国内販売の携帯電動ポンプ(200g未満)一覧

この記事は約 12分で読めます。

現在、国内で販売されている電動ポンプがどれくらいあるのか気になって、一覧化してみました。

目次

まえがき

まずはこの記事を作ろうと思った理由から。

急に増えた極小の電動ポンプ

昨年末にこんな記事を書きました。

しばらく落ち着くかと思った電動ポンプシーンですが、今年に入って勢いは更に加速。

まずは2月にTOPEAKが電動ポンプを発売。これは2024年中に発表されていたので既定路線ではありました。

6月に入り、このジャンルでは最先端を行くCYCPLUSが公称89gの電動ポンプ「AS2 Ultra」を発売。90g台の電動ポンプはこれまでにもありましたが、ついに80g台に突入しました。

AS2 Ultraの発売から1週間、今度は何の前触れもなくTREKが「Air Rush」を発売。バイクブランドとしては恐らく初。価格もぐっと抑えてきました。

7月に入り、サイコン等で知られるCOOSPOも新型電動ポンプ「X1」を発売。これまでの電動ポンプとは少し違った機構を持つ電動ポンプということで、先日レビューを依頼されました。今度、記事にする予定です。

現在、電動ポンプはどれくらいあるのか?

つい数年前まで、電動ポンプは300gを超えるものが普通でした。2017年に「miniFumpa」の発売により、ようやくアンダー200gを記録。このあたりから真の意味で「携帯できる電動ポンプ」と呼べるようになったと思います。

2023年にはCYCPLUSが「CUBE(後にAS2に改名)」を発売。重量は97g。アンダー100gの電動ポンプがこの時初めて誕生しました。

それから2年が経過した今、「携帯できる電動ポンプ」は爆発的に増えています。

では、日本国内で手に入る「携帯電動ポンプ」はどのくらいあるのか? ちょっと気になってきたので調査をしてみることにしました。対象は「200g未満」「自転車に対応した」携帯電動ポンプとします。

国内販売の携帯電動ポンプ(200g未満)一覧

2025年7月現在、国内で販売されている携帯電動ポンプの一覧です。

リストアップ条件は以下。

  • 国内のショップ、または国内通販サイト(Amazon/楽天/ヨドバシなど)で購入可能であること。
  • 重量が200g未満であること
ブランド
製品名
重量
[g]

[mm]

[mm]

[mm]
空気圧
指定
空気圧
表示単位
最大気圧バッテリー容量充填速度
(700x25C)
充填回数
(700x25C)
延長
ホース
シリコン
カバー
充電時間
[分]
備考国内定価
[円]
Fumpa
「mini Fumpa」
19068.056.032.0×-120PSI
(8.3bar)
2.96Wh
400mAh/7.4V
100PSI / 50秒記載なし別売×6050秒で自動停止15990
Fumpa
「nano Fumpa」
10057.047.026.0×-110PSI
(7.6bar)
2.22Wh
300mAh/7.4V
90PSI / 100秒記載なし別売×4550秒で自動停止12990
CYCPLUS
「AS2」
9765.046.528.0×-100PSI
(6.9bar)
2.22Wh
300mAh/7.4V
100PSI / 150秒80PSI
2回
別売20-11000
CYCPLUS
「AS2 PRO」
12070.049.028.0bar, PSI120PSI
(8.3bar)
3.11Wh
420mAh/7.4V
120PSI / 120秒80PSI
4-5回
付属30-15950
CYCPLUS
「AS2 Ultra」
8765.047.528.0bar, PSI120PSI
(8.3bar)
2.96Wh
400mAh/7.4V
120PSI / 140秒 80PSI
3回 
付属25-17600
TOPEAK
「E-BOOSTER DIGITAL」
15986.059.035.0bar, PSI, kg/cm2120PSI
(8.3bar)
4.44Wh
600mAh/7.4V
100PSI / 80秒80PSI
4回 
付属45-16500
日邦電機
「ELXEED-BL01」
10871.545.032.0bar, PSI120PSI
(8.3bar)
3.70Wh
500mAh/7.4V
記載なし80PSI
3回 
付属×60手元LED付き11900
TREK
「Air Rush」
13380.045.032.0bar, PSI, kPa120PSI
(8.3bar)
3.70Wh
500mAh/7.4V
記載なし80PSI
3回 
付属×60手元LED付き12900
COOSPO
「AP-B1」
12974.048.034.0bar, PSI120PSI
(8.3bar)
3.70Wh
500mAh/7.4V
100PSI / 80秒80PSI
3-4回 
付属×40手元LED付き9999
COOSPO
「AP-X1」
12872.053.030.0PSI120PSI
(8.3bar)
3.70Wh
500mAh/7.4V
100PSI / 90秒80PSI
4回 
付属×40動的バランス技術を搭載10999
MagicCycling
「JIISO mini pump」
9370.063.328.0×-100PSI
(6.9bar)
2.22Wh
300mAh/7.4V
100PSI / 150秒80PSI
2回
使用不可×20-8800
FLEXTAILGEAR
「TINY BIKE PUMP ACS」
12567.051.029.0PSI120PSI
(8.3bar)
3.70Wh
500mAh/7.4V
110PSI / 100秒80PSI
3回 
付属×35テールライト兼用13999
FLEXTAILGEAR
「TINY BIKE PUMP」
11070.541.028.5×-100PSI
(6.9bar)
2.59Wh
350mAh/7.4V
100PSI / 150秒80PSI
2回
付属25テールライト兼用6499
PWT
「電動空気入れ」
11871.545.032.0PSI, kPa120PSI
(8.3bar)
3.70Wh
500mAh/7.4V
100PSI / 90秒80PSI
3-4回 
付属×30手元LED付き6980
PANP
「RIDE CYCLE」
10871.545.032.0bar, PSI120PSI
(8.3bar)
3.70Wh
500mAh/7.4V
記載なし記載なし付属×120手元LED付き11980
CYCLAMI
「A2」
11070.041.028.0×-100PSI
(6.9bar)
2.59Wh
350mAh/7.4V
記載なし記載なし付属30-5593
CYCLAMI
「A2S」
13673.645.028.6bar, PSI120PSI
(8.3bar)
3.70Wh
500mAh/7.4V
120PSI / 120秒記載なし付属45-8099
CYCLAMI
「E1-TEAM」
13377.849.530.2PSI120PSI
(8.3bar)
5.55Wh
750mAh/7.4V
記載なし記載なし付属×70-7272
TOPUMP
「TB2」
12777.053.032.0×-120PSI
(8.3bar)
3.33Wh
450mAh/7.4V
120PSI / 120秒80PSI
4回 
付属×30-5890
TOPUMP
「TB2 PRO」
12777.053.032.0bar, PSI120PSI
(8.3bar)
3.33Wh
450mAh/7.4V
110PSI / 90秒80PSI
4-5回 
付属×30-10500
ROCKBROS
「超小型 電動空気入れ
42320008001」
9764.056.028.0×-100PSI
(6.9bar)
2.22Wh
300mAh/7.4V
100PSI / 160秒80PSI
2回 
使用不可25-10990
ROCKBROS
「超小型 電動空気入れ
42720011001」
9363.761.731.0×-100PSI
(6.9bar)
2.22Wh
300mAh/7.4V
100PSI / 160秒80PSI
2回 
別売×25-8500
ROCKBROS
「超小型 電動空気入れ
42320011001」
13864.563.028.0bar, PSI120PSI
(8.3bar)
3.33Wh
450mAh/7.4V
120PSI / 105秒80PSI
4回 
付属30-13980
AIRBANK
「POCKET」
9563.056.028.0×-100PSI
(6.9bar)
2.22Wh
300mAh/7.4V
100PSI / 160秒80PSI
2回 
使用不可25-7800
AIRBANK
「POCKET SE」
9364.564.031.0×-100PSI
(6.9bar)
2.22Wh
300mAh/7.4V
100PSI / 160秒80PSI
2回 
別売×25-5999
AIRBANK
「POCKET PRO」
12464.563.028.0bar, PSI120PSI
(8.3bar)
3.33Wh
450mAh/7.4V
120PSI / 90秒80PSI
4回 
付属25-11600
ANOUTWAY
「AT1」
12070.056.031.0×-120PSI
(8.3bar)
3.33Wh
450mAh/7.4V
110PSI / 90秒80PSI
4-5回 
別売×30-9999
ANOUTWAY
「AT1 PRO」
12070.056.031.0bar, PSI120PSI
(8.3bar)
3.33Wh
450mAh/7.4V
110PSI / 90秒80PSI
4-5回 
付属×30-9719
GORIX
「電動空気入れ」
9870.063.328.0×-100PSI
(6.9bar)
2.22Wh
300mAh/7.4V
記載なし記載なし使用不可×20-7999
innhom
「電動空気入れ」
10871.545.032.0bar, PSI120PSI
(8.3bar)
3.70Wh
500mAh/7.4V
120PSI / 120秒80PSI
5回 
付属×60手元LED付き9999
UNIQ
「PumpRacer」
12873.047.034.0bar, PSI120PSI
(8.3bar)
3.70Wh
500mAh/7.4V
不明不明付属×60手元LED付き7980
スリーアール
「PumPush」
9764.056.028.0×-100PSI
(6.9bar)
2.22Wh
300mAh/7.4V
100PSI / 160秒80PSI
2回 
使用不可25-9990
スリーアール
「PumPush Multi」
16077.050.033.0PSI130PSI
(9.0bar)
4.44Wh
600mAh/7.4V
記載なし80PSI
2回 
※28C
付属90バイク・自転車・ボール用モードあり9990
Betenet
「自転車空気入れ」
12066.044.032.0bar, PSI, kPa120PSI
(8.3bar)
2.59Wh
350mAh/7.4V
80PSI / 50秒80PSI
4回 
付属23バイク・自転車・ボール用モードあり3781
WyBright
「自転車 空気入れ」
12566.044.032.0bar, PSI, kPa120PSI
(8.3bar)
2.59Wh
350mAh/7.4V
記載なし記載なし付属23バイク・自転車・ボール用モードあり10980
XFUN
「極小電動空気入れ」
13575.046.528.0×-100PSI
(6.9bar)
4.66Wh
630mAh/7.4V
不明不明付属60バイク・自転車・ボール用モードあり9800
アサヒサイクル
「UNIZE AUTO PUMP
pocket」
12269.053.029.0×-120PSI
(8.3bar)
2.59Wh
350mAh/7.4V
不明不明付属30-7300
NITECORE
「EBP10 MINI」
14065.065.030.0bar, PSI120PSI
(8.3bar)
2.55Wh
250mA/11.1V
80PSI / 60秒80PSI
3回 
別売40-23980
Magicshine
「AIRRO」
14577.047.230.8bar, PSI120PSI
(8.3bar)
3.70Wh
500mAh/7.4V
110PSI / 100秒80PSI
3-4回 
付属45-12940
Panaracer
「P-Pump」
140
(ケース含)
70.056.031.0×-145PSI
(10.0bar)
3.33Wh
450mAh/7.4V
88PSI / 60秒80PSI
3回
付属30-11550

電動ポンプ選びのポイント

選択肢が増えに増えた、超小型の携帯電動ポンプ。ライド時にパンクしたときの備えとして持っておくと、いざという時に助かるアイテムです。

私がこれまで多数の携帯電動ポンプを使用・テストした経験から「選ぶ際に注意すべきこと」をまとめておきます。

空気圧指定機能の有無

200g未満の電動ポンプで空気圧指定機能を最初に付けたのはCYCPLUS「AS2 PRO」だったと思います。液晶画面で空気圧を指定すると、その気圧まで空気を入れた後は自動的に停止する機能のことです。

それまでは、「スイッチを押した後、再度スイッチを押すまで充填され続ける」モデルしかありませんでした。

AS2 PROの空気圧指定画面

私も最初は「”何秒で何気圧入るか”を覚えておけば、空気圧指定機能なんていらないでしょ」と思ってたのですが。いざ使ってみると、この空気圧指定機能が非常に便利だったのです。

空気圧指定機能のない電動ポンプの場合、口金がちゃんと固定されなくて空気が漏れていてもしばらく気付けないのですが、空気圧指定機能のあるポンプは液晶にリアルタイムの空気圧が表示されます。漏れていれば数字が上がっていかないので、すぐに「口金の固定に失敗しているな」と気付けるわけですね。

また、空気圧指定機能があれば、指定した気圧でピッタリ止めることが出来ます。0.1気圧までこだわりたいチューブレスタイヤに空気を入れる際など、この機能は非常に便利でした。

現在でも空気圧指定機能のない電動ポンプは手に入りますが、あえてそちらを選ぶほどの価格差や重量差はもはや無いと思います。今から購入するのであれば、空気圧指定機能が付いたモデルを選んだほうが良いでしょう。

TPUチューブユーザーの注意点

電動ポンプと同じく、近年急速に普及したのがTPUチューブです。しかし、電動ポンプとTPUチューブの組み合わせは、使い方を間違えるとチューブを破損する可能性があります

表面温度が100℃を超えることも

電動ポンプは、高速でモーターを動かして空気をチューブに送り込みます。モーターの発熱と、空気が圧縮される際の発熱が合わさり、電動ポンプはかなりの高熱を持ちます。場合によってはポンプ表面の温度が100℃を超えることも。熱に弱いTPUチューブの樹脂バルブはこの温度で溶けてしまうことがあります

詳しくはこちらの記事にまとめていますが、電動ポンプを選ぶ時に気をつけるべき点は2つ。「熱くなりにくい電動ポンプを選ぶ」こと、「延長ホースを使用可能な電動ポンプを選ぶ」ことです。

熱くなりにくいものを選ぶ

私はこれまで約10種類の電動ポンプを触りましたが、メーカーや機種によって熱くなりやすさには明確な違いがあります。これはスペック表を見ても分かりません。実際に使用した人のレビューなどを読んで判断するしか無いでしょう。

これまで私が使った中で使用時間あたりの発熱が最も少なかったのはCYCPLUS「AS2 PRO」でした。より小型な「AS2 Ultra」はやや発熱が大きかったです。

次点はCOOSPO「X1」。AS2 PROよりは発熱が大きく、AS2 Ultraより発熱は少なかったです。「シリコンカバーが必要ないほどの発熱量の低さ」を売りにしているだけのことはありました。

延長ホースが使用可能なものを選ぶ

TPUチューブと電動ポンプをセットで使う場合には、延長ホースが必須です。熱源であるポンプからTPUチューブのバルブを遠ざけることで、樹脂バルブが溶けることを防ぎます。電動ポンプを樹脂バルブに直結すると、バルブが溶けます。

CYCPLUS「AS2」の延長ホース

現在、ほとんどの電動ポンプには延長ホースが使用可能かつ、購入時に付属するようになっています。ただ、一部モデルは延長ホースが使用不可能となっています。本ページの一覧には「延長ホース」の対応状況の列も設けてありますので、そちらを確認してみてください。

シリコンカバーの有無

「TPUチューブは熱に弱いので、熱を持ちにくい電動ポンプを」とは書きましたが、TPUチューブユーザー以外でも熱は問題になります。使用後は本体が熱くなるので、素手で持つと火傷する可能性があるからです。

これも「熱を持ちにくい電動ポンプを探す」ことがベストプラクティスになるわけですが、もう一つ防止法があります。シリコンカバーを付けることです。シリコンは熱伝導性が低いので、本体が熱くなってもシリコンカバーがついていれば手で触ることが出来るわけですね。

CYCPLUS「AS2」と専用シリコンカバー

シリコンカバーは専用設計であり、購入時に付属します。別売はされていないので、後から追加購入は出来ません。シリコンカバーを付けなくても熱を持ちにくい機種であれば問題はありませんが、シリコンカバーが付いている機種のほうがより安心だと思います。

自分の用途に合うスペックか

ここで言うスペックは「最大気圧」と「充填回数」と「騒音」です。

最大気圧

現在、200g未満の電動ポンプの最大気圧は「100PSI(6.9気圧)」「120PSI(8.3気圧)」のどちらかであることがほとんど。

例えば日常で7気圧以上に設定している人が100PSI(6.9気圧)までの電動ポンプを買った場合、欲しい気圧まで空気を入れることが出来ません。そして、「最大100PSI」のポンプは、実際にはそこまで行かずに押し負けることも多いです。純粋にパワーが足りないので。

「最大120PSI」を掲げていても、品質が悪く、実際にはそこまで達しないポンプもあります。ここはブランドの信頼を重視すべき部分ですね。

充填回数

200g未満の電動ポンプの場合、バッテリーサイズは300mAh~500mAhの範囲に含まれます。

このバッテリーサイズで「25Cタイヤに6気圧」入れるケースを考えると、充填回数は「2-4回」の範囲に収まるはず。仕事量的に、これより回数を出すのは難しいです。これが「28Cタイヤに6気圧」だと、タイヤ内の容積が大きいので回数が下がります。充填回数「1-3回」といった所でしょうか。

この充填回数は、1回の充電でパンク修理が出来る上限回数となります。パンクは1度すると連続して続くことが良くあります。何回までのパンクを想定するのかを考えて電動ポンプを選んでください。

もちろん、製品のスペック表に書いてある「充填回数」はウソであることもあります。ここもブランドの信頼を重視すべき部分です。

騒音

電動ポンプは非常に大きな音を発します。使ったことがない方が持っているイメージの数倍うるさいと思います。

騒音値をスペックで公開している電動ポンプはほとんどありません。また、書いてある数値もどれだけ信用できるかは分かりません。チャンスがあれば、購入前に実際に動かして音を聞いてみたほうが良いでしょう。

参考までに、私が計測した電動ポンプの騒音データを以下に示します。88PSI(6気圧)まで空気を入れた時の騒音を50cm離れた場所で計測しました。

類似品でも中身は違う?

本ページの一覧を見ると、「コレとコレ、ほぼサイズやスペック同じじゃない?」という製品があることに気づくと思います。実際、別ブランドの製品が同じ工場で生産されているケースもあるでしょう。

本ページの一覧はソート可能になっています。サイズでソートしてみると、似た製品同士が見つかると思います。

「同じ製品ならば価格が安い方を選んだ方が得」……と考えてしまうと思いますが、それは罠です

左: ELXEED-BL01、右: 某社の電動ポンプ

左は日邦電機「ELXEED-BL01」、右は某社の電動ポンプです。筐体は全く同じ、付属品も同じです。ですが、性能は全く違いました

某社の電動ポンプは音もうるさく、充填も遅く、90秒ほど動作すると高温で停止してしまう酷い代物でした。ELXEED-BL01は表面が高温になる弱点はあったものの、電動ポンプとしては真っ当な性能を持っていました。

例え同じ工場で生産されたものだとしても、使われている部品・組み立て・検品体制によって出来上がる製品の品質は大きく変わります。使われているバッテリーのランクも違ってくるはず。

そういった品質を担保するためのコストは価格に上乗せされるものです。理不尽に高い製品も存在しますが、スペックに対して安すぎる製品は疑ったほうが良いでしょう。また、ブランドがしっかりしていれば、サポートもしっかりしているはずです。

気になる製品

個人的に気になる、「特徴ある電動ポンプ」をピックアップしました。

TOPEAK「E-BOOSTER DIGITAL」

TOPEAKというブランドは流行に対する反応は遅いものの、だいたい独自のエッセンスを加えて商品化してくる傾向があります。このポンプもその一つ。

だいたいの電動ポンプは口金を手動でひっくり返すことで仏式⇔米式の変換を行いますが、こちらの電動ポンプは機械的に切り替えが行えるようになっています。

そして最大の特徴が、「音がとても静か」という点。電動ポンプは充填が早くなる&サイズが小さくなるほど爆音になる傾向がありますが、こちらの製品はかなり静音化を意識して作られたように見えます。特に製品のアピールにそういうことは書いていませんが、実際に触ってみて静かでした。

人のいる場所で使うことを躊躇するほどの音量であることが多い電動ポンプ、こちらの製品をきっかけに静音化の方向性も探ってほしいものです。

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COOSPO「AP-X1」

今月、発売になったばかりのCOOSPOで2製品目の電動ポンプ。レビュー依頼を頂いて、現在テスト中です。

すごく失礼ながら「あまり目新しさのないものを出してくるブランドだなぁ」と思っていたのですが、この電動ポンプは新規性が多々見られたので興味を持ちました。

まず個性的だったのは見た目。モーター部分がシースルー。ボディにもブランド名が浮き上がる凝った加工がなされています。

そして面白いのが「低発熱」を謳っていること。「電動ポンプが熱を持つ」というのは火傷防止のシリコンカバーが付いてくることからも自明なのですが、「熱ければカバーを付ければいいじゃない」という場当たり的な対応に見えます。この製品は以下の特徴を謳っています。

  • 動的バランス技術を搭載。空気充填時の振動・発熱・騒音・エネルギーロスを最小限に抑え、充填スピードとバッテリー寿命の向上を実現します。
  • シリコンカバーはもう不要。触れても熱くならない安心設計。

「動的バランス技術」というのがどういったものか分かりませんが、内部の熱が高まりすぎないように出力を再帰的に調整しているのだと思います(頻繁にモーターの回転数を変えている音がする)。能書きだけではなく、実際にポンプの表面の発熱も少なかったです。

ただし、音は他製品よりも爆音でした。発熱は抑えられていましたが、騒音はもう少し頑張ってほしかったですね。ただ、従来製品の問題点に向き合う姿勢は評価できます。

FLEXTAILGEAR「TINY BIKE PUMP ACS」

FLEXTAILGEARは、主にキャンプ向けの電動ポンプを販売しているブランドです。そのブランドが自転車向けの電動ポンプも販売しているのですが、これが超個性派。何と「テールライトを兼ねる」のです。

Amazon製品ページより引用

アダプターを使ってシートポストに取り付けることで「テールライトにもなる電動ポンプ」。TOPEAKが昔、「テールライトになる手動ポンプ」を販売していましたが、電動ポンプでもこんなのが出てきたか!と驚きました。

ただ、手動ポンプと違い、電動ポンプは電力が必要です。テールライトを使った結果、電動ポンプとして使おうとしたら電池切れで動かないのでは意味がありません。そして、どうもテールライトとしては数時間しか使えなそう。

発想は面白いんですが、もう少しテールライトの明るさを抑えるなどの工夫がほしい製品です。

Magicshine「AIRRO」

今度は「ライトの会社が作った電動ポンプ」です。ライトブランドとして有名なMagicshineが電動ポンプを発売しました。ただ、この製品にはテールライト機能は付いていません。付ければいいのに。

Amazon製品ページより引用

機能的にはこれと言った特徴はありませんが、こちらもCOOSPOと同じくモーター部分がシースルーデザイン。COOSPOは一部だけモーターが見えるようになっていましたが、Magicshineはモーター全体が見えるようになっています。なぜそこまでシースルーにこだわるのかは謎ですが。

あと、シリコンカバーが黒いのが面白いですね。他社のは普通、白系の透明なので。そして、シリコンカバーもモーターのところだけわざわざくり抜いています。放熱のため?

CYCPLUS「AS2 PRO」

最後に、私が現状一番良いと思う電動ポンプを挙げておきます。ド定番の「AS2 PRO」です。

つい先日、CYCPLUSからは更に小型・軽量な「AS2 Ultra」が発売になりました。ただ、それでも性能のバランスが最も取れているのは「AS2 PRO」の方だと思います。

発熱・騒音・大きさ・重量、全てにおいて★4以上が付く平均スペックの高さ。このジャンルの第一人者だけのことはあります。

まとめ

国内で販売されている、200g未満の電動ポンプのまとめでした。

調べ始めたら、出るわ出るわ。約40個もの電動ポンプが手に入る状態になっていることに驚きました。ほんの数年前まではCYCPLUSかFumpaくらいしかこのジャンルには無かったのですが、一気に浸透しましたね。

それだけに現在は玉石混交の状態にあると思います。見た目とスペックが似ていても、全然駄目な電動ポンプもあります。この記事の中段に書いた「ポイント」を抑えつつ、電動ポンプを選んでみてください。

恐らく今年の下半期もまだまだ色々な電動ポンプが出てくることでしょう。今後の展開が非常に楽しみです。

著者情報

年齢: 40歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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