COOSPO「AP-X1」ファーストインプレッション

この記事は約 11分で読めます。

COOSPOから新発売となった電動ポンプ「AP-X1」のファーストインプレッションです。

昨今、標準装備となった「空気圧指定機能」はもちろん備えており、「動的バランス技術」による低振動・低発熱を特徴としています。

本記事でレビューする製品は、COOSPOからレビュー用に提供頂いたものです。

目次

まえがき

まずはレビュー依頼を頂いた経緯について書きます。

メールでレビュー依頼をいただく

7月初旬、COOSPOの日本担当者からメールで「新製品の電動ポンプをテストして欲しい」とのレビュー依頼を頂きました。

実のところ、COOSPOからの依頼は今回で4-5回目。これまでサイクルコンピューターやハートレートセンサーのレビュー依頼を頂いたこともあったのですが、製品に新規性を感じなかったので依頼はお断りしていました。

しかし、今回依頼を頂いた「X1」のスペックを見てみると、「おっ」と思う点がいくつかありました。

「X1」で気になったポイント

1つ目に気になったのは見た目。どこの電動ポンプにも似ていない

先日、国内販売の電動ポンプ一覧という記事を書きました。改めて思いましたが、「似ているものが多い」のです。というか、ガワだけで言えば全く同じものも多い。COOSPOの1作目の電動ポンプである「AP-B1」についても、恐らく工場はELXEED-BL01と同じだと思います。多分、この手の200g未満の電動ポンプを作っている工場って世界でも片手で足りてしまうんじゃないでしょうか。

その点、X1は「筐体の形」「液晶のフォント」「ボタンの配置」「放熱用の穴の空き具合」など、少なくとも私がこれまでに見たことがないもの。「これは新機軸が組み込まれている」と感じさせるには十分な見た目を持っていました。

2つ目に気になったのは、「動的バランス技術」という部分。製品ページから具体的なことは良く分かりませんでしたが、以下のような記述がありました。

動的バランス技術を搭載

空気充填時の振動・発熱・騒音・エネルギーロスを最小限に抑え、充填スピードとバッテリー寿命の工場を実現します。

より安全に、効率的な放熱を実現

シリコンカバーはもう不要。触れても熱くならない安心設計。

目を引いたのは「発熱を抑える」という点。

電動ポンプは発熱が大きいアイテムであり、製品によっては表面温度が100℃を超えます。素手で触れば火傷の恐れがありますし、熱風によってTPUチューブが破損することも。その対策として大半の電動ポンプには熱伝導性の低いシリコンカバーが付属し、熱風の温度を少しでも下げるための延長ホースが付属します。

X1は従来とは違い、「本体の発熱を抑える」というアプローチを取ってきました。「シリコンカバーは不要」と言い切るこの自信。私の記憶ではこうしたアピールをしている電動ポンプは他にありません。一体どんな方法で本体の発熱を抑えているのかは定かではありませんが、興味を惹かれたのは確かです。

なお、熱はリチウムイオンバッテリーの劣化を早めます。熱の発生部位とバッテリーの間には距離がありますが、発熱が少ないほどバッテリーの寿命も長くなるはずです。

レビューを受諾することに

上記の2点に新規性を感じたので、「X1」のレビューを受諾することにしました。

受諾の連絡から1週間ほど、製造元である中国から宅配便が届きました。発送元は深圳。調べてみると、COOSPOは深圳の会社のようですね(自転車系ガジェットメーカーはこの辺りの企業が多い)。

当サイトでは単なる宣伝依頼はお受けしていません。ユーザー目線の本音の情報を書きたいと思っているからです。このため、短所も含めて正直なレビューを書いて良いことを承諾頂けない場合は、レビュー依頼はお断りすることにしています。

その旨をCOOSPO側に伝えた所、「そちらの条件で問題ございません」とのご回答を頂きましたので、いつも通り長所・短所どちらも合わせて書いていきます。

COOSPO「AP-X1」

7月10日受領し、そこから1週間ほど色々なテストを実施しました。ライドへの持ち出しはまだですが、現段階でのファーストインプレッションを書いていきます。

比較対象は、同程度の重量であるCYCPLUS「AS2 PRO」日邦電機「ELXEED-BL01」です。

スペックの比較

ライバルとなる製品とスペックを比較してみます。

スクロールできます
COOSPO AP-X1AS2 PROELXEED-BL01
発売時期2025/72024/32024/10
重量128g
(実測: 127g)
120g
(実測: 119g)
108g
(実測: 118g)
大きさ縦: 72.6mm
横: 53.8mm
厚: 30.3mm
縦: 70.0mm
横: 49.0mm
厚: 28.0mm
縦: 71.5mm
横: 45.0mm
厚: 32.0mm
空気圧指定
空気圧単位BAR/PSIBAR/PSIBAR/PSI
最大気圧120PSI
(8.3bar)
120PSI
(8.3bar)
120PSI
(8.3bar)
バッテリー
容量
3.70Wh
500mAh/7.4V
3.11Wh
420mAh/7.4V
3.70Wh
500mAh/7.4V
充填速度
(700x25C)
80PSI / 50秒80PSI / 50秒80PSI / 50秒
充填回数
(700x25C)
80PSI
3-4回
80PSI
4-5回
80PSI
3回
延長ホース付属付属付属
シリコン
カバー
なし付属なし
充電時間40分30分60分
充電端子Type-CType-CType-C
定価10999円15950円11900円

スペック的には、国内で展開している大手ブランドの製品と遜色がありません。少し重めですが、バッテリー容量は多めです。

空気圧の表示単位がPSIのみなのは少し残念。BARにも対応して欲しかったところです。

2025年8月25日出荷分より、BARとPSIの切り替えに対応したとのことです。

パッケージ

箱裏面はスペック表示。Amazonの公称重量は120gでしたが、箱に書いてあるのは128g。後者のほうが正しそうです。サイズ表記も、Amazonと箱裏面では違っていますね。

ちょっと面白いのが「Auto Calibration」という表記。どうやら、標高が高い(外気圧が低い)場所でも、内蔵の気圧計を自動的に校正する機能を搭載しているんだそうで。確かに外気圧が変われば気圧計は狂いそうなので、そういった機構は必要に思えます。他社でこの手の話をアピールしているのを見た覚えはないですが、暗黙的に内蔵されてたりするんですかね? 標高2000mの場所でのパンク修理もありえないことではないので、そこを考慮されているのは有り難い。

箱の上面には「ALL ABOUT PASSION」というフレーズが。公式サイトにもある言葉なので、社是かもしれません。

パッケージの中身は以下。

  • 説明書(6ヵ国語)
  • 本体
  • Type-Cケーブル
  • 延長ホース
  • 延長ホース用仏式アダプタ
  • ボール用ノズル

シンプルです。防水バッグやシリコンカバーは付属しません。CYCPLUSだと予備パッキンが付属しますが、COOSPOの場合はどうなのか気になる所。そもそも口金が接着されているようで外せないため、パッキンの交換は想定していないのかもしれません。

中華系の電動ポンプのマニュアルは日本語が理解できないレベルのものも多いのですが、このマニュアルの日本語はしっかりしていますね。日本人が監修しているのかもしれません。

各部詳細

3方向から撮影。モーター部がシースルーになっているのが面白い。動作時にはモーターの回転が見えます。特に意味はないと思いますが、見ていてちょっと楽しい。

ボタンの配置は、◯(電源)ボタンの上下に+ボタンと-ボタン。普通は「◯+-」のように並ぶことが多いので、珍しい配置です。

上下面。上面は空気を送り出すピストンがある部分で一番熱くなるためか、放熱用の穴が。下面にはスペック表示と充電端子。スペック表示にワット総量(Wh)が書かれているのは良いですね。空港での手荷物検査ではWhの値を見られるので。これが書いてないと飛行機への持ち込みが面倒なのです。

重量

公称128gで、実測127g。ほぼ公称通り。このバッテリー容量ならボリュームゾーンの重量です。

延長ホース+米仏変換アダプタを付属すると、143g。AS2 PROはシリコンカバー+延長ホースで162gなので、シリコンカバーが付かない分だけ軽いことになります。

大きさ

左がX1、右がAS2 PROです。COOSPOの方が横幅が大きめ。縦幅と厚みは良い勝負。AS2 PROにシリコンカバーを付ければ大体同じくらいの大きさになります。

ツールケースにも入りました。

空気充填

空気の充填機能を見ていきます。

使用方法

使用方法ですが、一般的な空気圧指定機能付きの電動ポンプと同じです。

  1. ◯ボタンを長押しして電源を入れる。
  2. +ボタンと-ボタンで目標気圧を設定する(最大120PSIまで)。
  3. ◯ボタンを短く押すと充填開始。
  4. 目標気圧に達すると、電源が自動的に切れる。

充填中はリアルタイムの空気圧が液晶部分に表示されます。設定した空気圧で自動的に動作が停止するので便利。

空気圧表示はPSIのみ。バッテリー残量のインジケーター目盛りは4つです。

こちらの口金は仏式専用で、取り外すことは出来ません。米式バルブに使用する場合は、付属の延長ホースを使う必要があります。

充填速度

内幅17mmのリムに取り付けた25Cタイヤに対し、0PSIの状態から88PSI(6気圧)まで上げるのにどれだけ時間が掛るかを計測しました。

AS2 PRO67秒
ELXEED-BL0191秒
AP-X180秒

公称スペックでは「80PSIまで50秒」とのことでしたが、実際にはもう少し掛かっています。ただ、ライバルよりも極端に遅いということはありませんでした。ちなみに、AS2 Ultraは86秒だったので、それよりはX1の方が早いことになります。バッテリーも筐体も大きいのでパワーで勝つのは当然ですが。

50cm離れた場所の騒音をセンサーで測定。時間変化をグラフにしました。

また、このグラフのデータから、騒音の平均値と最大値を出した表が以下です。

製品名平均[dB]最大[dB]
AS2 PRO77.880
ELXEED-BL0182.485
AP-X182.887

3つの中では、X1がもっとも音量が大きいという結果になりました。

「動的バランス技術による静音設計」を謳っていたはずですが、静音については達成できているとは言えません。今後の改良を願いたいところです。

動画も撮影してみました。音量注意

冒頭数秒を注意して聞いてみてください。「ドレミファソラシド……」といった感じで、音が段階的に変わっていることが分かります。これはつまりモーターの回転数が変わっているということ。0PSIからの充填だと15段階くらいで上がっていきますが、タイヤ内に高圧を入れた状態から始めると10段階くらいに減ります。

どうも、現在のタイヤ内の空気圧に応じてモーターの回転数が変わる制御が入ってるっぽいんですよね。恐らくこれがCOOSPOの言う「動的バランス技術」というものなのでしょう。

他社の電動ポンプも空気圧に応じて2-3段階くらいで音が変わることはあるのですが、こんなに細かい段階で制御しているのはCOOSPOくらいじゃないでしょうか。面白い機構です。

以前購入した非接触タイプの温度計で、充填後の表面温度を測定しました。これまでと同様に25Cタイヤに88PSIまで入れています。

結果は以下のようになりました。

前面側面
(ホース根本)
上面下面
1回目充填後45℃46℃49℃34℃
2回目充填後59℃57℃62℃40℃

1回目の充填後は一番熱い上面でも49℃とそこまで高くありません。バッテリーが位置する下面は34℃とほぼ室温。2回目の充填後は少し熱くなりますが、素手で持っても「ちょっと熱いな」と感じる程度です。

ライバル機種とも比較してみます。

充填回数AP-X1ELXEED-BL01AS2 PRO
1回目本体:45℃
ホース:46℃
本体:50℃
ホース:83℃
本体:48℃
ホース:49℃
2回目本体:59℃
ホース:57℃
本体:76℃
ホース:101℃
本体:60℃
ホース:63℃
充填完了時の表面温度

こうして比べてみると、「熱を持ちにくい」設計なのは確かなようです。私が使った中で一番熱を発さなかったのがAS2 PROでしたが、それとほぼ同等の値になっていました。

更に高圧で動作させるなどした場合には素手で持つのは厳しいかもしれませんが、88PSI×2回の充填までなら確かに「シリコンカバー不要」だと思います。

使用回数

前述の条件と同じく、25Cタイヤに88PSI(6気圧)まで入れるテストを複数回実施しました。

結果としては、「3回は88PSIまで充填できた」「4回目は、液晶画面は表示されるが、空気の充填は始まらない」となりました。どうやら、バッテリーの残りが少ないと空気の充填を始めてくれないようです。1充電で3回使えれば十分ではありますが。

なお、インジケーターの目盛りは当てになりません。増えたり減ったりします。

気圧計の正確性

88PSIまで入れてエアゲージで計測した所、87.4PSIでした。なかなか内蔵の気圧計は正確そうです。

バッテリー充填速度

X1の公称充電時間は40分です。

充電開始から1690秒=28分で満充電となりました。公称より少し早めの完了。1.7-1.9Aと、多めの電流が流れていました。

なお、本体が熱を持った状態でケーブルをつなぐと「H」と表示されました。恐らく高温の場合、バッテリー保護のために充電されないような制御が入っているのでしょう。ただ、「3回連続してパンクした後、4回目に使用する前に充電しておきたい」というケースですぐに充電出来ないということにもなりますね。

少し冷やした後にケーブルをつなぐと充電できました。

価格

定価は10999円です。本記事執筆時点では3000円オフのクーポンが出ていますが、7/20が期限のようでした。

性能は申し分なく、新しい機構が入ってこの値段なら中々安く感じます。

まとめ

COOSPO「AP-X1」のファーストインプレッションでした。

思いのほか良く出来た電動ポンプでした。自慢の「動的バランス技術」が功を奏しているように見えます。

特に発熱への配慮は他ブランドよりも徹底されており、バッテリー保護にも気が向いているようです。空気の充填能力もライバルに遅れを取ってはいません。一方、騒音については他社よりも大きいので改善を願いたい所でした。

電動ポンプは「長期間ツール缶の中に入っていて、忘れた頃に出番が来る」もの。少し期間を置いてから使ってみて、それでもちゃんと使えるか等をチェックしたいと思っています。

数カ月後に本格レビューをアップする予定です。

著者情報

年齢: 40歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。

記事のシェアはこちらから
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

目次