【レビュー】BSCOBBER「A5 Mini」

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評価:3.5

BSCOBBERの電動携帯ポンプ。公称98gと非常に軽量ながら、空気圧を指定可能です。

目次

購入動機

本製品は、買い物特典として頂いたものです(購入品ではありません)。

先週末、TOJの東京ステージを観戦に行きました。

今回はチームカーの待機スペースでイベントが行われており、スポンサー等の企業ブースが出展していました。

そんな中でひときわ目立っていた「Aliexpress」ブース。何と、今年のTOJの準冠スポンサーだそうです。昔々、Wiggleが東京ヒルクライムのスポンサーに付いていたことを思い出しました。

このブースでは物販こそやっていませんでしたが、その場でアリエクアプリから「TOJ2025」で検索し、結果に出てくる製品から何か一つを購入すると電動ポンプを貰えるキャンペーンをやっていました。そこで貰える電動ポンプは、過去に購入候補に上がったもの。結局買わなかったんですが、ずっと気にはなっていました。

ということで、あまり必要はないけれど2000円のテールライトを購入。その画面を見せると、電動ポンプをいただけました。

このポンプが今回のレビュー対象です。「98gの公称重量で液晶付き(空気圧指定可能)」。100g以下で空気圧指定が可能な自転車用の電動ポンプってほとんどないので、どんなものか試してみたかったのです。

アリエクスプレスでは3-4000円前後で販売されています。

直販価格は、本記事執筆時点で5300円。

製品概要

実測重量は98g(シリコンケース・口金なし)。対応する最大気圧は100PSI(6.9気圧)。サイズは65x42x33mmです。

バッテリーサイズは350mAh/7.4V。350mAh/3.7Vのバッテリーが2本、直列に内蔵されています。

液晶画面には空気圧が表示可能ですが、BARとPSIから選択可能です。

使用感

他に色々電動ポンプを持っているので携帯する予定はないのですが、まずは性能を家でテストしました。

比較対象は、CYCPLUS「AS2 PRO」ELXEED「BL01」です。

パッケージ

なかなかコンパクトに纏まったパッケージ。裏面にはスペックを記載。

パッケージの中身は以下の通り。

  • 説明書(8ヵ国語)
  • 本体(シリコンケース・仏式口金取付済)
  • Type-Cケーブル
  • 米仏変換アダプタ
  • 延長ホース
  • 米式口金
  • ボール用ノズル

火傷防止のためのシリコンケース、TPUチューブ等を熱で溶かさないための延長ホースが最初から付属しています。ユーザビリティへの考慮は十分。

マニュアルは8か国語に対応していますが、少なくとも日本語訳は相当怪しいです。「だるまの口」って何。

重量

初期状態で付属する仏式用口金を付けた状態で102g。口金を外すと98gです。

正直「公称の98gは嘘だろう」と考えていたので、本当だったことには驚きました。100gを切る液晶ディスプレイ付き電動ポンプはかなり珍しい。自転車用ではないモデルなら割とよくありますが、自転車用では今のところ他に知りません。

AS2 PROは実測118gだったので、20gも軽いことになります。

付属のシリコンケースは16g。口金とシリコンケースを取り付けた状態で118gです。

大きさ

CYCPLUS「AS2 PRO」と大きさを比較してみました。大体同じくらいの大きさと言えますが、A5 miniは樽のような形状で厚みがそれなりにあります。

ツール缶には余裕で入るサイズ感ですが、観音開きタイプのツールケースでは片方から半分に収まるかは微妙です(厚みがあるので)。

使い方

使用方法は以下の通り。

  1. 口金またはホースをバルブに接続する。
  2. 電源ボタンを長押しして電源を入れる。
  3. +ボタンと-ボタンで目標気圧を設定する(最大100PSI/6.9BARまで)。
  4. 電源ボタンを短く押すと充填開始。
  5. 目標気圧に達すると、電源が自動的に切れる。

液晶にはリアルタイムの空気圧が表示され、指定した気圧に達するとピタッと停止します。

デフォルトの空気圧表示はPSIですが、+ボタンと-ボタンを同時押しするとBAR(気圧)表示に切り替えられます。PSI表示の場合は1PSI単位、BAR表示の場合は0.1BAR単位で設定可能です。
この空気圧の単位設定は再起動しても保存されます。

口金を外した様子。付属の延長ホースを差し込んで使います。

この穴は汎用の延長ホースが使える規格になっているので、TNI「お助けチューブ」などを差し込んで使うことも出来ます。

充填能力

「内幅17mmのリムに25Cタイヤ/6気圧」という条件で測定し、他機種と比較しました。

いずれの機種もコールドスタートです(十分に冷却された状態でスタート)。

測定条件A5 miniAS2 PROBL01
リム内幅: 17mm
タイヤ幅: 25C
目標気圧: 88PSI (6.0気圧)
138秒67秒91秒

他機種に比べ、A5 miniの充填にはかなり時間がかかりました。AS2 PROに慣れた身からするとだいぶ遅く感じました。

筐体サイズを小さくしてしまうとモーターのパワーも落ちることが多く、そうなると指定の空気圧まで上げるのに時間が掛かります。AS2 PROのおよそ倍というのはちょっと掛かり過ぎな気はしましたが、無印AS2が90秒で5.5気圧まで入らなかったことを考えると、アンダー100gだとこれくらいの能力が限界なのかもしれません。

製品ページより引用

公式スペックだと「100PSIまで150-180秒」とあります。嘘は言ってなさそうです。

なお、50PSIを越えた辺りから動作音が一定周期で変化していました。70PSIを超えるとかなり苦しそうな音になりました。

なお、本製品で88PSIにセットして充填した状態をPanaracerのエアゲージで計測した所、6.2気圧(90PSI)でした。A5 miniの内蔵エアゲージはそこまで正確では無さそうです。

充填回数

0→88PSIまでの充填を行った結果、2回までは充填を完了できました。3回目の14PSIで沈黙。

2回目終了時点でインジケーターは3本中2本残っていたのですが。この製品のバッテリーインジケーターは当てにならなそうです。

50cmの距離で騒音計による計測を行いました。AS2 PRO、ELXEED BL01の結果とも比較してみます。

最初は83dBから始まり、大体80dBに安定してそのまま最後まで……という感じでした。

体感的には「(電動ポンプとしては)静か」と感じたのですが、計測機器による測定だと「うるさい」という結果に。音の周波数分布的に、低音メインで高音成分が少ないことでそう感じられたのかもしれません。比較対象のBL01の音量は同程度ですが、こちらは高音成分が多くて体感的には不快でした。

電動ポンプは、高圧に上げるほど動作時間が長くなり、動作時間が長くなるほど本体温度は上がります。

1回の充填(0→88PSI)の充填を終えた後の本体温度を計測してみました。シリコンケースは外した状態で計測しています。

一番温度が高かったのは底部で61℃。その他の部分は50℃前後でした。

底部は熱風を外に出すための排気口が付いているので一番熱くなるようですね。ここは触らないように気をつけましょう。

充電

Type-C端子を採用しており、1.5Aで充電が可能と書かれています。

計測してみた所、おおむね1.6A前後で充電。2000秒=33分で満充電となりました。なかなか早い。

防水性

電動ポンプは、基本的に防水ではありません。このため、雨が降っても濡れない状態で持ち運ぶ必要があります。

付属の延長ホース

本製品には、ロック機構付きの延長ホースが付属します。ただ、仏式ではなく米式対応の口金です。

仏式バルブに使うためには、バルブ側に米仏変換アダプタ(付属品)を付け、そこに延長ホース先の口金を接続してロックする必要があります。

見た目はかなり品質が微妙そうでしたが、6気圧程度なら問題なく空気が入りました。

ブランド名の意味

BSCOBBERという聞き慣れない響き、どういう意味なのだろう?と思っていました。

ブランドロゴの下をよく見ると「Best cobber for cyclists」という文字が。その略ということらしいですね。

cobberの意味を調べてみましたが、オーストラリアにおいて「仲間」を指す単語らしいです。ブランド名は「自転車乗りにとって最高の仲間」と言ったところでしょうか。

オーストラリアのブランドなのかな、と思いましたがどこの国のブランドなのかは良く分からず。製造は中国です。

まとめ

非常に軽量で空気圧を指定して充填出来る電動ポンプ。

充填速度は大手ブランド製品よりもだいぶ遅く、動作時の騒音も大きめという弱点はありますが、実売3-4000円ほどと考えると「案外悪くない」という評価になります。特に、「100gを切って空気圧指定機能付き」という点には惹かれる方も多いでしょう。長期的な耐久性やバッテリーの品質はもう少し長い期間使ってみないと分かりません。

細かい点で気になるところはありましたが、この手の電動ポンプの入門用には良いのではないでしょうか。より性能を求めたくなったら、CYCPLUSやTOPEAK等の大手機種に移行するのが良いと思います。

評価

対象モデル:  BSCOBBER「A5 mini」
年式: 不明
定価: 7400円
購入価格: 特典プレゼント
公称重量: 98g
実測重量: 98g

価格への満足度

(プレゼントのため評価対象外)

総合評価

7/10

各性能は大手に劣るものの、実用に足る性能は持つ。軽さ最重視の人に良さそう。

著者情報

年齢: 40歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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