【レビュー】Panaracer「Purple Lite(ロード用/65mm)」

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評価:4.5

TPUチューブの元祖、Panaracerによる最新のTPUチューブ。根元が樹脂、途中から金属のバルブを採用しており、2000円を切る価格で手に入ります。

目次

購入動機

購入までの経緯は、下記のファーストインプレッション記事に詳しく書いています。

一言で言えば、「信頼に足る国内メーカーから2000円を切る低価格で発売された」ことが購入理由です。格安なTPUチューブはいくらでもありますが、まだまだ品質的には怪しいものが多い。そんな状況なので、ちゃんと品質を管理していそうなPanaracerがこの価格で出してくれるというのは非常に大きいのです。

しかも先端側が金属のツーピースバルブを採用。樹脂バルブはポンプヘッドとの相性があるため、出来れば避けたいと思っていた私にはベストマッチなTPUチューブでした。

発売直後に2本購入し、半年ほど経過してから追加で2本購入。これまで合計4本購入しています。

製品概要

実測重量は36g(付属品込/ロード用/65mmバルブ)。

チューブ本体はTPU(熱可塑性ポリウレタン)、バルブは根元が樹脂製/先端がアルミ製(ネジ切りあり)。バルブコアは外れます。

製品ラインナップは以下の通り。

モデルタイヤサイズバルブ長重量定価
Purple Lite ロード用700×23-32C65mm36g1980円
85mm36g1980円
Purple Lite グラベル用700×32-47C65mm45g2300円
85mm45g2300円

ロード用TPUチューブとしては珍しく、上限が32Cと太いのが特徴です。

リムブレーキでの使用も可とされていますが、「長い下り坂では熱によるパンクの可能性がある」と説明書に書かれていますので注意して使用する必要があります。

使用感

65mmバルブのモデルをディスクロードに取り付けて、6ヶ月で1000kmほど使用しました。合わせたタイヤはHutchinson「Blackbird CL 28C」です。

用途は夜練・ブルベ。200kmブルベで2回使用しています。

パッケージ内容

環境に配慮したパッケージ。中身はチューブ本体と説明書だけです。

説明書は懇切丁寧。公式サイトからPDFでもダウンロード可能です。重要な取付時のポイントが書いてあるので、是非読んでからの組付けをオススメします

パッケージにも「説明書をよく読んでから組み付けるように」と書かれていますね。

各部詳細

チューブの各部分を見ていきます。

バルブ

本製品でもっとも特徴的なのはバルブだと思います。根元が樹脂、途中から金属(アルミ)というツーピース構造。なお、バルブコアも外せるのでエクステンダーによる延長も可能です。

なぜツーピースにしているのか? 過去にTPUチューブのレビューで何度か書いてきましたが、「金属とTPUの接着は難しい」「樹脂とTPUの接着は比較的容易」というのが「根元=チューブ本体との接着部分」を樹脂にしている理由だと思われます。昨今は根元まで金属バルブのTPUチューブも出てきてはいますが、特殊な接着技術が必要になるようです。

また、先端部分が金属になっていると、ポンプヘッドとの相性問題が無くなります。樹脂バルブは太さがまちまちで、ポンプヘッドによっては穴を通らないこともあります。通ったとしてもゴムパッキンを削ってしまうなど、ポンプ側へのダメージが大きいので、先端が金属になっている仕様は嬉しいです。

先端の太さは5.84mmと、一般的な金属バルブと同様です。これが樹脂バルブだと6.0mmを超えることがあり、ポンプヘッドを通らないことがあるんですよね。

金属バルブを採用したもう一つの理由は、恐らくPanaracerとしてはバルブナットを使いたかったのだろうと思います。TPUチューブはバルブナットを使えない(樹脂バルブは表面にネジ切りできないため)ことが多いのですが、そうなると空気を入れる際にバルブがリム内に押し込まれ、バルブの根元の接着が剥離するトラブルが起こることがあります。バルブナットでバルブを固定すればそうしたトラブルも生じなくなるわけですね。

Panaracer自慢のワンタッチ口金は、ポンプヘッドを押し付けて固定する方式です。これに対応する意味でも、バルブナットは必須としたのでしょう。

接着の剥離リスクを下げつつ、金属バルブにすることでポンプ側との相性問題や空気入れトラブルを低減する。樹脂+金属のツーピースバルブは、良い折衷案だと思います。

バルブの付属品たち。左から、「スペーサー」「Oリング」「バルブナット(リムナット)」「バルブキャップ」。

この中で重要なのが、Oリングとバルブナットです。先程書いた通り、バルブナットを使うことで空気を入れる際の根元の破損を防止することが出来ます。Oリングは、バルブナットが走行中に緩んでカタカタ音鳴りするのを防ぐためのものでしょう。

スペーサーはリムの曲面に合わせた形状となっており、バルブナットの安定度を高める役割があります。バルブキャップはアルミ製。普通、チューブに付属するバルブキャップはプラ製のものが多いのですが、ロゴ入りのアルミ製が付属するのは嬉しいですね。

バルブ根元は裏面シール(チューブ内側からフタを貼り付けている)。この方式だと空気を入れる際にバルブを押し込んでしまうとシールが剥がれる可能性がありますが、バルブナットを使っていれば問題は起きません。

表面

チューブ表面はツルツルで紫色。なぜ紫なのかと思いましたが、現在のPanaracerのコーポレートカラーが紫であることが理由でしょう。

継ぎ目

TPUチューブは製造上の理由から、ブチルチューブにはない「継ぎ目」があります。

パープルライトにもこの継ぎ目があるのですが……ちょっと他社とは違った特徴のある継ぎ目なんですよね。

Ridenowの新し目のTPUチューブもこのような継ぎ目の形状になっています。恐らくですが、「膨らませた時の継ぎ目が不均一に膨らむのを防ぐ」のが目的じゃないかと思います。

一般的なTPUチューブは左の画像のように、膨らませた時に継ぎ目部分がえぐれたようになることが多いです。製品によっては走行中にこの部分を通過する際に振動が出ることもあります。また、膨らみ方が不均一になることで極端に薄くなる場所が出てきてしまい、パンクの原因となることもありました。

一方、Purple Liteはかなりえぐれ方が少なく、走行時にも振動等を感じることはありません。

継ぎ目部分は、バルブと並ぶTPUチューブの弱点の一つでしたが、こちらも改善しようという姿勢が見られます。

対応タイヤサイズ

Purple Lite(ロード用)は最大32Cまでのタイヤに対応しています。

こちらの記事にロード用のTPUチューブをまとめていますが、特に2000円以下の低価格帯では上限を28Cまでとしているチューブが多いことが分かります。昨今は「ちょっと太いタイヤ(30Cや32C)」がロードでもブームとなっていますが、こうしたタイヤにも使えるのがPurple Liteの魅力の一つ。

重量

公称36gで、実測も36gと正確です。バルブの付属品を除くと34gになりますが、いずれも重要な部品なので省略しないほうが良いと思います。

ロード用TPUチューブは40gが重量の相場なので、Purple Liteは「少し軽め」な部類に入ります。超軽量(30g以下)ではありません。

大きさ

TPUチューブとしては標準的な大きさですが、ブチルチューブに比べるとかなりコンパクトです。場所を取らないので、ツール缶などに入れておく交換用のチューブにも適していると思います。

取付

他のTPUチューブと同様、0.5気圧以下で少し膨らませた状態で取り付けます。

説明書にも書いてあるのですが、タイヤの中にチューブを格納したら、「バルブの引き抜き」という作業を行います。詳しくは↑の動画の3:30あたりを見てください。

付属のOリング→バルブナットの順でバルブに取り付けを実施。バルブナットにも上下があります。パナレーサーロゴが正位置となるように取り付けましょう。

バルブナットを取り付けたら空気を入れて取り付け完了です。50mmハイトのリムに65mmバルブを取り付けた場合、スペーサーを入れるとバルブの露出部分が少なすぎてしまうのであえてスペーサーは取り付けていません。

36mmハイトのリムに取り付けた場合はスペーサーが必要でした。若干、ネジが切られていないバルブの樹脂部分がリムの外に出てしまうので、スペーサーを入れないとバルブナットを固定できません。

走行性能

200kmブルベ2本を含め、約1000kmを走ってみました。

TPUチューブは一般的に「乗り味が硬い」「路面のギャップで跳ねやすい」という特徴があります。

Purple LiteはTPUチューブとしては標準的な乗り味の硬さであると感じました。同社のブチルチューブ「R’Air」に比べると感触は硬質であり、少し跳ねやすい感覚はあります。ただ、TPUチューブの枠の中で考えれば「普通」レベル。Magene「EXAR」や、Ridenowのツーピースバルブモデルほど跳ねやすいわけではありません。長距離走行であっても、空気圧の調整次第で満足行くレベルに持っていけると思います。

重量は36gとTPUチューブの中でも標準よりやや軽い部類。漕ぎ出しは軽く、ヒルクライムでも軽さを実感できると思います。

空気圧低下

ブチルチューブも24時間で0.2気圧くらい低下しますが、TPUチューブもその比率は大体同じ。24時間で0.2気圧程度の低下が普通です。

Purple Liteについても、24時間経過時点での空気圧を確認してみました。

前輪: 6.0気圧→5.8気圧
後輪: 6.5気圧→6.3気圧

きっちり0.2気圧ずつ低下。特に空気圧低下が早いということはなさそうです。

同じツーピースバルブ構造を持つCYCLAMIは空気抜けが早かったので警戒していたのですが、杞憂でした。接着等の技術がPurple liteのほうがしっかりしているということなのでしょう。

耐パンク製・耐久性

まだパンクをしていないので、耐パンク性・耐久性(寿命)ともに不明です。

バルブの構造や継ぎ目の工夫によって、TPUチューブ特有のパンクリスクを減らしているので耐パンク性能は高そうです。

価格・入手性

Purple Lite(ロード用)の国内定価は1980円(税込)です。

比較的ブチルチューブよりも高価なTPUチューブの中では低価格帯に属します。この価格で様々な点で工夫が施されているのが素晴らしい。Panaracerが販売するという点でも安心感があります。

また、Panaracerは国内代理店も数社あり、だいたいどこのショップでも買えます。この入手性の高さも魅力ですね。発売直後は品薄状態が続いていましたが、現在ではそれも改善されています。

まとめ

安価かつ品質も十分に担保されたTPUチューブ。

実はTPUチューブの元祖である(詳しくはこちら参照)、Panaracer。実に30年以上も販売をやめていましたが、その元祖が満を持して発売しただけのことはあり、良く考えられた製品に仕上がっています。

性能だけで言えばGuee「Aerolite」の方が良いと感じますが、こちらは定価3520円。Purple Liteの1.8倍。どちらを選ぶかはその人が乗り心地にどれだけ優先度を置くかによるでしょう。

こちらは私が個人的に作っているTPUチューブ比較データ内の「Purple Lite」のレーダーチャート。これと言った弱点が無く、価格の安さとバルブ品質に秀でている印象です。非常にバランスが良いですね。

リムブレーキでの使用(2025/12/16追記)

Purple Liteは、(若干消極的な書き方ですが)リムブレーキでも使用可能とされています。

クロモリのリムブレーキロードに取り付けて半年ほど使用してみました。組み合わせたホイールはMAVERISMOのアルミホイール、タイヤはPanaracer「AGILEST 28C」です。

真夏(8月15日)に、この構成で長野の山岳ツーリングに赴きましたが、熱によるパンクなどは起こらず。「長時間ブレーキをかけっぱなし」のような状況を作らなければ、体重の重い私が真夏のダウンヒルをしても大丈夫な程度の耐熱性はあるようです。

ただ、これは放熱性の高いアルミリムであったことも大きいと考えています。リムブレーキ+カーボンリム+TPUチューブの組み合わせは、夏場には特にリスキーです。多分、その構成で耐えられるのは、MageneのEXARくらいのものでしょう(耐熱性に振ったスペックをしている)。

評価

対象モデル:  Panaracer「Purple Lite(ロード用/65mm)」
年式: 2024年
定価: 1980円
購入価格: 1980円
公称重量: 36g
実測重量: 36g

価格への満足度

9/10

TPUチューブでこの品質を考えると非常に安い。

総合評価

9/10

バランスの良い性能のTPUチューブ。組み付け時のパンクを防ぐ工夫もされている。

著者情報

年齢: 40歳(執筆時)
身長: 176cm / 体重: 82kg
自転車歴: 2009年~
年間走行距離: 10000~15000km
ライドスタイル: ロングライド, ブルベ, ファストラン, 通勤
普段乗る自転車: GHISALLO GE-110(カーボン), QUARK ロードバイク(スチール)
私のベスト自転車: LAPIERRE XELIUS(カーボン)

# 乗り手の体格や用途によって同じパーツでも評価は変わると考えているため、参考情報として掲載しています。
# 掲載項目は、road.ccを参考にさせていただきました。
# これまでに著者が乗ってきたスポーツ自転車の履歴はこちらの記事にまとめています。

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この記事を書いた人

ロングライド系自転車乗り。昔はキャノンボール等のファストラン中心、最近は主にブルベを走っています。PBPには2015・2019・2023年の3回参加。R5000表彰・R10000表彰を受賞。

趣味は自転車屋巡り・東京大阪TTの歴史研究・携帯ポンプ収集。

【長距離ファストラン履歴】
・大阪→東京: 23時間02分 (548km)
・東京→大阪: 23時間18分 (551km)
・TOT: 67時間38分 (1075km)
・青森→東京: 36時間05分 (724km)

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