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BRM921 霧立400 まとめ編
最後にまとめ記事です。新アイテムの感想と、ディスクロードの飛行機輪行についても書きます。
新アイテムの感想
本ブルベには4つの新アイテムを投入しました。
実際ブルベで使ってみてどうだったか? 簡単に感想を述べておこうと思います。
フックレスリム+チューブレスタイヤ
今回は、Cog’sのホイール(フックレスリム)に、チューブレスタイヤを履かせてブルベに参加しました。チューブレスタイヤでブルベに参加するのは初めてのことです。
「乗り心地が良い」「パンクしにくい」と、一見ブルベ向きの特性を持つチューブレスシステム。しかも、今回は道が荒れ気味で時折穴も開いている北海道ということで、良いタイミングと見てブルベに投入してみることにしました。
ただ、チューブレスシステムはパンクしてしまうと対応が厄介なシステムでもあります。一応、今回はその対応フローを確立できたので、パンクしたらしたで良いテストになると考えていました。最終的にはパンクはしませんでしたが。
乗り心地
今回は、前:4.1気圧・後:4.3気圧に設定しました。スタート会場にて電動ポンプで正確に空気を入れています。
「ロード用タイヤで4気圧!?」と驚かれる方もいるかもしれませんが、30Cでフックレス&チューブレスだと、これでもそれなりに高圧です。体重が軽い人なら3気圧台でも十分。フックレスの場合、フックありのリムに比べて0.3-0.5気圧くらい低く設定するのが定跡です。
これだけタイヤが太く低圧だと衝撃吸収能力は高く、明らかに乗り心地はクリンチャーよりも良好です。レポート中でも触れたように、北海道は低温ひび割れという特有の路上障害物に加え、冬の雪で荒れた路面が多くなっています。こうした路面でも、4気圧/30Cのチューブレスタイヤであれば構わず突っ込んでいけました。
路面が多少悪くても、何ごともなかったかのように通過できるのは良かったですね。霧立峠の下りは夕暮れで路面が見えづらい時間帯ではありましたが、このタイヤであれば大きな穴だけ気をつけていれば大丈夫という安心感がありました。
走行性能
今回、タイヤはHutchinson blackbirdという最新のチューブレスレディタイヤを使用しました。太さは30C。シーラントはimeziで、50mlほど入れています。
前述の通り、平地や下りではチューブレス特有の転がり抵抗の低さ+多少荒れた路面でも構わず転がり続ける特性からパワーを節約できた感触があります。
ただ、登りについては重さを感じました。タイヤだけで310g、シーラントは50g。タイヤ部分で360gは中々の重さです。傾斜面では転がりが勝りますが、5%を超える登りだと重さのほうが気になりました。
この辺り、28Cのチューブレスタイヤにすれば多少は改善されそうです。しかし、フックレスというシステムはタイヤが細いと乗り心地の旨味が減る&脱落する可能性も上がることから、細くするのも難しい。このリムのタイヤの太さ下限は28Cとされていますが、内幅24mmであることを考えると30C以上が望ましいはず。
30CのチューブレスでBlackbirdよりも軽いものはありますが、そうなると耐パンクベルトを省かれているものばかり。それはちょっとブルベでは採用しがたい。パンク修理時に備えて拭き取りやすい(=パンク修理能力が低い)シーラントを採用していることもあり、タイヤの耐パンク性能はそれなりに確保しておきたいのです。
平地・下りの性能は良いけど、登りはイマイチ。今回採用した30Cのチューブレスタイヤの印象はそんな感じでした。
空気圧低下
今回は400km走行後に空気圧の測定も行いました。結果は以下のとおりです。
- 前輪
4.10気圧→4.06気圧(-0.04) - 後輪
4.30気圧→3.68気圧(-0.62)
前輪はほとんど減っていませんが、後輪は思ったよりも多く空気が抜けていました。
よく見ると、リムとタイヤの間に少しシーラントが漏れ出したような跡。何がキッカケかは分かりませんが、リムとタイヤの間から少し空気が漏れたようですね。タイヤを外していないので不明ですが、もしかしたら一度パンクして塞がった可能性もあります。
前輪は8月末に空気漏れが大きくなり、組み付けし直しています。後輪は6月に組み付けてそのままです。シーラントが乾いたのか、それともまた別の理由かは分かりませんが、空気圧低下の具合が一定しないのがチューブレスシステムのややこしいところですね。上手く行ってる時はクリンチャーよりも空気圧低下が少ないくらいなんですが……。
クリンチャーではパンクをしない限りは空気圧低下の具合は一定(24時間あたり0.2気圧程度)なので、ここは差がある部分ですね。
今後ブルベで使うか?
今回チューブレスでブルベを走ってみましたが、今後どうするか。
私としては、クリンチャー28Cに戻そうと思っています。
確かに乗り心地はよく、荒れた路面でも突っ切っていける良さはあります。ただ、30Cという太さだと登りの重さが気になることが理由です。
そして、30Cは周長の大きさを感じるというか。「気持ちよく回せるギヤとケイデンス」というのがあると思うんですが、30Cだとその時に必要なパワーが大きく感じます。28Cにすれば周長も少し減るのでこのあたりの違和感は是正されるはずですが、前述の通りフックレス+チューブレスでは30Cより細くしがたい。
ならば、乗り心地は少し我慢して28Cのクリンチャーの方がまだ違和感なく走れる……と判断しました。タイヤ重量的にも、28Cクリンチャーなら230gくらいがボリュームゾーン。チューブを入れても270-300gに落ち着きます。現状の30Cチューブレスよりも60-90g軽くなる計算です。
あともう一つ、これは気持ちの問題ですが、やっぱりチューブレスはパンクした時や想定外の空気圧低下への不安が拭えなかったというか。今回はパンクこそありませんでしたが、後輪が想定以上の空気圧低下を起こしていました。
全て自分で対処しなければならないブルベでは、パンクした時に確実かつ素早く復帰できるシステムの方が良い……という考えに戻ってきてしまいました。
ゆるふわーくす「フレックスタイト用スペーサー」
今回は、ライトを15mm上方向にシフトする、ゆるふわーくすのスペーサーを初投入しました。
フロントバッグに遮られていた光が遮られなくなり、照らされる路面が増えて走りやすくなりました。特に北海道の夜間は街灯が少ないため、効果は高かったと思います。
こちらは今後のレギュラー装備に内定です。
TNI「軽量カーボンステイ」
今回はeTrexを見やすい位置に取り付けるため、TNI「カーボンステイ」を採用しました。
これはとても良かったです。非常に安定していました。重量も36gと軽いですし、eTrexを見やすい位置に置けたことで走りやすくなりました。
Edgeと併用する時も、地図を表示しているeTrex側が見やすいほうが良いので、こちらもレギュラー装備に採用決定です。
CYCPLUS「AS2 PRO」
今回のブルベでは電動携帯ポンプ、CYCPLUS「AS2 PRO」を初投入しました。
前回出たブルベ「西上州300」ではパンクが頻発しましたが、今回の霧立400ではパンクなし。ブルベ中の出番はありませんでした。
ただ、今回はそれ以外の場所で出番がありました。
一つは空港。飛行機輪行ではタイヤの空気圧を落とすように求められますが、目的地で走り出す前には空気圧を上げなければなりません。手動の携帯ポンプで空気圧を上げるのは疲れますが、電動携帯ポンプなら疲労はありません。音がうるさいので、使う場所は注意が必要ですが。
もう一つはスタート直前。チューブレスタイヤは空気圧での感触変化が割とシビアなので、正確に空気圧を設定したい。
AS2 PROは液晶画面で空気圧を指定して充填できるため、正確な空気圧管理が可能です。
それなりに大きさがあるので普段のブルベで持ち歩くかは未知数ですが、今後の遠征ブルベでは必需品になりそうです。
(番外)RT-CL900 + K05S-RX
厳密には新規投入アイテムではないのですが。
今回は、シマノの最新世代のローター「RT-CL900」と、同時期に発売されたブレーキパッド「K05S-RX」の組み合わせで走りました。
私はメカニカルディスクの「EQUAL」ブレーキを使っています。油圧ではないのでパッドクリアランスは自動調整されず、削れたら手動調整が必要です。
これまでのブルベですと、400kmブルベでは300km地点くらいでフロントのパッドを調整していました。しかし、今回の霧立400では最初から最後までパッド調整なしで完走することが出来ました。もちろん北海道なのでブレーキの機会が少ないというのは影響していそうですが、それにしても一度も調整しないとは予想外。
今回の「RT-CL900」+「K05S-RX」の組み合わせはパッドが随分減りにくいです。事前に以下の組み合わせも試しましたが、100kmごとくらいにパッド調整が必要でした。
- RT-CL900 + ベスラ「Trail」
- RT-CL900 + GROWTAC「EQUALパッド」
上記のパッドは両方ともベスラの製造です。ベスラ製のパッドと、現行シマノのローターでは相性問題でパッドの削れが早いのかもしれません。
シマノのRT-CL800/900と合わせるならば、同じ世代のシマノのパッドを合わせるのが良さそうです。
ディスクロードの飛行機輪行
今回は初めてディスクロードの飛行機輪行を行いました。
色々と工夫や学びがあったので本記事でまとめようと思っていましたが、そうとう長くなりそうなので後で別記事にまとめることにします。
結果だけ先に書いておくと、往復ともにトラブルなしでした。復路はハンドキャリーではなくベルトコンベアで出てきたのは驚きましたが、破損などはなく無事に帰宅しています。
まとめ
久々の遠征ブルベでしたが、非常に楽しかったです。
なんとなく北海道ブルベは参加者同士の距離が近いというか、割と皆顔見知りというか。今回は霧立亭という落ち合う会場があったこともあると思いますが、そういった雰囲気を感じるブルベでした。
一方、課題も色々と見つかりました。
GE-110は関東のみで走ってポジションが出たつもりになっていましたが、長時間走り続ける状況では煮詰めが甘かったことが分かりました。この辺りはほんの数mm・数度の違いが、腰・関節の痛みにつながるので難しいですね。今回のブルベでポジションの課題は洗い出せたので良かったです。
久々に北海道の雄大な景色の中を走れて楽しかったです。年一で走りに行きたい場所ですね。
今回のブルベを主催頂いたR札幌の皆様、ありがとうございました。巡回もマメにされていて、ホスピタリティに溢れたブルベを楽しませて頂きました。
走行データ
通算距離: 405km
走行時間: 23時間00分(ネット: 20時間49分)
平均時速: 17.6km/h(ネット: 19.4km/h)
獲得標高: 2745m