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BRIDGESTONE「EXTENZA R1X」をしばらく使ってみて
BRIDGESTONEのロード用フラグシップタイヤ「R1X(28C/クリンチャー版)」を買ってしばらく使ってみました。
2010年代にも同名のタイヤが販売されていましたが、今回記事にするのは2023年に発売したバージョンとなります。
購入まで
まずは購入に至るまでの話を書いていきます。
気になっていた新R1X
2023年9月に発売となった、新R1X。

実に8年ぶりのバージョンアップでした。新ETRTO制定からしばらく経っても全くラインナップが刷新される気配がなかったので、BRIDGESTONEはロードタイヤ事業を諦めたのかと思っていました。

私は一時期、旧R1Xを愛用していました。登場当時(2015年頃)、230g前後が相場だった25Cタイヤでしたが、R1Xは190gと恐ろしく軽かったのです。耐パンク性能はそれなりでしたが乗り心地もよく、転がる感じも悪くなかったことを覚えています。
La route(閉鎖)に掲載されたレビュー&インタビュー記事を見ても、新R1Xは中々良さそうな印象を持ちました。
ただ……クリンチャー1本で11000円(税込)という価格には流石に手が出ませんでした。コスパに優れるイメージのある国内ブランドのクリンチャータイヤで10000円超は2年前当時としてはかなり割高に感じられたのです。
楽天で安売りされていたので購入
今年6月。それまで使っていたAGILEST FASTがそろそろ寿命を迎えそうになっていました。性能的には申し分ないタイヤでしたが、減りが早い。美味しい所を使えるのは2000km程度でしょうか。私の使い道は主にロングライド・ブルベですが、数本走ったら寿命を迎えてしまう計算です。
そこで、「性能的にAGILEST FASTに近く、もう少し寿命の長いタイヤはないか」と次のタイヤを探し始めました。
Amazonを検索していると、目に止まったのがR1Xの2本セット。定価ならば22000円ですが、14800円と非常に安くなっていました。1本あたり7400円。クリンチャータイヤとしてはまだまだ高級な価格ではありますが、これくらいなら試してみようという気になりました。
クリンチャーの28Cを購入。翌日には届きました。
BRIDGESTONE「EZTENZA R1X(CL/28C)」

BRIDGESTONE「R1X(28C/クリンチャー)」を1ヶ月で500km程度使用した感想になります。
この期間での用途は、週末のロングライド(100km程度)と、夜練(20km程度)です。レース的な用途には使っていません。
ホイールはSHIMANO「WH-R8170」、チューブはPanaracer「Purple Lite」を合わせました。
パッケージ

パッケージは普通の紙箱。裏面には注意書きが色々と。2023年発売ということで、NEW ETRTO STANDARD(ETRTO2021)に適合していると書かれています。

箱の内側にはタイヤ組付説明書が。これは珍しい。
重量


実測重量は、231g/235g。公称235gなので、ほぼ公称通りと言って良いと思います。
昨今の新ETRTO対応の28Cタイヤとしては軽くも重くもない標準的な重量です。
組付け
WH-R8170との相性はあまり良くないようで、組付けにはかなり苦労しました。他の人のインプレでは「スムーズに組み付けられた」という感想もあったのですが、恐らくホイールとの相性なのでしょう。離型剤もそれなりに残っていました。

タイヤサイドには「MADE IN TAIWAN」の文字。公に語られてはいませんが、以前からEXTENZAのタイヤ・チューブは台湾のチェンシンタイヤ(マキシスブランドを展開する会社)が手掛けていたので、恐らく今回もそうなのでしょう。
太さ
組み付けて空気を入れてみたのですが……なんかこれ細くない?

実測してみると、27.5mmしかありませんでした。
新ETRTOに則っているのであれば、「内幅19mmのリムに付けた時に28mmの太さになる」ように設計されているはずです。WH-R8170の内幅は21mm。内幅が2mm増えると、タイヤの幅は1mm増えると言われているので、計算上は+1mmの29mmになるはず。しかし、実際には-0.5mmの27.5mm。これはちょっとおかしい。

そこで、タイヤのケーシング幅を測ってみると、62.5mmでした。
こちらの記事ではケーシング幅の実測値をまとめていますが、62.5mmというのは「新ETRTOの25Cタイヤ」のボリュームゾーンの値です。

ケーシング幅が、リムに取り付けた時のタイヤ幅と完全に相関するわけではないのですが、現にこのタイヤは内幅21mmのリムに取り付けて27.5mmしかないわけです。本当にこのタイヤは「新ETRTOの28Cタイヤ」として設計されているのか、疑問が残りました。

同じことを疑問に思ったワイズロード東大和の店員さんがBRIDGESTONEに問い合わせた所、以下のような回答があったとのこと。
「ETRTO規格も実は[28cはタイヤ幅が28mmにならなければいけない]というものではなく、[◯mm~◯mmまでであれば◯cと表記していい]というものなので、同じ”28c”でもこういったことが起こります。」
うーん、答えになっているような、なっていないような……。
私の妄想を書いてしまうと、「これは内幅23mmを前提とした28Cタイヤなのでは?」と。
実は旧R1Xも、他社が「内幅15mmでタイヤ幅25mmになる」ように作っていた時代に、「内幅17mmでタイヤ幅が25mmになる」ように作られていたタイヤだったのです。その後、他社もそういう設計の25Cタイヤが増えていったのですが、一番早かったのはR1Xだったと記憶しています。今回も同様に他社よりも先走った設計になっているのではないかと思ったのですが……真相は分かりません。
パターン
特にパターンのないスリックタイヤです。
La routeでの開発者インタビューによれば、「トレッドパターンによる性能向上は見られなかったので、接地面積が稼げるスリックとした」とのことです。
耐パンクベルト
ケブラー製の耐パンクベルトがトレッド下に入っているとのこと。
旧R1Xはアラミドの耐パンクプロテクターだったと思いますが、耐パンク性能は上がっているようです。
実走での感想

最初は前5.5気圧/後6.0気圧で150kmほど乗り、その後は前5.0気圧/後5.5気圧で350kmほど乗りました。
まず最初に感じたのは「かなり跳ねる」ということ。私はいつもTPUチューブで28Cタイヤだと「前5.5気圧/後6.0気圧」の設定で試してみることにしており、他のタイヤだとこれで乗り心地に問題を感じたことはありません。しかし、R1Xは「跳ねる」感触が強く、突き上げも強く感じました。たった100kmのライドで尻が痛くなったのは、私にとっては久しくなかった出来事です。
これだけ跳ねてしまうと転がりが良いのかどうかも分からず。宮ヶ瀬湖からのダウンヒルの感触は良かったので、グリップの高さは感じ取ることが出来ました。

その後、前後0.5気圧ずつ落として「前5.0気圧/後5.5気圧」で乗ってみた所、跳ねる感触は軽減。そうなって初めて転がりの良さも感じ取ることは出来ました。ただ、この気圧まで落としても他社のタイヤの「前5.5気圧/後6.0気圧」よりも乗り心地が悪く、走行にストレスを感じたため、合計500kmの走行で使用を打ち切りました。
「前5.0気圧/後5.5気圧」ならば100km程度は快適に走れましたが、200kmはキツそうな感触。そして、クリンチャーでTPUなのでここから更に気圧を下げるのはリスキー。ということで「not for me」であると判断した次第です。
耐久性
500kmほど使ってみましたが、後輪にはほとんど摩耗が見られません。レーシングタイヤとしては寿命が長そうに見えます。
これと言った小キズもなく、見た目の安心感はありますね。AGILEST FASTは小キズがかなり付きやすかったので。
まとめ
正直、私の用途では良い印象を持てないタイヤでした。
適正気圧であれば、良く転がって良くグリップする良いレーシングタイヤなのだと思います。一方、長い距離をマイペースで走る用途には向いていないと感じました。
TPUチューブではなく、R’Air等のブチルチューブやラテックスチューブを使えば「良い所取り」を出来る可能性はあるのでそのうち試してみようとは思っています。電動ポンプによって、ラテックスチューブの空気圧低下の早さはそれほど問題にならなくなってきましたので。
著者情報
年齢: 40歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。

