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CYCPLUS「AS2 Ultra」ファーストインプレッション
CYCPLUSから新発売となる電動ポンプ「AS2 Ultra」のファーストインプレッションです。
空気圧指定機能のある「AS2 PRO」を小型・軽量化したモデルで、公称重量は87gと同社のラインナップ中で最軽量モデルとなります。2025/6/9、販売開始。
まえがき
まずはレビュー依頼を頂いた経緯について書きます。
メールでレビュー依頼をいただく
4月末の某日、以前「AS2 PRO MAX」のレビュー依頼を頂いたCYCPLUSの担当者からメールが届きました。内容は以下の通り。
新製品「AS2 Ultra」を発売します。
究極の軽量性を追求するライダー向けに開発された製品です。
87gという軽量設計で、非常にコンパクト。空気圧指定機能も付いています。
このサイズで120 PSIまで対応しており、700*25cタイヤ2本を0から120 PSIに充填可能です。
こちらの製品をテストし、レビューしてもらえないでしょうか?
……これは気になる。
同社の「AS2」と「AS2 PRO」は過去に購入済み。特にAS2 PROは色々な意味で「丁度よい」性能と高い品質を持っており、電動ポンプではもっとも高く評価した製品です。
スペックを聞く限りだと、「AS2 PRO(120g)を更に小型(87g)にした」モデルになっているようでした。その分だけバッテリーは小さくなっているようですが、充填性能の低下は最小限に止められていそうです。
非常に気になったので、レビュー依頼を受諾することにしました。
延期の後、発送
当初は5月発売という話でしたが、色々あって発売は6月に延期に。私の元への発送通知が来たのも5月20日のことでした。

5月29日に製品を受領。発売は6月9日ということでしたので、しばらく内々にテストを実施していました。
CYCPLUS「AS2 Ultra」

5月29日に受領し、それから4日間ほど色々なテストを実施しました。まだライドには持ち出していませんが、現段階でのファーストインプレッションを書いていきます。
兄弟機であるAS2シリーズ各機種のレビューは以下です。
本製品の位置づけ
AS2 Ultraのラインナップ中での位置づけについて触れておきます。
まずはスペックの比較表から。
AS2 Ultra | AS2 | AS2 PRO | AS2 PRO MAX | |
---|---|---|---|---|
発売時期 | 2025/6 | 2023/3 | 2024/3 | 2024/3 |
重量 | 87g | 97g | 120g | 205g |
大きさ | 縦: 65.0mm 横: 47.5mm 厚: 28.0mm | 縦: 65.0mm 横: 46.5mm 厚: 28.0mm | 縦: 70.0mm 横: 49.0mm 厚: 28.0mm | 縦: 81.0mm 横: 60.0mm 厚: 32.0mm |
空気圧指定機能 | ◯ | × | ◯ | ◯ |
最大気圧 | (8.3bar) | 120PSI100PSI (6.9bar) | 120PSI (8.3bar) | 120PSI (8.3bar) |
バッテリー容量 | 2.96Wh 400mAh/7.4V | 2.22Wh 300mAh/7.4V | 3.11Wh 420mAh/7.4V | 6.66Wh 600mAh/11.1V |
充填速度 (700x25C) | 120PSI / 140秒 | 100PSI / 150秒 | 120PSI / 120秒 | 120PSI / 75秒 |
充填回数 (700x25C) | 80PSI 3回 | 80PSI 2回 | 80PSI 4-5回 | 120PSI 4回 |
延長ホース | 付属 | 別売 | 付属 | 付属 |
充電時間 | 25分 | 20分 | 30分 | 60分 |
充電端子 | Type-C | Type-C | Type-C | Type-C |
定価 | 119ドル | 69ドル | 109ドル | 129ドル |
2023年に発売された「AS2(当時の名称はCUBE)」は、空気圧指定機能のないモデルでした。

停止ボタンを押すまで動き続ける仕組み。空気圧を表示する画面もないので、「そろそろ良いだろう」というファジーな感じで空気を入れることしか出来ませんでした。

2024年に発売された「AS2 PRO」「AS2 PRO MAX」には空気圧指定機能を搭載。指定空気圧まで達すると自動的に充填がストップする仕組みです。リアルタイムで現在の空気圧も表示されるため、充填ミスにもすぐ気づくことが出来ました。

そして、2025年発売の「AS2 Ultra」。機能は「AS2 PRO」と同等、大きさは「AS2」と同等。重量はAS2よりも更に10g軽い87gとなっています。AS2 PRO比較で30gも軽い。
位置付け的には、「AS2 PROを更に小型・軽量化し、携帯性を高めた」モデルと言えそうです。

ポンプとしての公称スペックはこちらの画像の通り。5.5気圧まで入れる場合、25Cタイヤなら3本、28Cタイヤなら2本まで使用可能となっています。
パッケージ

パッケージ裏面はスペック表示。なぜかフランス語だけ特別に説明があるのが気になります。フランスで売れてるんでしょうかね? 法律上の理由で廃棄方法を明記しないと販売できないのかもしれませんが。

パッケージの中身は以下。
- 説明書(7ヵ国語)
- 本体(シリコンケース取付済)
- Type-Cケーブル
- 予備パッキン
- 延長ホース
- 延長ホース用仏式アダプタ
- ボール用ノズル
- 防水バッグ
AS2 PROやPRO MAXと入っているものはほぼ同じです。ノズルピンが今作から内蔵となっているため付属品からは外れています。前作までは米式バルブに使う時のみノズルピンを追加する方式でした。
各部詳細



3方向からの図。基本的な見た目はAS2 PROやPRO MAXと同じ。ただ表面処理が少し変わっています。

左がAS2 PRO、右がAS2 Ultraです。表面処理がマットな感じに。どうせシリコンケースを付けてしまうので見えない部分ですが。


上下はこんな感じ。充電端子は給気口を兼ねているので、充電しながら使用することは出来ません。底部にはバッテリー等の情報が書かれていますが、ワット総量(Wh)が書かれていないのが気になります。空港における荷物検査ではワット総量の印字を求められることもあるので。今後の改善を願いたい部分です。
重量

公称87g(マニュアル上では90g)で実測89g(シリコンケースなし・口金付き)。かなり軽いです。

先日レビューしたBSCOBBERの電動ポンプも口金付きで102gと軽量でしたが、そこから更に13g軽いことになります。自転車用の電動ポンプで空気圧指定機能が付いた機種の中では間違いなく最軽量だと思います。


シリコンケースを付けた状態で106g、延長ホースを付けた状態で127.5gでした。AS2 PROはシリコンケース+延長ホースで162gだったので、セット合計で35g軽量化したことになります。
大きさ
「AS2」「AS2 PRO」「AS2 PRO MAX」「AS2 Ultra」を並べてみました。


一番左が「AS2 Ultra」。サイズ的にかなり小さいことがお分かりになるかと思います。

Edge530との比較。厚みこそありますが、縦横はAS2 Ultraのほうが小さい。

ツールケースにも楽々入るサイズでした。

AS2の4兄弟を俯瞰で。
空気充填
空気の充填機能を見ていきます。
使用方法
使用方法ですが、AS2 PROと全く同じです。AS2 PROのインプレ記事に書いた内容を再掲します。
- 電源ボタンを長押しして電源を入れる。
- +ボタンと-ボタンで目標気圧を設定する(最大120PSIまで)。
- 電源ボタンを短く押すと充填開始。
- 目標気圧に達すると、電源が自動的に切れる。
充填中はリアルタイムの空気圧が液晶部分に表示されます。設定した空気圧で自動的に動作が停止するので便利。


デフォルトの空気圧表示はPSIですが、+ボタンと-ボタンを同時押しするとBAR表示に切り替えられます。
充填速度
内幅17mmのリムに取り付けた25Cタイヤに対し、0PSIの状態から88PSI(6気圧)まで上げるのにどれだけ時間が掛るかを計測しました。
AS2 | 110秒 |
---|---|
AS2 PRO | 67秒 |
AS2 PRO MAX | 64秒 |
AS2 Ultra | 86秒 |
6気圧まで上げる速度は、AS2 < AS2 Ultra < AS2 PRO ≦ AS2 PRO MAXという結果に。概ねサイズ比例という形ですが、AS2よりもAS2 Ultraの方が強力なモーターを積んでいるようで速いです。ただ、AS2 PROよりは3割ほど多く時間が掛かる結果になりました。
音
AS2シリーズについて、50cm離れた場所の騒音をセンサーで測定。時間変化をグラフにしました。

数値データにすると以下です。
製品名 | 平均[dB] | 最大[dB] |
---|---|---|
AS2 | 71.2 | 76 |
AS2 PRO | 77.3 | 80 |
AS2 PRO MAX | 74.2 | 77 |
AS2 Ultra | 77.8 | 80 |
機械的な音量測定では、AS2 Ultraの音の大きさはAS2 PROと同程度ということになりました。ただ、主観的にはAS2 Ultraの方が音が大きく感じられました。恐らく、AS2 PROの音は低音成分がメインで、AS2 Ultraの音は高音成分が強いことが関係しているのでしょう。
動画も撮影してみました。音量注意。
熱
以前購入した非接触タイプの温度計で、充填後の表面温度を測定しました。これまでと同様に25Cタイヤに88PSIまで入れています。

1回目の終了後の状態で、表面温度は52℃でした。これは従来のCYCPLUSの電動ポンプでは高めの数値です。参考までに、AS2 PROは88PSIまで入れて39℃です。

冷却期間をおかず、88PSIまで2回目の充填を終えた段階で76℃でした。これはちょっと素手では掴めません。
88PSIに達するまでの時間は、AS2 PROに比べてAS2 Ultraが3割ほど長いことは直前に書いた通り。電動ポンプの表面温度は動作時間に比例する所が大きいので、やはり3割長い動作時間が効いているようです。
熱を持つと充填性能も落ちやすい(なので1回目よりも2回目のほうが遅い)のでなるべく低温で動作してほしいところ。しかし、サイズが小さくなると色々と性能を落とさざるを得ない分だけ動作時間が長くなる→温度が上がりやすくなるという状態になります。ここはコンパクトさとのトレードオフですね。
使用回数
前述の条件と同じく、25Cタイヤに88PSI(6気圧)まで入れるテストを複数回実施しました。
結果としては「2回は88PSIまで入った」「3回目は26PSIほどでエラー(E10: バッテリー残量不足)」となりました。AS2 PROは同条件で3回完了出来る(4回目は起動せず)ので、使用可能回数が1回分少ないことになります。
1ライドでパンク3回までは経験があるので、出来れば3回使えるとありがたいですが……まぁ、いざとなったらモバイルバッテリーで充電すればOKではあります。この後に書きますが、充電は相当速いです。
バッテリー充電速度
AS2 Ultraの公称充電時間は25分です。

実測してみた所、1350秒=22分30秒で満充電となりました。2.5Aとはかなり早いですが、C値の観点から言うと少し電流を流し過ぎな気がします。
発売日と値段
CYCPLUS公式直販での発売予定日は2025年6月9日です。
価格は119ドルと、同社の電動ポンプではAS2 PRO MAXに次ぐ値段となりました。小型・軽量を希少価値として位置づけているようです。
本記事下部に記載のクーポンコードは使用可能だと思いますので、試してみてください。
まとめ
CYCPLUS「AS2 Ultra」のファーストインプレッションでした。

AS2 PROから1年。CYCPLUSが「究極の軽量性」を掲げて投入してきた本製品は意欲作であることが感じ取れました。100g以下の重量とこのコンパクトさで、実用十分な充填速度とパワーを持っているのは凄いです。
小型化に伴うトレードオフはあります。指定空気圧に達するまでの時間が3割増加、それによる本体の温度上昇と、使える回数の減少。ただ、それらのデメリットは出来る限り最小限に抑えてきた印象です。
87gという重量は、手動の携帯ポンプでも中々見ない軽さです。加えてボックス形状なので色々なバッグへの収まりもよく、携帯性という意味では更に向上したと言えましょう。
次のライドイベントにはAS2 Ultraを持参する予定です。本格レビューはまたその後に。
現在、CYCPLUS製品の5%割引クーポンコードが発行されています。
対象:ストア内すべての製品
回数制限: なし
著者情報
年齢: 40歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。