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BRAKCO「FRC-20SA」ファーストインプレッション
台湾のブレーキ用品ブランド「BRAKCO」のディスクローター&ブレーキパッドを買ってみました。
購入まで
まずは購入までの流れを書いていきます。
台北ショーで見かける
今回取り上げるディスクローターを初めて見かけたのは、今年3月の台北ショーでした。

2025年の台北ショーはかなり多くのメーカーがディスクローターを販売していたのですが、その中でも目を引いたのがBRAKCOのローターです。

その特徴的な形状もさることながら、軽さが強烈。140mmで80g、160mmで95gという重量は、この時点で世界最軽量クラスです。それでいて、KCNC等の軽量ローターと比べてもアーム部分が割としっかりしていそう。
気になって調べたものの、この時点では日本に代理店は存在していませんでした。
サイクルモードで再会
台北ショーから約1ヶ月後のサイクルモード。そこでBRAKCOに再会しました。

ブースを出していたのは、大阪のヴァルシスという会社。

この時点では国内流通はしていませんでしたが、宇都宮ブリッツェンへのローター供給も開始していました。

このときは、台北ショーでは見かけなかった独特な構造のブレーキパッドも展示されていました。
この時点で、「ローターとパッドの発売は夏頃を目指している」とブースで聞いたので、発売を楽しみに待つことにしました。
いよいよ発売
8月中旬、楽天を眺めていると、見覚えのあるディスクローターが。
予告通り、夏に発売となったようです。早速2枚(140/160mmを1枚ずつ)注文しました。
ブレーキパッドも発売したようですが、残念ながら楽天には売っていませんでした。

あまりBRAKCOの製品を仕入れたショップの情報は見つからなかったのですが、駒沢公園のLOROには入荷した様子。電話をかけてみるとパッドの在庫が1セットだけあるというので、そちらを買いに行きました。

例のチタンプレートのパッドではなくオーソドックスなものですが、入手できました。BRAKCOのローターに最適化された性能らしいです。
BRAKCO「FRC-20SA」ファーストインプレッション

140mm径と160mm径のモデルを1枚ずつ購入しました。ブレーキパッドは同じく、BRAKCO「BP-71T&SP-71」をインストール(前側のみ)しています。
外観

左が140mm、右が160mm。やはり個性的な見た目をしています。

ローター内側の黒い部分を「インナーローター」、外側の銀色の部分を「アウターローター」などと呼ぶことがありますが、その間に丸いワッシャーのようなものが存在しています。このローターはいわゆる「フローティングローター」と呼ばれる仕組みを採用しているそうです。イマイチ私はこの仕組みの意味が良く分かっていないのですが、熱対策が主な目的であるとのこと。
重量


140mmモデルは実測79.0g(公称-1g)。160mmモデルは94.9g(公称-0.1g)。ほぼ公称通りです。

こちらの記事に世界中で入手可能なロード用ディスクローターの重量を掲載していますが、80g/95gという重量は世界最軽量クラスです。私が調べた限りで一番軽いのがNOW8「CENTERLIGHT」ですが、それよりもわずか数g重いだけ。
シマノのローターも価格の割には軽いのですが(88g/108g)、それでも160mm径で比べたら13gもBRAKCOのほうが軽量ということになります。
厚み

マイクロメーターで厚みを計測しました。2枚とも、約1.68mmです。シマノのローターは初期の厚みが1.73~1.80mmあるので、それよりもかなり薄いことになります。

使える厚みは1.50mmまでなので、0.18mmしか使える場所がないことになります。どのくらいの速度で削れていくのかは不明ですが、寿命は短そうです。
取り付け
ローターとパッドを取り付けていきます。
ローター

早速、取り付けてみました。見た目はカッコイイですね。ただ……
すっごく振れてます。
EQUALブレーキなのでクリアランスは好きに調整できますが、パッドに擦らないように調整するとレバーの握りが緩すぎます。正直、上手く制動出来ないほど緩い。
「これはアウターローター(羽根)の部分が曲がっているのかな?」と思って、調整してもらおうとショップに持ち込んだのですが。
「これは振れているわけじゃないです。センターロックの台座部分の平行が出ていないので、土台が歪んでいる感じですね」とのこと。他のメーカーを色々使ってきましたが、そこの平行が出ていないローターは初めてです。センターロックだと致命的。
台座の平行を出すのはショップでは不可能なので、アウターローター部分を無理やり曲げて振れを取るしかないとのこと。「どうしますか?」と言われましたが、お願いすることにしました。
これでようやく、実用可能な状態になりました。新品なのにこんな調整が必要って一体……。
パッド


ブレーキパッドはBRAKCOのものを使用。重量は普通です。


全体の厚みが4.00mm、ベースプレートが1.70mm。パッド部分の厚みは2.30mmです。

厚みは他のブレーキパッドと同じくらいですね。

赤いキャリパーに青いパッド。
実走
ローターの振れ取りをして、ようやく乗れる状態になりました。

ブレーキを掛けてみましたが、柔らかいものを握っている感じ。スイスストップのローターのようなカッチリ感はありません。 レバーを握って自転車を前後に動かすと少しガタを感じますが、これがフローティングローターの特徴ということなのでしょう。
正直あまり好みの感触ではなく、制動力もそれなり。「音が鳴りにくい」という感想も見かけましたが、個人的にはそういった印象もなく。そもそも、かなり擦ってましたからね。
もちろん重量的には軽いのですが、実感できるほどではありません。ホイールの中心部に付くものですし。
まとめ
BRAKCO「FRC-20SA」のファーストインプレッションでした。
正直、このまま使わなくなりそうです。センターロックのローターで台座の平行が出ているのは基本中の基本。そこが出来ていないのは性能以前の問題です。たまたま不良個体が手元に来たのかもしれませんが、これほど傾いている個体は出荷前に弾いて欲しいですね。
厚みも最初からかなり薄く、使える期間も短そうです。私のような乗り方だと使いどころが難しい。
結構、性能には期待して購入したのですが、今回は残念な結果となりました。
著者情報
年齢: 41歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。