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【レビュー】CATEYE「VOLT400 NEO (HL-EL465RC)」
評価:3.5
CATEYEのフロントライト。VOLT800 NEOよりも1ヶ月ほど早く発売されました。
購入動機
購入動機については、ファーストインプレッション記事に詳しく書きました。

当初はVOLT800 NEOのみを購入してVOLT400 NEOは購入しないつもりでした。
……が、VOLT400 NEOのほうが発売が1ヶ月早く、なおかつ配光等の仕様はVOLT800 NEOと共通部分が多いということで、好奇心を抑えられずに買ってしまいました。
その後、VOLT800 NEOも2本購入。見事にCATEYEの戦略に乗せられました。
製品概要
実測重量は145g(本体のみ)。防水等級はIPX4。
付属するカートリッジバッテリーは、旧VOLT400に付いてきたものと同じBA-2.2。容量は3.6V/2200mAh。別売りのBA-4.8(VOLT800 NEOに付属する大容量バッテリー)にも対応します。
モードとランタイムは以下の通り。
モード | 明るさ | 点灯時間 |
点灯(ハイ) | 400ルーメン | 3時間00分 |
点灯(ミドル) | 100ルーメン | 8時間00分 |
点灯(ロー) | 50ルーメン | 18時間00分 |
ハイパーコンスタント | 400ルーメン | 11時間00分 |
点滅 | 0-400ルーメン | 60時間00分 |
充電端子はType-C。2Aでの充電には対応していませんが、従来のVOLTシリーズにおける高速充電モードである1Aでの充電に対応しています。
付属品は以下の通り。
- フレックスタイトブラケット(5338827N)
- Type-Cケーブル
なお、付属するType-Cケーブルは特殊なもので、VOLTシリーズの充電以外には使えないことがあるので注意が必要です。
使用感
ブルベでは一度のみ使用。主に普段の夜練で使用しています。
比較対象は、同時期発売で兄貴分の「VOLT800 NEO」、前世代の「VOLT400」です。
パッケージ
いつものCATEYEパッケージです。
「対向への眩しさ軽減」「ハンドル下でもインジケーター確認可」が強調されています。
裏面。アピールポイントが並んでいます。
中身は、ライト・フレックスタイトブラケット・Type-Cケーブル。
構造
VOLT800 NEOと同じく3ピース構造です。
上下反転ギミックなどの説明はVOLT800 NEOのレビューをご参照下さい。
各部詳細
各部の詳細を見ていきます。
バッテリー部分と中の回路を除いて、VOLT800 NEOとほぼ同じです(製品名ロゴのみ違う)。
充電端子
前作VOLT400はmicroUSB端子でしたが、NEOはType-C端子を搭載。
充電端子のフタは「CATEYE Voltシリーズの充電端子のフタの話」の記事でも書いた、防水透湿シート入のもの。
前世代では上位機種のVOLT800・700はこのシート入りで、下位機種のVOLT400・300にはシートが入っていませんでした。NEOはこの部分では800と400の差別化を行っていません。
レンズ
レンズ形状はVOLT800 NEOと同じ。横方向にワイドな配光を実現するために縦スリット入り。
レンズ下方向に切り欠きが設けられています。これで足元を照らす意図だそうです。
前世代のVOLTでここに切り欠きを設けると、ハンドルから吊り下げた際に目潰しとなってしまいました。しかし、上下反転ギミックを設けたことによってレンズの上下方向が常に一定となるため、切り欠きを設けたそうです。
スイッチ
スイッチは従来より大きくなり、冬用グローブでも押しやすくなりました。クリック感も良好。
このスイッチはバッテリー残量のインジケーターも兼ねています。
VOLT800 NEOは3色(グリーン・オレンジ・レッド)の変化でしたが、VOLT400 NEOは2色(ホワイト・レッド)の変化です。
残量20%以上 | ホワイト |
残量20%未満 | レッド |
正確にはホワイトと言うよりは、ライトの光をスイッチ側に漏らしている感じがあります。
左はVOLT800、右がVOLT400 NEOです。VOLT800は点灯中にスイッチは暗いままでしたが、VOLT400 NEOはうっすらとスイッチが光るようになっています。
なお、充電中もインジケーターが点灯します。
充電完了 | 消灯 |
充電中 | レッド |
VOLT800 NEOは充電中もバッテリー残量が分かるようになっていますが、VOLT400 NEOは「充電しているか、していないか」のみしか分かりません。
重量
本体のみで145g。
なお、バッテリーのBA-2.2単体で73g。旧VOLT400に付いていたBA-2.2は69gで、4g重くなりました。容量が増えてたりしてたら嬉しいんですが。旧VOLT400では入っていた猫ロゴが入らなくなっています。
大きさ
前作VOLT400の全長は111.3mm、VOLT400 NEOの全長は121mm。9.7mmほど長くなっています。
大きさを写真で比べてみます。
ブラケットの保持位置を合わせて撮影しました。ハンドルの前側に12mmほど伸びていますが、後側はむしろ2mmほど縮んでいます。ハンドルから吊り下げた時に使用しても膝が当たりにくくなりました。
点灯モード
公称の明るさ/ランタイムは前作のVOLT400と変わっていません。バッテリーが同じですからね。
カンデラ値も、Highモードで3500カンデラというのは変わらず。
VOLT400 | VOLT400 NEO | |
High | 400lm / 3時間00分 | 400lm / 3時間00分 |
Mid | 100lm / 8時間00分 | 100lm / 8時間00分 |
Low | 50lm / 18時間00分 | 50lm / 18時間00分 |
操作方法
スイッチ長押しで点灯、以後はシングルクリックでモードが切り替わるCATEYEのいつものサイクルです。
どのモードからでもスイッチをダブルクリックでハイモードに入ります。その状態でシングルクリックすると、ハイモードにする前のモードに戻ります。
配光
VOLT400 NEOは、光を縦方向に潰したような光の形状になるように設計されています。
光の形状
こちら、左がVOLT800で、右がVOLT400 NEO。NEOは光が横長になっていることが分かります。
レンズ形状はVOLT800 NEOと全く同じで、ここで光を加工して横長の楕円形に整形しています。上方向に漏れる光を軽減し、対向への幻惑を減らすことが狙い。
主観での配光
いつもの場所で撮影してきたVOLT800 NEOの主観照射図を↓に示します(< > ボタンでモード切替可能)。
比較対象として、VOLT400の主観照射図も示します(< > ボタンでモード切替可能)。
ハイモード同士で比較すると分かるのですが、かなり配光パターンが変わりました。
VOLT400は「5mまではかなりワイドに照らすが、それより先はスポット配光」であったのに対し、VOLT400 NEOは「10m先まで徐々に光の幅が広がる」ような配光になっています。

VOLT400はVOLTシリーズでは唯一「円形ではない」独特の配光をしていましたが、その個性は受け継がれていません。
実はVOLT400は、その他のモデルとレンズの構造自体が異なっていました。VOLT400は反射鏡とレンズを使った「反射鏡タイプ」、その他のVOLTシリーズはレンズのみで光を整形する「ブロックレンズタイプ」です。
VOLT400 NEOのレンズはVOLT800 NEOと恐らく共通化されており、作り分けは行っていないということなのでしょう。
配光の狙いなどの詳しい説明はVOLT800 NEOのレビューと共通なので省略します。
点灯時間・照度変化
いつも通り、照度計を使って明るさの時間変化を計測しました。
BA-2.2
まずは付属するBA-2.2バッテリーでテスト。
Lowモード(50ルーメン)は暗すぎるので、100ルーメンのMidモードをテストしました。公称点灯時間は8時間です。
11時間52分で消灯しました。グラフを見ても分かる通り、徐々に暗くなるダラ落ちタイプでした。

3850円のAMPP300が一定光量だったので、もしかしたら400NEOも……と期待していましたが、そうはならず。VOLT800 NEOは一定光量なので、値段なりの差別化ということでしょう。
ただ、公称8時間の所、11時間52分も点灯したのはなかなか凄い。あまり暗いところを走らないのであれば、ランタイムの長さを魅力と感じる人も多いと思います。
次に、Highモード(400ルーメン)でもテストしました。
こちらもダラ落ちでしたが、公称3時間のところ、実測3時間27分の点灯でした。
BA-4.8
せっかく取付可能なので、VOLT800 NEOに付属の大容量バッテリー・BA-4.8を繋いでテストしてみます。
バッテリー容量が2200mAh→4800mAhになるので、点灯時間はおよそ倍になることが予想されます。
Midモードだと20時間を超えてしまうことが予想される(計測が大変)ので、今回はHighモードのみ測定を行いました。
7時間08分点灯しました。BA-2.2では約3時間半だったので、2倍ですね。
この事から、仮にBA-4.8でMidモードを点灯した場合、およそ24時間は点灯し続けることが出来そうです。
暗くなることを気にしなければ、およそ2回のオーバーナイトライドが可能になります。100ルーメンでオーバーナイトはよほど夜目が効かないと厳しいですが。
BA-3.4
私はテストしませんでしたが、digital bike partsさんがBA-3.4を取り付けてのテストを実施しています。

こちらの記事によると、Highモードで5時間02分点灯したようです。
BA-2.2とBA-3.4ではバッテリー容量が1.5倍になるはずなので、約3時間半が5時間になるのは納得できる変化です。
光の色
VOLT400 NEOとVOLT800 NEOでは若干光の色が違います。
カメラでは色味が分かりにくいんですが、VOLT400 NEOのほうが若干「白みがかった黄色」という印象。
光の色としてはVOLT800 NEOよりもVOLT400 NEOのほうが私は好きです。
充電性能
VOLT400 NEOは、1Aでの充電に対応しています。VOLT800 NEOは2Aだったので、差別化されています。
付属のBA-2.2バッテリーを充電した場合、実測3時間21分で満充電となりました。公称3時間半なので、ほぼその通りという結果に。
防水性能
当サイト恒例の「水攻め」も実施しました。
1分程度のシャワーでは特に問題なし。各部のパッキンも確認しましたが、水の侵入は許していませんでした。公称の防水性能はIPX4となっていますが、雨天走行には十分なスペックを持っていそうです。
上下反転ギミックを搭載したことにより、充電端子が常に下方向を向くようになり、その意味でも防水性能が上がっていると思います。
価格
税込9900円です。VOLT800 NEOが18700円なので、約半額ということになります。
バッテリー容量は寂しいものの、VOLT800 NEOで採用されたType-Cや上下反転ギミックに対応してのこの値段は中々頑張っていると思います。
CATEYEから限定モデルとしてVOLT 400 NEO Special Edition
本体はVOLT400、バッテリーがVOLT800などに搭載される容量の多いバッテリーを装備!
明るさは400ルーメンで十分、でもバッテリーは長持ちしてほしい!そんなあなたに、うってつけ。 pic.twitter.com/LjFWMX50SR— サイクルショップカンザキ 伊丹店 (@ITAMIKANZAKI) September 14, 2023
なお、今後限定モデルとして、BA-2.2ではなくBA-4.8が搭載された「VOLT400 NEO Special Edition」が販売されるとか。価格は税込12100円と、2000円アップです。
入手性
こちらもVOLT800 NEOと同じく実店舗販売限定です。
まとめ
端的に言えば「VOLT800 NEOの弟分」です。
- バッテリー容量が小さい
- 充電速度が抑えられている(2A→1A)
- 明るさが一定ではなく、時間とともに暗くなる
といった差があります。
位置付け的に、「VOLT400の後継機」というより「VOLT800 NEOの機能制限版」という印象です。
私のメインの利用シーンであるブルベでは、明るさが一定のライトを使います。よって、VOLT400 NEOを使う機会があまりありません。もっぱら普段の夜練(街灯の多い道を走る)用に使っている感じです。
一方、「そこそこの明るさで少しずつ暗くなっても良いから、とにかくバッテリー交換までの時間を伸ばしたい」という方にとっては、VOLT400 NEOにメリットがあります。
VOLT800 NEOの場合、一番点灯時間を伸ばそうとすると、200ルーメンで12時間。VOLT400 NEOならば100ルーメンに明るさは落ちるものの、BA-4.8を使った時には20時間以上持ちます。最終的には50ルーメン程度まで明るさが落ちると思われますが、街灯の多い道を中心に走るならば問題はない明るさです。
Type-C端子の採用、よりワイドになった配光、上下反転ギミックの搭載でインジケーターが見やすくなるなど、基本的な使い勝手はVOLT400よりも向上していると思います。
評価
対象モデル: CATEYE「VOLT400 NEO (HL-EL465RC)」
年式: 2022年
定価: 9900円(税込)
購入価格: 9900円 (税込)
公称重量: 143g
実測重量: 145g
価格への満足度
VOLT800 NEOと同等のギミックを搭載してこの価格なので。
総合評価
ライトとしての基本性能はVOLT400より向上。ただし、立ち位置としてはVOLT800 NEOの機能制限版に見える。
著者情報
年齢: 39歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: BIANCHI OLTRE XR4(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)
# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。