Reserve Wheels「34|37」ファーストインプレッション

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Reserve Wheelsのホイール「34|37」を購入しました。最新モデルではなく、一つ前のモデルになります。

目次

購入まで

まずは購入までの流れを書いていきます。

「謎のホイールブランド」

Reserveは2014年創業の新しいブランドながら、2023年には当時の世界最強チームとも言える「JUMBO VISMA」にホイールを供給。その年、JUMBOは3大グランツールの全てで総合優勝を独占する快挙を成し遂げました。

Santa Cruzという老舗のMTBブランドからの派生ブランドではあるものの、これだけの短期間でのサクセスストーリーは話題を呼びます。

サイスポでも試乗企画が行われ、軒並み高評価。

Reserveのホイールは、DT SWISSの一般的なハブ+ステンレススポークを24本・左右タンジェント組という至ってオーソドックスな構造です。にも関わらず、これだけの結果を出しているということは、リムの性能が良いということなのでしょう。

リム素材については詳しく明かされていませんが、「タービュレント・エアロ・テクノロジー」によって、「机上ではなく実世界で速い」リム形状を実現したようです。そのこだわりは、前後で別ハイトなだけではなく、内幅・外幅さえも前後で異なる点にも現れています。

セールに出会う

ある日、そんなReserveのホイールがセールになっているのを見かけました。

売っていたのは前世代のモデル。いわば型落ち品。現行の「TA」シリーズよりもリム形状は煮詰められていないようですが、JUMBO VISMAが3大ツール独占を成し遂げた時に使っていたモデルなので性能は十分でしょう。

Reserveのホイールにはローハイトの「34|37」、ミドルハイトの「40|44」、ディープリムの「52|63」があります。オールマイティなのは「40|44」ですが、内幅が25mmとかなり太いのが気になりました。タイヤの選択肢が減りますからね。内幅23mmで、横風の影響が最も少なそうな「34|37」が私の用途には適切であろう、という結論に至りました。

完組状態ながら、ハブはDTの370という最下級のもの。しかもSRAMフリーボディ。SHIMANO組の私の自転車にはつけることは出来ません。ただ、価格はかなり安い。20万を切っています。

……ならば、これを好きなハブとスポークで組み直したら良いのでは?

しばらく悩みましたが、とりあえずホイールは購入。その後、どんな構成で組み直すかを考えました。

組み直しパーツ構成

私は競技はやっていません。主な利用シーンはブルベ・ロングライド。ブルベでは雨の中を丸一日走行することも珍しくないので、防水性が極めて重要です。

選ばれたのは、Growtac「EQUALディスクハブ」でした。

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「ディスク用」「センターロック」「防水性が高い」という要件を兼ね備えたハブは現状なかなか無く、ほぼこれ一択だと私は思っています。価格無制限ならばWhite IndustriesとかONYXを選べばよいのですが、そこまでの予算もないので。

EQUALハブで組み直したアルテホイールはこれまで約2年間使用。ブルベで雨の中も走りましたが、先日ようやく初めてのグリスアップを行ったところです。使用実績から、性能十分なことは確認済みということになります。

スポークは、安心と信頼のSAPIM「CX-RAY」。ニップルは少し特殊なものがホイールに付いていたようなので、そのまま使用することに。

いつも通り、ホイール組はサイクルキューブさんにお願いしました。加えて、今回はホイールのガラスコーティングも依頼。マットコートのホイールって汚れが全然落ちないので、その対策をあらかじめやっておこうと考えたのでした。

Reserve Wheels「34|37」

Reserve「34|37」のファーストインプレッションです。主な用途はブルベ・ロングライド。まだ50km程度しか乗っていません。

付属品

説明書、スペーサー、チューブレスバルブ×2本。

チューブレスバルブは、Reserve謹製のFillmoreバルブではなく、オーソドックスなものです。

部品構成

前述の通り、今回は以下の部品構成でホイールを組み直しています。

部位製品名
リムReserve Wheels「34|37」
ハブGrowtac「EQUALディスクハブ(24H)」
スポークSAPIM「CX-RAY(Jベンド・ブラック)」
リムテープPanaracer「チューブレステープ(27mm)」

ニップルは、ホイールに付いていたものをそのまま使いました。

各部詳細

各部の詳細を見ていきます。正直、リム以外は「普通」の部品・組み方です。

リム面

見た目はごく普通のカーボンリムです。マットコートである他は、これと言った見た目の特徴がありません。デカールに赤が入っているのがちょっと嬉しい。

リムベッド

至ってオーソドックスなチューブレス対応リムベッド。フックも付いてます。久々の穴開きリムなので、チューブレステープを貼り付け。内幅23mmで、27mm幅のテープでちょうど良かった模様。

内幅は、前輪が22.8mm、後輪が21.9mm。エアロを意識すると前輪のリムが太くなるようです。個人的には内幅+5mm以上の太さのタイヤを使うことにしているので、これならばギリギリ28Cタイヤが使えます。

外幅は、前輪が30.5mm、後輪が28.9mm。やはりこちらも後輪のほうが太め。内幅19mm前提で設計された28Cタイヤをこのリムに付けると、前輪はタイヤとホイールがちょうど同じ幅になる計算です。

ハブ

EQUALハブのレッドカラーです。昔ながらの爪式フリーボディを採用し、「ケミカルラビリンスシール」なる仕組みで水や汚れがハブ内に入りにくくなっています。

また、しばらく前にマイナーチェンジを遂げており、フリーボディ内になんと4個もベアリングを搭載。通常は2個なので2倍です。一つあたりのベアリングに掛かる負荷を分散し、耐久性を高める狙いがあるとのこと。まさにブルベにぴったり。

スポーク

何の捻りもなく、SAPIM「CX-RAY」で組んでもらいました。高性能なスポークであることは言うまでもありませんが、我が家にあるホイールは大体このスポークなので、他との比較がしやすいかなと思いまして。

スポークパターン

前輪・後輪ともに、左右タンジェント組のオーソドックスな組み方です。最近は「カーボンスポークで2:1」みたいなホイールばかりを試していたので逆に新鮮。

重量

「34|37(DT240ハブ)」の完組公称重量は1354gです。

今回のパーツ構成では、前輪623g+後輪734g=1357gでした。リムテープを貼り付けた状態で+20gの1377g。十分に軽く仕上がりました。

なお、リム単体重量は、前輪372g/後輪381gでした。

ハブ重量は、前輪127g/後輪231gでした。

1357g-1111g=246g。前後合計48本分のスポーク&ニップルで246gなので、1本あたり約5.0g(ニップル込)ということになります。大体公称通り。

組み合わせるパーツ

タイヤはPanaracer「AGILEST FAST 28C」、チューブはGuee「Aerolite」。SHAMAL CARBONについていたものを移植しました。

ディスクローターは、RT-CL900。ロックリングは、Wolf Toothの内セレーションタイプ・レッドカラーを奢りました。高かったですが、赤成分を増やしたかったのです。

実走の感想

さて、ようやく実走での性能の話に入っていきます。

横風耐性

ブルベでは風の強い海岸線や、ビル風が吹く街中を走ることもしばしば。不意のタイミングで前輪が煽られてもバランスを崩さないことが重要です。

吹きさらしで風の強い練習コースを走ってきましたが、風にハンドルが取られることもなく走りやすいです。一番ハイトが低いモデルを選んだので狙い通りではありますが、リムの外幅が広い形状も安定感に効いているはず。

加速性能

ゼロ加速が非常に鋭く、巡航スピードに達するまでにストレスがありません。リムの軽さと、剛性の高さが効いている気がします。

ある程度のスピードからの加速も鋭く、さすがJUMBOが採用するホイールだけのことはあります。

巡航性能

リム重量が軽いので、ペダリングをしている限りは楽にスピードを保つことが出来ます。スカっとトルクが抜けてしまうような感覚もなく、足に手応えを感じながら巡航できて気持ちが良い。

足を止めた際の失速感は普通。いつまでも回り続けるような感触があるSHAMAL CARBONとは異なりますが、あれはリム重量がかなり重いことも影響しているのでしょう。

ちょっと驚いたのが、向かい風の時。このリムハイトでありながら、ある程度のスピードを保つのが楽。自慢の空力性能を追求した形状が効いているのだと思われます。ハイトが高ければ更に向かい風に逆らって走れるのでしょうが、そこは横風耐性を追求した結果なので後悔はありません。

登坂性能

まだ本格的なヒルクライムを走ったわけではなく、近所の坂を少し走った段階での感想となります。

踏み味はオーソドックスですが、ステンレススポークらしい粘りのある踏み味でテンポ良く登っていける印象を受けました。リムが軽いので軽快感もあり、ダンシングでの左右の振りも軽い。

元々34|37はJUMBOの山岳ステージ用のホイールとして作られたようですが、頷ける性能です。

乗り心地

力をかけた時には「剛性が高いリムだ」という感触があるのですが、乗り心地も良いです。

タイヤもチューブもSHAMAL CARBONからの移植品で空気圧も同じなのですが、同等の乗り心地に感じます。カンパのリムは「リムそのもので振動や衝撃を和らげている」印象がありますが、Reserveのリムにも同じような印象を持ちました。

カーボン繊維や樹脂について特別な素材を使っているような情報は見つかりませんでしたが、何か秘伝のレシピがあるのかもしれません。

まとめ

Reserve Wheels「34|37」のファーストインプレッションでした。

正直、予想よりもかなり良かったです。

漕ぎ出しは軽く、横風にも強く、乗り心地も良い。ストップアンドゴーが多く、アップダウンの多いコースを長時間走行するブルベにはうってつけの性能です。これこそ本当の「ロングライド向けホイール」ではないかなと。

「一般的なハブ」と「一般的なステンレススポーク」を「一般的なスポークパターン」で組んで、この性能が出るのは驚きでした。そりゃ各メディアがべた褒めしますね。

「JUMBO VISMAが採用して3大ツールを独占!」という話はセンセーショナルですが、プロチームがパーツを採用する理由は性能だけではありません。多分に政治的な話も絡んできます。「Reserveの場合はどうなのか?」という疑念を持ちながらの購入ではありましたが……良いものでした。これは性能で選ばれている気がします。

早速ブルベで試したいところですが、今週末の400kmブルベは序盤が雨予報なので使用しない予定です。ピカピカのホイールをすぐに汚したくないので。それでも近い内にReserveホイールをブルベに投入しようと思っています。


ステンレススポークで一般的な組み方をした状態でも素晴らしい性能のReserveですが、次の矢も準備中であるようです。流行りのカーボンスポーク。今年のツール・ド・フランスで使われていました。

こちらも今後どうなるか注目です。

著者情報

年齢: 41歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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