックスチューブのバルブステムにはネジが切られていません。このため、バルブナットが使えず、走行時にリムとバルブが当たってカタカタと音が鳴ります。私はこれが気になったので、MageneのTPUチューブに付いてきたバルブ固定用のシールを貼りました。音は鳴りにくくなりました。

しかし、なんでバルブステムにネジを切らないんでしょうね。ラテックスチューブもデリケートなので、ポンプで空気を入れる際にバルブを押し込んで根本を痛める……というTPUチューブでありがちなトラブルが起こりそうな気がします。ラテックスチューブのバルブステムはアルミ製なので、素直にネジを切ればいいのにと思うんですが。

空気圧低下

冒頭に書いた空気圧低下の実験は4年前に行ったものですが、今回もやはり継ぎ足していくうちに空気圧低下が緩やかになりました。

ただ、それでも24時間で1.0気圧程度は落ちますね。ブルベで運用するとすれば、やはり携帯電動ポンプで1日1回の空気の継ぎ足しは必要になってきそうです。

まとめ

久々にラテックスチューブを使ってみた話でした。

やっぱり乗り心地と転がり抵抗の低さは今でもラテックスチューブが一番である気がします。空気圧低下さえ許容できれば……とは思っていましたが、現代には携帯電動ポンプがあります。携帯電動ポンプによって、「ロングライドにおけるラテックスチューブの活用」が現実的になりました。

しばらくこの組み合わせで運用をしてみようと思います。

著者情報

年齢: 40歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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