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SCHWALBE「AIRMAX PRO(クリックバルブ対応版)」購入
待望のクリックバルブ対応の純正空気圧計「AIRMAX PRO」がSCHWALBEより発売となりました。早速入手したのですが……正直、出来が良くなかったです。
購入まで
まずは購入までの流れを書いていきます。
なかなか出ないクリックバルブ用空気圧計
昨年、クリックバルブを使い始めましたが、思いのほか便利でした。

結局、手持ちのロードバイク3台は全てクリックバルブ化。フロアポンプの口金もクリックバルブに変えてしまいました。それくらい、日々の空気入れが便利になります。
ただ、一つだけ不満がありました。それは、「専用の空気圧計がない」ということです。Panaracerのデジタル空気圧計の仏式側を使えば一応計測は出来るんですが、脱着がとにかく硬い。かなり思い切って押し込まないといけないこともあり、結構ストレスを感じていたのです。

一応、世界的に見れば3社(Clik / SCHWALBE / SKS)がクリックバルブ用の空気圧計を販売しています。ただ、2026年2月段階では、日本で販売されている製品は一つもありませんでした。
仕方ないのでアダプタを自作
待てど暮らせど「クリックバルブ用の空気圧計」が発売されないので、業を煮やして以下の対策を取りました。

既存の空気圧計と、クリックバルブの口金を接続するためのアダプタを3Dプリンタで出力するという作戦です。

少々不格好ではあるのですが、こんな感じで完成。灰色のパーツが3Dプリンタで出力したアダプタです。

ちゃんと使えました。
SKS / SCHWALBEの空気圧計が発売
3Dプリンタでのアダプタ出力から約半月後。大阪で開催された「サイクルモードライド」にて、以下の情報がありました。
クリックバルブ専用デジタルエアゲージ、サイクルモード会場で買えます#シュワルベ pic.twitter.com/Q9ZsVMj039
— 砂糖と塩 (@raleighpropel) March 7, 2026
なんと、会場でSKSとSCHWALBEのクリックバルブ用空気圧計が売られていたというのです。代理店としては、サイクルモードライドをお披露目の場としたかったのでしょう。関東にいる私は指をくわえてみているしかありませんでした……が。
サイクルモードライドの日から通販での販売も解禁されたようで、楽天から注文出来ることに気づきました。SKSのほうは見つからなかったので、とりあえずSCHWALBE版を注文。3Dプリンタでアダプタを作ったのもSCHWALBEの旧バージョンの空気圧計なので、比較も出来ればと考えました。
SCHWALBE「AIRMAX PRO(クリックバルブ対応版)」

SCHWALBE「AIRMAX PRO(クリックバルブ対応版)」のファーストインプレッションです。
比較対象は、3Dプリンタでアダプタを作った、旧「AIRMAX PRO」です。
パッケージ内容

パッケージには大きく「クリックバルブ対応」の文字。


側面と裏面には説明が書かれています。

中身は、本体・説明書・口金2種。

口金は、左が仏式バルブ用、右がクリックバルブ用です。口金なしだと米式バルブに対応します。
クリックバルブ口金
さて、今回は「クリックバルブの空気圧を測る」ことが主目的です。この空気圧計は、米式・仏式の計測にも対応していますが、それはPanaracerの空気圧計に任せられるので一旦置いておきます。

さて、これがクリックバルブ用の口金です。SCHWALBE AIRMAX PROの空気圧を測る部分のネジ径はちょっと特殊で、一般的なアダプタとは異なっています。

で、現物を見ていて驚いたんですが……ただの筒だコレ。

こちらの記事で書いたのですが、本来のクリックバルブの口金は内部に鋼球が4つ内蔵されています。


この鋼球がクリックバルブ先端の窪みにフィットすることで、あの「カチッ」というクリック感が生まれています。
さて、今回のSCHWALBEのクリックバルブ用口金は「ただの筒」です。これではクリック感は生まれませんし、バルブをロックすることも出来ません。果たして、これでまともに使えるのか……?
計測テスト
実際にクリックバルブの空気圧を計測してみます。

予想通り、クリック感はありません。そして何より困るのが空気圧を計測完了する直前にチューブ内の空気が必ず漏れることです。1回計測するごとに、空気圧が0.05~0.10bar落ちます。

ただの筒である口金を外して、内部がどのようになっているかを見てみます。空気圧計の計測部分には白い突起が出ていてクリックバルブ側のピンを押す仕組みになっています。白い突起の周りにはゴムパッキンがあり、クリックバルブ先端のフチの部分が押し付けられることで気密されるわけです。

しかし、クリックバルブのピンはフチよりも少しだけ上に出ています。つまり、白い突起がピンを押してから、フチとパッキンが触れて気密されるまでに「一瞬の空気漏れタイム」が存在するわけですね。ここで空気圧が落ちてしまうわけです。また、空気圧計を外す際にも「一瞬の空気漏れタイム」が存在します。
では、本家クリックバルブの口金はどうやって気密をしているのか?


口金中央に金属の中空の筒が見えていると思いますが、これがクリックバルブのバルブコア内に入り込みます。ピンを避けるために中空になっています。そして、右の画像の黄色い矢印で指した部分にパッキンが入っていて、ここに筒の先端が届いた瞬間に気密されます。筒がパッキンを通過するとピンが押し下げられてエアルートが開き、鋼球が先端の窪みにハマってロックされる。クリック感が生じる一瞬の間に、「気密の確保」「エアルートのオープン」「バルブのロック」という3つの作業が行われているのがクリックバルブの凄いところなのです。
しかし、SCHWALBEの空気圧計の口金はと言えば、「気密の確保」をする前に「エアルートがオープン」してます。そしてロックされないので、手を離すと空気圧計が飛んでいきます。クリックバルブの良い所が全く活かされていません。
詳しい構造を何も知らないサードパーティーや中華ブランドの空気圧計なら「仕方ないか」と思うところですが、クリックバルブ陣営の旗振り役たるSCHWALBEが、このような完成度の低い空気圧計の販売にGOを出したとは非常に残念ですね。

実は先日、BBB「Core Cap」に対しても同じような指摘をしました。あちらの製品も、気密を確保する前にエアルートが開いてしまうのです。「気密の確保」→「エアルートがオープン」というのは基本中の基本だと思うのですが、BBBにSCHWALBEという有名メーカーであってもそれが出来ていないのが残念です。
まとめ
SCHWALBEのクリックバルブ用空気圧計のファーストインプレッションでした。
正直、酷いです。構造を良く知るメーカーの純正品とは思えないお粗末な出来でした。「計測するたびに空気圧が0.1気圧落ちる空気圧計」は流石に駄目でしょう。それが起きないのがクリックバルブシステムの美点のはずなのですが。

これであれば、3Dプリンタでアダプタを出力した自作のクリックバルブ用空気圧計の方が全然出来が良かったです。(見た目は不格好ですが)純正のクリックバルブ口金を採用しているので、しっかり気密を確保した後にエアルートがオープンします。これにより、空気がほとんど漏れること無く空気圧を測定可能。2回空気圧を測定して、0.01bar落ちるか落ちないかですから、今回のSCHWALBEに比べて10~20倍空気漏れが少ないことになります。
この3Dプリンタで作ったようなアダプタだけを出して口金部分はクリックバルブの純正品を使えばよかったんじゃないかと思いますが……なんでそうしなかったんでしょうね。

個人的には、純正のクリックバルブ口金をそのまま採用している、クリック社の空気圧計が上陸するのを待ったほうが良いと思います。
SCHWALBEには、改良版の口金を作ってもらい、それを単体販売してほしいですね。今のままだとあまりにも酷いと思います。
著者情報
年齢: 41歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。
